第11話:記憶の神と記憶魔法
第11話です。少し短めです。
これは、女神『ミラー』の世界がまだ生まれていなかったときの話。
ある神が、第11世界ーーとある最高神が支配する世界の集まりの中で11番目に生まれた世界の管理を任された。
彼の名は『メモリー』。
記憶の神である。
「では、頼みましたよ。」
「はい、謹んでお受けいたします。」
こんな風に最高神から第11世界を任された『メモリー』は、晴れて第11神となったわけだ。第11神というのは、神々の中で最高神(第零神)を除いて11番目に偉いという証でもある。
彼は努力家であり、好奇心も旺盛で、すでに自分の世界をどのような世界にしようかで頭の中がいっぱいになっていた。
*
それから、かなりの時間が経過し、第11神世界は立派に発展を遂げていた。
その世界は、いわゆる魔法があるファンタジー世界ではなく、科学が支配する世界だった。
彼ーーメモリーは、最初自分の世界に魔法のような力を与えるかどうか悩んでいた。しかし、結局自分の世界に魔法はいらないと判断し、魔法は存在しない物だとした。
理由はいくつかあるが、一番の理由は世界のバランスを保つためだ。
はっきり言って、魔法があるだけで世界が滅ぶ可能性が高くなるし、科学とは違って魔法はその人の元々の素質で決まってしまうことが多いから。
ファンタジー世界を見てみたかった気持ちもある。
しかし、生物が安全に暮らせる世界が一番だと、彼は考えた。
*
ーーある日。
メモリーがいつも通り世界の観察をしていると、突然世界に"穴"が空いた。
「何だ?」
今までそのようなことはなかったため、彼は少々混乱する。
しかし、少し経つと理解する。
(そうか!これは召喚か。)
自身の記憶を辿ると、確かに稀に世界と世界を繋ぐ"召喚"という現象が起こると記憶している。
(この世界から異世界へと人類が召喚されるのは初めてだな。どの世界から召喚されたんだ?)
彼は、"穴"から繋がる"道"を辿っていく。
そして、行き先を見つけることに成功する。
(第64神世界……確か女神『ミラー』の世界か……。)
それが分かると、途端に召喚された人間が心配になった。
(女神『ミラー』……、良い噂は全く聞かないな……。)
彼は、今回自分の世界から召喚された人間たちを1人1人確認した。
(神である私は簡単に人間に関わることはできない。私が何かするとすぐに世界が崩壊してしまう。)
神々は、その力の強大さ故に、人間に何か関わろうとするだけで世界に大きなダメージを与えてしまう。
中には自身の力の制御に長けていて、人間たちと普通に関わっている神もいるが、『メモリー』にはできない。
(ん?1人気になるのがいるな。名は……記記か……変わった名だな。この少年からは何か私に近い物を感じるな……。調べてみるか。)
メモリーは、今世界を移動中の少年のことを調べ始める。
そして、驚いた。
(そうか!そういうことか。この子なら私の力を受け取ることができるかもしれない!……もう時間がないな。いつ帰ってこれるかも分からん。渡してしまおう!)
世界を渡ってしまえば、別の神の管理領域であるためその少年を追うことができなくなる。(別の神の世界には基本入ることはできない。例外は存在する。)
メモリーは、少年に彼の力の一部を与えた。
もし適応できれば、少年はきっと最強の存在になるだろう。
*
<書籍『神々の魔法』より>
記憶魔法
人間が使おうとしても、せいぜい記憶力を少し低下させることくらいしかできないが、記憶の神『メモリー』はその記憶魔法で死者を生き返らせることすらできるという。
本来、記憶魔法というのは"忘れされる"魔法であり、忘れさせる対象は脳の記憶だけとは限らないのである。
なお、ここに記憶魔法の使い方を記す。
まず、大前提として、記憶魔法は一般の人間が使うことはできない。この魔法を使えること自体が異常なのである。
もし、自身の魔法属性が記憶であるならば、試す価値はあるだろう。中にはかなり強力な記憶魔法を使える者が存在する。
中略
さて、ここまで長々と説明をしてきたが、記憶魔法の使い方はシンプル。まず対象を定め、その対象の何を忘れさせるのかをイメージする。これだけだ。
ただ、注意すべきなのは、よほどの適性がない限りは高レベルの記憶魔法は使えない。
いや、使えなくはないが、使ったら明日はないと思っておいた方が良いだろう。
中略
これで、記憶魔法の説明を終了する。
ー第11話 完ー
お読みいただきありがとうございます。
今回は日曜日に更新することができました。
これからも更新頑張っていきます。




