第14話:これから
第14話です。
元の世界で言うところの朝7時30分。
食堂にて、勇者たちは朝礼のときを待っていた。
「…………ねぇ……大丈夫だった?」
「私はなんとか…………」
(……みんな暗いな。……やっぱりノルマのこと、気になってるのかな……?)
そう、僕たちには、『3日のうちにレベルを10まで上げる』というノルマが課せられていた。
そのノルマを達成できなかった者は『処分』するとレックスは言っていた。
「大丈夫だ記記。みんなノルマをクリアしているはずだ。」
僕が険しい顔をしていたのか、秀助君がフォローしてくれた。
「ありがとう……。そうだよね、僕でもクリアできたんだからね!」
「そうそう。陰で私がサポートしたんだから問題ないわ。」
三代もそう言っていた。
――数分後。
「よぉーし、全員集まってるな?ではこれから朝礼を始めるぅー。」
(…………ゴクリ…………………………!)
「じゃあまずはこれだなぁ。ノルマについてだ。今回、ノルマを達成できなかったやつは………」
みんなの視線が集中する。
そして、レックスは告げた。
「0だ!!!お前らゴミにしてはよくやったじゃねーーか!!今回は処分なしだ!!」
(……ふぅ……………)
レックスのその言葉で、みんなの緊張がほぐれた。
その後、レックスはこれからについてを話した。
僕たちは全員ある程度戦力になるレベルに達したので、今度からは本格的に冒険にでることになるという。
「――というわけだ。お前らは今度から各地にばらけてもらう。そして、各々のミッションをこなしていくんだ。詳しい説明はミカルからしてもらえ。しばらくしたら来るだろ多分。俺はとっととこのゴミ箱から出たいからな。」
そう言って、レックスは食堂から出て行った。
レックスが出ていくと、みんな思い思いに話しだした。
友達やクラスメートが無事なことを喜ぶ者、生き残ることができて安堵する者、これからの冒険に内心期待している者など、様々だ。
僕は、これからのことについて秀助君、三代と話していた。
「これから各地にばらけるって話だけど、どういう風にばらけるんだろう?班とかを組むのかな?それとも一人一人別?」
僕は2人に聞いてみた。
「多分だけど後者じゃないかな?全員仲間の奴隷をもらっただろ?多分あれってこれから各地へ旅立つからなんだと思う。流石に仲間がいた方が良いからな。班を組むにしてもせいぜい2人1組くらいじゃないか?」
「そうね。私もそう思うわ。私の所って奴隷の仲間?が10人いるから……むしろ誰とも組まない方が動きやすいわ。」
10人……
「流石はランクSの勇者様ですね!まぁ、僕はミラがいますから!」
「……?なんか話し方おかしいわよ?……それより、これからどうする?一緒に行く?」
三代が聞いてきた。
正直……僕にとっては一緒に行った方が良い気がするけど……
「大丈夫。三代の足手まといにはなりたくないし。僕は僕で何とかするよ。ミラもいるし。」
「そう…………」
「あっ、みんな話しやめて、注目ー!!」
僕が三代の誘いを断った所で、食堂の前から声が聞こえた。
みんなが話を止める。
「みんな、久しぶり。魔術師長の"ミカル"です。これから君たちに大事な話をしますので良く聞いて下さい。」
僕たちの目の前には初日に少し会ったミカルという男が立っていた。
「まず一つ目。これだけは言っておきます。私はあなたたちの味方です。」
ミカルは、そう言った。
「私の同僚が君たちに迷惑をかけてしまった。申し訳ない。謝って許されることではないのは分かっている。だが、せめて人として、君たちに謝罪する。本当にすまなかった。」
ミカルは、本心から謝罪していた。
そして――
「これからの君たちの管理は私が任された。だから安心してくれ、私が君たちに危害を加えることはないと誓おう。君たちはもう、無意味に死ぬことはない。」
はっきりと、そう言ったのだ。
みんなから観戦があがる。
「だから、これから宜しく頼むよ、勇者諸君。」
ミカルは、礼をした。
「では、これからみんなの旅について説明しよう。」
*
それから少し経って。
僕たちは、これから指定されたエリアへと旅立つため、部屋で身支度をしていた。
「……短い間だったけど、なんやかんだ言って良い部屋だったな。」
僕は部屋を見つめる。
まだこの世界に来て数日しか経っていないはずなのに、もう何ヶ月もいるような気がした。
「あっ、コヅカ様!忘れ物があるますよ!!」
「えっ!?」
僕は元の世界にいたときからあまり変わっていないな。
そんなことをしていた時。
(……僕は元の世界に帰れるのかな?)
不意にそんなことを思った。
(……このまま帰れなかったらどうしよう?僕はこの世界で生きていかなきゃならないのかな?)
途端に不安になる。
「コヅカ様?どうかしましたか?」
ミラが心配してくれたみたいだ。
「あっ、いや、何でもない。じゃあ行こう!」
「はい!」
僕は、不安を忘れようと足を前へと進めた。
*
〜???〜
「報告いたします。先程ミラー王国に動きが見られたようです。」
男が跪きながらそう報告したのは、黒い衣装に身を包んだ女性だ。
「……そうか。ということはやはり…………」
女性は呟く。
「……はい、間違いないかと。」
「女神ミラー……やつは……やつだけは野放しにしておいてはいけない…………」
(民を守らなければ……)
ー第14話 完ー
お読みいただきありがとうございます。
かなり早いですが、これで第1章は完結となります。次回からは第2章となりますので、ご期待ください。
なお、申し訳ありませんが次回更新はしばらくしてからにします。第2章の方向性を決めるためと、私のスケジュールが合わないためです。期間はあくと思いますが、これからも宜しくお願いします。




