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転生してホモスパイラルから逃げられたと思ったら前世で俺の処女を奪ったクソ野郎とエンカウントしちまった件  作者: KP
第二章

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ボス戦だぜッ!


アルだ。

高難易度ダンジョン『熱波の彼岸窟』に挑んで、はや……何日目だ?

日も昇らないダンジョン内だと時間の感覚が曖昧になってくるんだよな。

腹の減った回数から、少なくとも一週間以上は経っているはずだ。

「今日でもう11日目だよ」

と、訂正してきたのは相棒のエド。

「僕は一応、定期的に時計をチェックしてたから。合ってると思うよ」

そうか、もうそんなに……

こんなに時間の掛かるダンジョンは初めてだぜ…!

つっても、俺たちここの他には『マッドの館』と『緑の楽園』の二か所しか知らないけどな。

どっちもフィールド型のダンジョンだった。

『熱波の彼岸窟』みたいな迷宮化してる洞窟タイプは初めてだったが、なるほど高難易度に指定されるわけだよ。

出てくるモンスターもわりかし強いのが多いってのもさることながら、全体的に環境が過酷すぎる。

あっちこっちで火球が飛び交ってるわ溶岩の川が流れてるわ、歩く地面すら熱されててどこもかしこも鉄板状態だわ。

火のエレメンタルが強いせいだっけ。

もう、ここにいるだけで体力を消耗する。

前世の、RPGとかであったよな。歩くだけでガリガリHPを削られてくダメージゾーン。ダンジョン全体がそんな感じだ。

なのに時間を掛けて迷路を攻略していかないといけないとか。

超過酷…!

「それでも僕たちはかなりマシだったはずだよ。一番厄介な下層階の道順を教えてもらえたんだから」

そうだな。

途中で偶然行き合った先輩冒険者のロビンソンさんに、他のいろんなアドバイスも含めて教えてもらえたんだ。

いい人だったな。

またどこかで会えるといいな。

ま、ともかく。

ロビンソンさんからもらった情報もあって、俺たちはついに最下層へと到達しようとしていた。

あの階段状の下り坂を降りていけば、いよいよボス部屋だ。

なにげに、ボス部屋ってのも初体験だよな。

フィールド型のダンジョンにはなかった。

洞窟型、迷宮型ってのは、同じダンジョンでもやっぱり色々と勝手が違うもんだ。

とはいえ厄介な点ばかりじゃない。

モンスターの出てこないセーフティゾーンがあるのも、迷宮型ならではの特徴なんだそうな。

俺たちは最後の調整と休憩のために、最下層のセーフティゾーンで腹ごしらえを兼ねて打ち合わせをすることにした。


メイン食材は現地調達。

そのへんで仕留めたファイヤードードーを、ロビンソンさんから教わった処理法で捌いて、エドが料理していく。

今回は照り焼きだ!

添えられてるサラダはあらかじめ準備して持ってきていた作り置き。

「野菜も採らないと栄養バランスが悪いし、下手したら健康にも影響があるからね」

冒険者は体が資本だもんな。

そのへん、料理を担当してくれてるエドが気を遣ってくれるからありがたい。

大量の荷物を手ぶらで運搬できる次元収納っつー魔法を含めて、本当に頼りになる相棒だぜ。

と、内心で感謝する俺。

…口に出して言うとこいつ、変に調子に乗ってめんどくせーからさ。

んじゃ、いただきます!

パンもあるから、サラダの野菜と一緒に肉を挟んで……

即席テリヤキバーガー!

うまいっ!

「アルはそういう食べ方好きだよね」

だって食べやすいし、一度に全部頬張れるじゃん。

「まあ冒険の旅では合理的かもね」

とか言いつつ、エドは普通に皿の上から食ってるな。

きちんとカトラリーを使って肉を一口大に切り分けて。

…なんだろ。

こんな粗野なダンジョン内なのに、おまえの周辺だけ高級レストランみたいな格調高い雰囲気が漂うな……

ただ食事をするだけの仕草にすら気品が溢れてる。

生まれつきの王子様オーラか?

