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第1話:村

 ものすごい間が開きましたが(5ヶ月以上)、これからまた少しずつ投稿していく予定です。


 取り敢えず第1話です。






 王都から、馬車に乗って3日。

 ミラー王国の端に、その村はあった。



「うわー、凄い!」


 村の周りは緑豊かな自然に包まれ、野生動物が暮らしている。

 そんな場所──ミラー王国の南方、『ミラー高原』の隣にある村こそが、記記(ふさふみ)が配属された村である。



「……ただ正直、これほど広い地域をコヅカ様と私の二人だけでというのは……」


 ミラは呟く。


 この地域は、『ミラー高原』があるだけあって、(人が住んでいる場所は限られているとは言え)非常に広大だ。


「…………」


(あの女神は、この村、地域を見捨てるつもり?)


 ランク最下位の勇者とその奴隷のみを、このような広大な土地に送る時点で、すでにおかしい。明らかに、この土地を捨てたようにしか思えない。


 何故かはわからないが、あの女神がすることだ。おそらくはこの地を重要とは思わなかった、とかそんなとこだろう。


 普通に考えれば酷い話なのだが、あの女神ならば平気ですることだと言ってしまえばそれまでだ。


「……ミラ、大丈夫?具合悪い?」


 そんな中、しばらく言葉を発さずにただ立っていた私を見て、コヅカ様が心配してくれたようだ。


「……あっ、何でもありません。コヅカ様。早く村長さんのところへ行きましょう。」


「そうだね。でも、気をつけてね。」


(……本当に、優しい人ですね。)




            *




 ミラと記記(ふさふみ)は、村の道を歩いていく。


 途中、何人かの村人を見かけたが、皆表情が良くない。まるで、『何か』に絶望し諦めてしまっているかのようだった。


 ミラは少し立ち止まる。


「あれ、どうかした?やっぱり具合悪い?」


 記記(ふさふみ)が心配して声をかける。


「…………いえ。」


(何か、違和感が…………?)


「大丈夫です。」


「そう?無理しないでね。」




 そして2人は、村長宅に到着する。


 その家は、村長の家にしては物寂しい様子であったが、事前に聞かされたこの村の村長の名前が書いてあるため間違いない。


「……すみませーん!!村長さんはいらっしゃいますかー?」


「………………何の用だ?……誰だ貴様は?」


 記記(ふさふみ)が村長を呼ぶと、家の中からいかつい老人が現れた。


「あ、あの、すみません……、僕たち、女神からこの村を守るように言われた勇者です……。」


 老人の威圧感に、記記(ふさふみ)は目に見えて怯えていた。


「……あ?……勇者だと?」


 だが、記記(ふさふみ)が勇者だと言うと、途端に村長の目つきが変わる。

 村長は、人を殺しそうなほど鋭い目線で、記記(ふさふみ)を見つめた。


「は、はい……、僕が異世界から来た勇者です……。」


 対する記記は、完全に村長にびびってしまっていた。


「────入れ。」


 村長は、記記とミラに入るように促す。



「──で、勇者と言ったな。」


 記記とミラが家に入ると、村長は話し出した。


「は、はいっ!!」


「──おぬし……いや、その勇者様とやらは一体()()()()()()()と言うのだ?」


 村長は、記記に相変わらず人を殺すような目つきで尋ねる。


「えっ……?」


 記記は、答えない。

 いや、答えられない。

 まさかそんなことを尋ねられるとは思っていなかったのだ。


「この村は、明日を生きるので精一杯なのだ。貴様の様な者は、ただの足で纏ではないのか?」


「……そ、それは……。」


「──おぬしの様な軟弱者が『()者』とは笑わせてくれる。この村の者のために、お前の体でも売ってくれるのか?」


 そして村長は、嗤いながら、記記にそう言い放った。


「……えっ?」


 記記はフリーズする。


 


 ──その瞬間


「…………。少し、黙って貰えますか?」


「……ぬぅ……!?」


 村長を、ミラは魔法で拘束した。


 村長の、筋肉質でいかにもな体を、ミラは魔法でたやすく持ち上げる。


「──先程からのコヅカ様への失礼な態度、謝罪していただけますか?」


 そしてミラは、本気で村長を睨みつけた。


「──私はコヅカ様の奴隷兼従者です。主人にこのような態度を取られて黙っていることはできません。」


「…………」


 村長は、しばらく沈黙する。


 ──そして、


「────これは失敬。先程までの非礼な態度、謝罪いたします。実は、勇者様の実力を測るため、このように接していました。」


 謝罪した。



「えっ……実力を測るため……ですか?」


 記記は、先程までと全く違う村長の態度にポカン、となっている。


「はい。従者の方がこれ程までの実力であるとすれば、きっと勇者様もかなりの実力者なのでしょう。……私はこれでも、それなりに腕は良いつもりでしたが……。……本当に申し訳ない。」


 村長は、少し気まずそうに話す。


「ああ、それなら大丈夫です。僕は気にしてないので!」


「……それはありがたい限りでございます。ささやかながら、明日勇者様を歓迎する会を開きたいと思っておりますので、明日まで私の家でごゆっくりお過ごし下さい。」


「あ、分かりました!じゃあ、何か手伝うことありますか?」


「いえいえ、勇者様がたはゆっくり休んでくださいね。──あ、これは失敬。自己紹介を忘れておりました。私の名前は『アザード』と申します。こう見えて、元冒険者です。」


 記記は、すっかり村長と打ち解けていた。


 一方のミラはと言うと──


「…………」


「あれ?ミラ、どうかした?」


「……いえ、なんでもございません。コヅカ様。」


「そう?なら良いけど……」



「改めまして、『バック』の村へようこそ。では、部屋へと案内いたします。」



 

 ―第1話 完―

 お読みいただきありがとうございます。


 この作品、暗くてなかなか書く気になれないのですが……、何とか投稿は続けますのでよろしくお願いします。

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