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聖女『じゃない方』なのに、溺愛されるのは何故ですか!?  作者: あらいサラ


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11.独占欲、丸出しじゃない…

――この世界に召喚された日から3日後。

ついに今日は透子さんと再会する日だ。


「よく似合っているよ」


転げ落ちないよう慎重に階段を降りる私の姿を見て、ホールで待つユリウスさんが蕩けるような顔で笑う。


「う、うう…動きにくいです…」


透子さんと会う、つまり城に行くという事で、今日の私は淡いオレンジ色のドレスを着せられている。


装飾少なめでまだ軽い方だと侍女たちが言っていたが、ワンピースに比べると遥かに重く、裾が長いため足捌きが大変だ。


それに、ドレスなんて物心ついてから着るのは初めての事で、非常に恥ずかしい。


侍女たちが一生懸命に整えてくれたけど、ベースがベースなので、質の悪い仮装になっていないか不安だ。


「リコ、手をこちらへ」


階段の途中からユリウスさんが手を貸してくれた。


私の首元を飾る、黒いベルベットのリボンチョーカーの下から覗く、小さな琥珀のネックレスを見つけて、ユリウスさんは嬉しそうに甘く微笑んだ。


「お城に行くのってこんなに大変なんですね…」


もうこんなに疲れているのに、まだ屋敷を出てすらいない。


「そうだね。女性は特に準備が大変だと聞くね。

 リコが望むなら、聖女様との約束を反故にしてもいいのだけど、今日は他の予定もあるからな…。1日だけ頑張れるかい?」


「ほ、反故は望んでません!!頑張りますから!」


「そう、それじゃ行こうか。お嬢様」


エスコートされながら屋敷を出ると、立派な紋章入りの馬車が待機していた。

ユリウスさんに支えられながら乗り込む。


ちなみに、昨日から馬車にはクッションがたくさん載せられており、お尻が痛くならず快適だ。

細やかな気配りに感謝しつつ、私たちは城へと向かった。



「莉子!元気にしてた?」


「透子さん、3日ぶり…ぐえっ」


挨拶も早々に、透子さんから熱い抱擁が送られる。当たりどころが悪いのか、単純に力が強いのか、呼吸が苦しくなり思わず腕をパシパシ叩くと、さっと体を離してくれた。


「ちゃんとご飯食べてる?あの胡散臭い貴族から何もされてない?」


「えっ、胡散臭いってユリウスさんの事ですか?とても良くしてもらってますよ」


「それなら良いんだけど…」


そう言いながら、透子さんの視線が私のネックレスに視線が落ちる。そして私のオレンジ色のドレスを眺めた後、苦虫を噛み潰したような表情をした。


「独占欲、丸出しじゃない……」


「独占欲???」


「…聖女様、そろそろ二人を紹介してもよろしいですか?」


言葉を聞き返す前に、ユリウスさんから声を掛けられたので、透子さんとソファに並んで腰掛けた。

机を挟んだ向かい側には、見知らぬ男性が二人。


今回、透子さんと会うだけの予定だったのが、急遽この顔合わせも行うことになったのだ。


「こちらがシルヴァン王弟殿下。現在は離宮にお住まいです」


「ども〜」


右側の黒髪青目の男性が軽く手をあげる。

歳は30くらいに見えるけど、服も着崩してるし、タレ目も相まってなんだか軽薄そうだ…。王弟…これが王弟…。


「そして、こちらがエドガルド。騎士団長の御子息です」


「うっす」


今度は、左側の茶髪赤目の男性が軽く頭をさげた。

こちらは王弟よりも顔立ちがずっと幼く、下手すると私と同じくらいの歳かもしれない。ただ鍛えているのか、体つきはがっしりしている。


しかし何故この二人を紹介されたのだろうか?透子さんも隣で訝しがっている。


「このお二方と、僕とテオドール第一王子殿下の4名が、聖女様の【協力者】となります。

 お困りの事がありましたら、いつでもお声がけください」


「協力者ぁ?」


「はい。聖女様が不自由なくお過ごしになれるようサポートせよと、陛下より仰せつかっています」


(そんな役割があったのか…)


なるほど、その関係で私の世話をユリウスさんが引き受けてくれてるのだな、と小さく納得した。


(でもなんで男性ばっかり?聖女のサポート役なら女性がいた方が良いような…)


「よぉ、改めてよろしくな、嬢ちゃんたち。

 こんな草臥れたおっさんより、そこの若いのに頼む方が良いかもしれねぇけど、何かありゃ頼ってくれや」


全く王族らしくない、シルヴァン様のやる気なさげな挨拶に、透子さんが半目になるのがわかった。

 

自称おっさんって意外とおっさんじゃないよね。

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