すごいけど、ここに一緒にいるのが俺だけじゃ、無意味なすごさではある。

そうして俺たちはしっかりと食事を終えた。

食後は、お茶……ではなく、ただの水で喉を潤す。

ここ、めっちゃくちゃ熱くて汗もかきっぱなしだからさ。

こんな環境だとお茶なんかより、純粋な水が飲みたくなるんだ。

甘露、甘露っ!


さて。

腹ごしらえもできたし。ボス戦に備えての打ち合わせだ。

つっても、そこまで話し合うことはない。

いつも通りに、俺が先陣きって突っ込んでって、エドは何かあった時のためのサポート。

それでいいと思ってたんだ。

ところが、エドが意外なことを言い出した。

「ちょっと試してみたいことがあるんだ。僕が先に単独で戦ってみていいかな?」

そりゃ、いいけど。

なんだその、試してみたいことって?

「……僕は魔法使いだけど、剣士でもある。それなりに鍛えているという自負もあるんだ。だから」

…あー……

俺はちょっと遠い目になった。

心当たりがある。

さっきロビンソンさんに、エドは言われてたんだ。

「剣士としての評価だけなら、このダンジョンに挑むのは時期尚早」って。

プライドがちくちくっとしたんだろーなぁ……

前世のこうちゃんの頃からこいつ、意外と負けず嫌いだったから。

これだけ魔法チートで剣術まで使えるんだから、むしろすごいと思うんだけど。

「今まで僕は、その二つを別々に使い分けていた。でも、合体させることはできないかなって思いついたんだ」

合体?

「剣技に、魔法を上乗せできないかな、って」

おおっ!

なるほど魔法剣?とか?……なんかそーいう感じのやつだな!

カッケーじゃん!

それは俺もゼヒとも見てみたいから、試してみようぜ!

「うん。最初はうまくいかないかもしれないから、アルに迷惑かけるかもしれないけど」

なんかあったら全力でフォローするよ。

それが相棒ってもんだ。

だろっ?




とゆーわけで、話はまとまった。

念の為セーフティーゾーンで仮眠を取って、体調を万全にしてから、俺たちはボス部屋へと足を踏み入れる。

かなり広いワンフロアだ。天井も見えないくらい高い。

今までの道中と同様に、火球が飛び交い溶岩溜まりがあっちこちに……いや、下手したら今まで以上にあるな。危ねえ。

地面が比較的平らなことが唯一の救いか。

待ち受けていたボスモンスターは、ボルケーノドラゴン。

つい最近も見たことあるやつだ。

サイモンさんが自分のダンジョンで軽率に生み出して、エドを激怒させていた。

土と火属性のドラゴンだから、なるほど。このダンジョンのボスとしては納得って感じだ。

でも……

以前俺が倒したボルケーノドラゴンよりも、一回りはでっかい。

それに、背中から噴出してる炎も。数も多けりゃ勢いもすごいんだが…!?

「サイモンが生み出したやつはそれこそ生まれたてだったから、まだ成熟しきってなかったってことかもね」

と、エドがコメント。

しゃべってる間も、油断なくボルケーノドラゴンを見据えている。

手には、長剣。正眼の構え。

………。

すっごい今更なんだけど。

おまえの剣。なんか上物っぽくね?

俺のは騎士団に同行した時に支給された、ただの鉄の剣なんだけど……

「あ、僕のは一応ミスリルソードだよ」

ぅおいっ!?

「ミスリルは魔力伝達率がいいから、魔法剣を試すにはもってこいのはずだ」

そりゃちょうどよかったけどさ!?

また王城の宝物庫から持ってきたシリーズだな〜〜〜!

くっそ、めっちゃ格差を感じる…!

「アルは素手の方が強いんだから、別にいいじゃない」

そーいう問題じゃねえ!

ミスリル製の武器って、もうそれだけでカッコいいじゃん!

「……僕の方こそ、そういう問題?って言いたくなるよ」

俺はまた開こうとした口を、咄嗟に閉ざした。

ボルケーノドラゴンに動きがあったんだ。

ボス部屋に入った瞬間から俺たちの存在には気付いていたと思うが、あっちも様子見ってことだったのか、しばらくはじーっとしてた。

それが、急に機敏に動いて、近くの溶岩溜まりにドボンって。

半身をグツグツ滾る溶岩に沈めた状態で、


ーーーギェェェェッ!


