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『デジタル・ステップ』  作者: さらん


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24/28

『デジタル・ステップ』 第24話 「聖夜のパーティーとプレゼント交換」

いつもお読みいただき、ありがとうございます!

それでは、本編をお楽しみください!


「メリークリスマース!!」


居住ユニットの広めのリビングに、六人の元気な声が響き渡った。

部屋の隅には天井に届きそうなクリスマスツリーが七色の光を点滅させ、テーブルの上にはローストチキン、特大のピザ、そして駅前でマナミが熱望した二種類のクリスマスケーキが所狭しと並べられている。


「うわーっ、このチキン、めちゃくちゃジューシー! 最高!」


マナミが骨付きチキンにかぶりつきながら、感動に打ち震えている。


「ほんとだ、すっごい美味しい! ピザのチーズもとろとろだよ」


シオリも目を輝かせながらピザに手を伸ばす。


「お前ら、ケーキ二つも控えてんのに、チキンもピザもフルスロットルだな……」


呆れたように笑うケントに、マナミはチキンを持ったまま胸を張った。


「当然でしょ! 今日はクリスマスっていう特別な日なんだから、カロリーとか胃袋の限界とか気にしてる場合じゃないの! 限界まで食べるって決めてるんだから!」

「はいはい、その食欲マジで恐るべし……」


ケントとマナミのいつもの言い合いに、リナとタクトがくすくすと笑う。

タクトが切り分けたブッシュ・ド・ノエルを口に運んだリナは、「んーっ! チョコが濃厚!」と頬に手を当ててとろけそうな顔をしていた。

お腹が満たされた後は、いよいよ本日のメインイベントである。


「よし、じゃあ予算三千円のプレゼント交換会、始めるよー!」


シオリの合図で、六人がツリーの前に輪になって座る。スマートフォンから流れるクリスマスソングに合わせて、それぞれが持ち寄った綺麗にラッピングされた箱を、時計回りに隣の人へと回していく。


「あー、待って、タクトくん回すの早い! 落ちる落ちる!」

「ストップ、ストップ! 曲止まった!」


ワイワイと騒ぎながら音楽が止まり、それぞれの手に一つずつプレゼントが渡った。


「せーの、で開けよっか。せーの!」


ビリビリと包装紙を破る音と、歓声が同時に上がる。


「あっ、これ可愛い! ハンドクリームとバスボムのセットだ!」


リナが嬉しそうに掲げたのは、シオリが選んだプレゼントだった。


「私、このマフラー欲しかったやつ! 色もめっちゃ好み!」


マナミが引き当てたのはリナからのプレゼント。女の子同士で大当たりの交換となり、三人はキャッキャとはしゃいでいる。

一方、男子陣からは微妙な声が上がっていた。


「……おい、誰だよこれ。光るトナカイのメガネと、ヒゲつきのサンタ帽のセットって」


タクトが虚無の顔でそれらを被ると、あまりのシュールさに全員が腹を抱えて爆笑した。


「あははは! 似合う! 似合うよタクトくん!」

「それ選んだの俺! マジで当たり引いたな!」


ケントが涙を流して笑い転げている。


「じゃあ俺のは……うわ、何この本。『最新版・乗り物酔い完全克服マニュアル』って……」


ケントが引き当てたのは、分厚い実用書だった。


「タクト、お前これ絶対自分用に買ったやつだろ!」

「いや、俺はもう克服したから! ケントもいつか絶叫マシンで酔うかもしれないだろ!?」


「こんなもん三千円で買うなよ!」とケントがタクトに本を投げつけ、リビングはさらに大きな笑い声に包まれた。


ユヅキの手元に回ってきたのは、小さな細長い箱だった。

開けてみると、中にはシンプルで上品なデザインの、シルバーのボールペンが入っていた。


「あ、それ俺が選んだやつ」


ケントが笑い転げるのをやめて、少し照れくさそうに頭を掻いた。


「ほら、ユヅキっていつも図書室とかで俺らの勉強見てくれるじゃん。ノートまとめるときのペン、インク切れそうって言ってたから、書きやすいやつがいいかなって」

「……ありがとう、ケント。すごく持ちやすいし、可愛い。大切にするね」


ユヅキはボールペンを指先で回しながら、心からの笑顔を向けた。

その気遣いが、とても温かかった。

部屋の中は暖房が効いていてポカポカで、ツリーの光が優しく揺れている。


美味しい食べ物があり、くだらないことで本気で笑い合える友人たちがいる。

誰も何も隔てるもののない、ただただ楽しくて愛おしい時間。


「よーし、次はタクトのサンタ帽被って記念撮影するよ!」

「なんで俺限定なんだよ! ケントも光るメガネかけろ!」


賑やかな声に呼ばれ、ユヅキも輪の中へと飛び込んでいく。

聖なる夜の魔法が、彼女たちの日常を、どこまでも優しく包み込んでいた。


お読みいただきありがとうございます。


アナログの肉体が抱えるノイズ(脆弱性)と、デジタルの最適化。


もし病気も寿命もある「完璧に理にかなった機械」が存在したら、生肉(オリジナル)であることの価値はどこにあるのか。そんな思考実験のようなヒューマンドラマです。


少しでも「面白い」「続きが読みたい」と思っていただけましたら、ブックマークや下部の☆から応援していただけますと、作者の生身の肉体(ハードウェア)の執筆エネルギーに直結します。


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