と鋭く嘶きを発した。

とたん、ボルケーノドラゴンの周辺の溶岩がボコボコボコッと!

明らかに活性化して噴き上がり……魔法かなにかの力でだろう、岩礫くらいの大きさの塊がいくつも、こっちに向かって飛んできた!

「…くっ!?」

エドは長剣で、俺は拳で溶岩の礫を撃ち落とす。

あっちい!

ロビンソンさんは、闘気をまとわせてりゃ熱もガードできるつってたけど、やっぱ熱いもんは熱い!

何度もグーパンで迎撃してたら拳が傷んじまいそうだ。

長期戦はマズい。

短期決戦でなるべく早めに仕留めねーと…!

エドも同じことを考えたんだろう。礫を斬るように叩き落とした長剣に、集中して魔力を込めだした。

元から青白い光沢を放っていたミスリルの刀身が、さらに輝きを増していく。

なんだかエドの周辺だけひんやりしてきたぞ!

魔法剣……氷魔法をまとわせたのか!

ボルケーノドラゴンは溶岩溜まりから動こうとしない。

あそこが最大限に力を発揮できるベストポジションだって理解してるんだな。

エドの方から向かっていくしかなかった。

次の攻撃にはタメが必要なのか、ボルケーノドラゴンはまだ次弾を打ち出してこない。

今がチャンスだ!

真正面から、真っ直ぐに踏み込んでいくエド。

こんな身を隠せるような物陰もないだだっ広い空間だ。

どうしたって動きは相手にモロバレなので、いっそ大胆に正面攻撃を仕掛ける!……かと思いきや、

「ーーーーーハァッ!」

エドのやつ、最後の最後にフェイントをかけた!

ボルケーノドラゴンの鼻面に迫る寸前、横っ飛びのステップで脇腹側に回り込んで。

気合一閃!

魔法剣の斬撃が迸る!

魔力の残滓なのだろうか、太刀筋が空中に青白い光の軌跡を残していた。

やや弧を描いた太刀筋は、ボルケーノドラゴンのどてっ腹にもくっきりと爪痕を残す。

いや、爪痕なんてちゃちなもんじゃねー。

バックリと深く大きな裂け目の傷口が開き、大量の血と……あと本来は外側に飛び出ちゃいけない内臓的なグロいなにかがそこから零れ出してきた。

ま……マジでグロい。

けど、威力は抜群じゃねーか!

氷の魔法剣は一瞬だけ傷口を凍りつかせたようだが、ボルケーノドラゴン自身の熱で氷はすぐ溶けていた。いっそ凍りついたままであれば傷口の蓋になって、大量出血もなかったろうが。


ーーーギィーェェェェッッ!


また咆哮を上げるボルケーノドラゴン。

が、さっきと違って切羽詰まった悲鳴じみていた。

それでもまだ絶命はしていない。

なんて強靭な生命力なんだ。さすがはドラゴン種だな。

とはいえ見るからにダメージはでかそうだ。溶岩溜まりの中で激しく足踏みして、痛みに悶絶している様子。

身悶える度に出血が一層酷くなり、血と一緒に残りの命まで零れ落ちていくかのようだった。

って、溶岩が跳ね跳んでこっちも危ねえって!

エドが一旦バックステップで距離を取る。

ボルケーノドラゴンはそれを憎々しげに睨みつけていた。悶絶しながらも体の向きをぐるっと変えて、完全にターゲットロックオン状態だ。

背中の炎が、ますますバンバン燃え盛りだした。

なにかの攻撃前のモーションのようだ。

しかし、させるかよ!

俺だってただ傍観していたわけじゃない。

ボルケーノドラゴンがエドに気を取られている隙に、反対側に回り込んでたんだ。いつでもサポートできるようにな!

頭が西向きゃ、尻尾は東。

ボルケーノドラゴンが自らエドの方に向き直ったことで、必然的に俺の側には無防備な尻尾が回ってきた。

この、尻尾を…!

両腕でガッシと抱え込むようにして捕らえて…!

あああああ熱い熱い熱いッ!?

こんな尻尾の先っちょまでめちゃ熱いじゃねーかちくしょう!

あんまり長い時間は無理だ!

でも、エドにはほんの数瞬あれば十分のはず。

俺が尻尾ごと巨体をぐいーっと引っ張ってボルケーノドラゴンの攻撃モーションを阻んでいる間、エドは再度集中して長剣に魔力を込め直していた。

って、一回毎に魔力込め直さなきゃいけねーの!?

刀身の輝きが薄れてるから、どうもそんな感じだが……

魔法剣、持続時間は短いらしい。

…なにげに不便じゃね?

再チャージはほどなく完了した。

エドはもう一度サイドステップで素早く横側に回り込むと、さっきの太刀跡に重ねるようにして、もう一撃。


ザシュッーーー


それで決まった。

既に大きな傷口が開いていたところに、追撃を加えた形だ。

でっかい胴体が真っ二つ。

ドラゴン種は総じて高い防御力を誇るが、それは頑丈な鱗や皮があってこそ。裂け目から防御力ほぼゼロの内臓に直接斬り込みを入れられれば、ひとたまりもなかった。

俺が引っ張っていた尻尾側の後ろ半身を残して、前半身が溶岩溜まりにズブズブと沈み込んでいく。


ーーーギ…ィィィィィィェ!!!


完全に沈没する寸前、断末魔の嘶きを上げたボルケーノドラゴン。

すると、


ーーーボコボコボコボコッッ!!!


!!!

ヤバい!

ボス部屋全体のあっちこちにある溶岩溜まりが、一斉に気泡を上げて溢れだしてきた。

どう見ても派手に活性化してる。

ボルケーノドラゴンの最後の置き土産のようだ。

魔力かなにかで干渉して、さらに地下深くにあるマグマまで呼び寄せて。灼熱の溶岩をまるで噴水みたいに噴き上げてきやがった!

死なば諸共、俺たちまで道連れにするつもりか!?

イタチの最後っ屁かよ!ドラゴンのくせに!

くそっ、悔しいが効果的だ。

部屋中に点在している溶岩溜まり全部からマグマが溢れて噴き上がったりしたら、ほとんど逃げ場がなくなっちまう。


「アル!」


!


エドの声に、俺は急ぎそっちに駆け寄った。

抱えていた尻尾はうっちゃって行ったら、ボルケーノドラゴンの後ろ半身まで溶岩溜まりに沈んで見えなくなってしまったが、そんなこと気にしてる場合じゃない。

マグマ混じりの溶岩が溢れてきてるせいで、無事な足場がもうかなり少なくなってる。

俺は走るというよりピョンピョンと跳ねるようにして、エドと合流。

エドはすかさず結界魔法を張ってくれた。

まあるい球状のバリアが展開し、俺たち二人を包み込む。

とたん、視界が灼熱色に覆われた。

ボス部屋全体を埋め尽くさんばかりの、マグマと溶岩!あと炎柱!

ぜーんぶ結界魔法に阻まれて、俺たちは無事だったが……

これ、モロに食らってたら危ないところだった。

まるで地獄の業火さながらの光景に、肝が冷える思いがしたぜ。

…こんなクソ熱いのに、皮肉だな。




轟音と激震を伴う、灼熱の狂宴がしばらく続き。

やがて、収まった。

ボルケーノドラゴンの魔力干渉の効果が切れたんだ。

不思議なもので、一旦効果が切れてしまうと全部元通りの状態になる。さっきまであれほど荒れ狂っていた熱波の余韻は微塵もない。

これもダンジョンの不条理ゆえってことなのかもな。

安全をしっかりと確認した上で、エドが結界魔法を解除した。

「ありがとな、エド。助かった」

俺は遅ればせながら礼を述べた。

集中を乱しちゃまずいと思って、魔法を使ってる最中は話し掛けられなかったんだ。

エドはふぅっと息をついて、苦笑気味に振り返ってきた。

「それはお互い様だよ。ありがとう、アル」

俺は返事の代わりに拳をひょいっと突き出してみせた。

エドは一瞬だけ目をパチクリしたが、すぐに意を察して同じく拳を突き出し、俺のそれとコツンと合わせる。

自然、互いに笑顔になっていた。

「軽く考えてやってみたけど、魔法剣、まだまだ改良の余地ありだ。こんなボス戦でいきなり試すべきじゃなかったかもしれない」

エドが早速反省点を述べる。

けど、そーいう話はまた後にしようぜ。

俺は改めて主のいなくなったボス部屋をぐるっと眺め回した。

さっきまでの騒ぎが嘘のように、シーンと静まり返っている。

溶岩溜まりも。最初見た時と同じくらいの面積まで縮小してた。

俺はボルケーノドラゴンが沈んでいったあたりの溶岩溜まりに近付き、覗き込んでみた。

…特になにもない。

素材回収もできなけりゃ、ドロップ品も出なかった。

せっかくのボス撃破だったのに、戦果なしとは。なんかガッカリだな……

「いや、戦果ならそこに……って、こんな会話を前にもしたことあるね?」

エドがなにもない虚空を指さして言った。

首を傾げる俺の前で、両手でなにかを抱えるような仕草を……

あっ!?

なにもなかったはずのエドの手の中に、虹色の球体が現れた!

そうか、ダンジョンコア!

俺には見えてなかったが、エドが魔力で干渉したことによって視認できるようになったんだ。

制御はできそうか?

「やってみるよ」

エドが気合を入れて集中しだした。

額に、玉の汗を浮かべている。

ここは猛烈に暑いが……それとは無関係に、脂汗が滲んでいるようだ。

やっぱりコアの制御って大変なんだな?

俺には見守ることしかできないのが、もどかしい。

「ん、ううっ…………!!!!!?」

エドが、呻く。

苦しげに。

明滅するコアから、俺でも分かる程の膨大な魔素がじわっと溢れて広がり始め……

って、前と同じパターンかよ!?

頑張れエド!負けんな!

俺もまた前と同じように、もがくような仕草をしているエドの手に自分の手を重ねて、鼓舞した。

なんとか助けになってやりたかったんだ。

魔法の使えない俺が、こんな形ばっかり手を貸したって、どうしょうもないって分かっていたが。

………。

…うん。

忘れてた。

「ああっ……♡♡」

エドのやつ、あからさまにビクンって妙な反応しやがった……

さっきまでの苦しげな様子もどこへやら、頬を染めて熱っぽい目で俺を見詰めて……

や、

やめろ!

そんな目でこっち見んな!?




………!!!






***




…で。

結果から言おう。

制御できた。

ダンジョンコア。

俺がエドと手を重ね合わせて、こう、密着して励ましたとたん……

なあ。

疑いたくはねーんだけど。

わざとじゃ、ないよな…?

「えっ、酷い!コアの初制御って本当に大変なんだよ!?」

だ、だよな。

疑って悪かった。

でもさ、俺がおまえに触れた途端、急に簡単にできるって。

マジでどーいうことだよ…?

「そんなのもちろん愛の力に決まっているよ!ラブパワーは何にも勝るんだからコアの暴走くらい軽く凌駕して越えていくのさ!」

…あ、そう。

「アルが一緒にいてくれたら、僕はいつだって無敵だよ!」

…すげー。


もう俺にはそれくらいしか言えなかった。

ま、まあ、無事にコアを制御できたんだから、よしとしよう。

うん……




それから。

これも、前の時と同じ展開だ。

いきなり、目の前に、どーん!と。

ドアが出現した。

違うのは、『緑の楽園』では緑色のドアだったが、今度のは赤褐色のドアだったこと。

二回目なので、そこまでの驚きはない。

俺はエドと頷き合って。

ドアノブを捻って、開けた。


ガチャッ


その、向こうには。

「あっれー?チミたち、またそんなところからー?」

のほほーんとした顔のサイモンさんが。

これまた前と同じく、『マッドの館』の研究室に繋がっていたのだった。


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