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転生してホモスパイラルから逃げられたと思ったら前世で俺の処女を奪ったクソ野郎とエンカウントしちまった件  作者: KP
第二章

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父上はつらいよ・レボリューション1


おはよう、諸君!

私は意気揚々と登城した。


私、ギルバート・フォン・フュリューリンゲン。

宮廷官吏にして、次期王位継承者であらせられるウィリアム様の補佐を務める上級貴族。

とっても偉いのだ。

その偉さに比例して、仕事は超激務だがな。

今日の私はやる気と活力に満ち溢れている。

なんせ、アルが帰ってきてくれた!

しばらくしたら冒険者としてまた旅立ってしまうだろうが、諸々の用事があるため少なくとも一ヶ月は我が屋敷に留まる予定だと!

やっほぉぉぉぉぉぉいッ!!!

内心では欣喜雀躍の私。

この迸るばかりの喜びを表には出せないのが辛いところだ。

アル……それに、一緒にいらっしゃったエドワード様はこの国を出奔したってことになってるから。

二人がいなくなったことで、一時期宮廷は荒れに荒れ、大混乱の極みに陥った。

ここ最近でやっと少しずつ落ち着きを取り戻してきたのだ。

またあの混乱状態に戻ってしまっては、一大事。

ゆえに、二人の帰還は極秘中の極秘だ。

誰にも言えない。この胸先三寸にしっかりと秘めておかねばな。

ああ、しかし…

嬉しいなー!

屋敷に帰ったらアルがいる!

あいつとエドワード様も何かやることがあるようで、日中は出掛けているが、夕餉は共にできるはずだ。

今から楽しみでしょうがない。

アルの今までの冒険の旅の話も、まだまだ聞き終わってないからな。

昨日ちょっと聞いただけでも、かなり波乱万丈だった。

冒険者登録して、もうCランクになったって?

すごいじゃないか!

それに、第一級厄災指定モンスターのラージラージャナーガを仕留めたとか。

普通に武勇伝として聞くだけでも興味深い。

我が子のこととなったら、なおさらだ。

実は、二人がどうしてるかって動向はある程度は掴んでたんだがな。

いやだって、情報掴むの超簡単だったぞ?

冒険者パーティ名がアル&エドって。

全然隠す気ないだろ?って思いっきりツッコんでしまった。

どっちが考えたんだよと確認したら案の定アルの発案で。

エドワード様も止めなかったんかーい!?と呆れもしたが、彼は前々からアルに激甘だからなぁ…

まあうちの子、勢いだけで生きてるところがあるアホの子だから。

アルらしいなーと苦笑することしきりだった。

だから知ってはいたのだが、本人の口から直接聞くのはまた別だ。

他にももっとたくさん面白エピソードがありそうだし。

広い自由な世界に飛び出して、アルは本当にのびのびと楽しくやっているようでなによりだ。

今日の仕事早く片付けて、さっさと帰って、続きを聞こう!

というわけで、私は張り切っているのだった。




「フュリューリンゲン卿」

おっと。

ウィリアム様の執務室に赴く途中で、声を掛けられた。

別に珍しいことじゃない。

私は地位ある役職についているからな。

取り入ったり、おもねったり、あるいは動向を伺おうとしたり、他の宮廷貴族に声を掛けられることはよくある。

だが、今朝は珍しいな?

騎士団長のレオナルド殿だ。

彼も重要な役職に就いてはいるが、元は下級貴族からの叩き上げ。

武芸に秀でていたので、実力で出世した手合いだ。

そういう意味では私の同類。

多少の親近感が湧かないでもない。

でもなぁ…

私、こいつ苦手なんだよなぁー!

だって愚直が過ぎるんだもの!

誠実で真面目一途な騎士と、権謀術数に長けた宮廷官吏だ。

全然気が合わないし話も合わない。

向こうの方でも同様に思っているはずで、今までは互いに関わろうとはしなかった。

ただし、ここ数年は少し事情が変わってきている。

「…昨日、貴殿のところに客人があったと思うが」

理由は言わずもがな、アルだ。

あの子。めっちゃくちゃ頑健で強く逞しく育ってくれたから…!

騎士団の行軍に同行して大活躍して以降、騎士団の関係者一同から大人気なのだ。

特にこの、レオナルド殿。

アルの実力を高く評価しており、そのおこぼれで父親である私にも時折ではあるが親しく声を掛けてくるようになった。専ら「いつもご子息殿の力をお借りして、かたじけない」っていう謝礼ばかりだったが。

私自身のことは相変わらず苦手に思ってるだろうに、本当に愚直で義理堅い……

アルが出奔してからは、そういったやり取りもなくなっていたのだがな。

そうだった、アルとエドワード様から聞いていた。

昨日、成り行きで騎士団と一緒になって。王都に帰還していることが、彼らにはバレていると。

「客人はつつがなくお過ごしだろうか?」

それで声を掛けてきたのだな。

私が家出息子をちゃんと受け入れたかを、気にかけて心配しているフシがある。

私、宮廷では無情で悪辣ってことで評判最悪だものな…!

レオナルド殿が心配するのも頷ける。

だが、そんな心配など無用だ。

どこに人の耳目があるか分からない。私は迂遠な表現を用いて、二人を大事に扱っている旨を伝えた。

レオナルド殿はあからさまにホッとした様子だった。

「差し支えなければ、また騎士団にも同道していただきたい。そうお伝えくだされ」

さり気なく図々しいな、こいつ。

アルもエドワード様も、もう一介の冒険者なんだぞ。タダ働きの戦力として期待しようとするなよ。

…とはいえ、レオナルド殿はやはり誠実だ。

二人が帰還しているという情報を掴んでも、悪用しようとはしていない。今だって、周囲に悟られないように固有名詞は出さないで話してくれている。

たちの悪い輩だったら、私への脅しのネタに使うなりなんなりしてくるだろうに。

このへんが無碍にできないところなんだよなぁ…

ったく、本当にやりにくい。

しょうがないので、私は伝言を預かることにした。

「我が客人は、冒険者です。冒険者ギルドを通して、正式に依頼を出すのがよろしいのではないですかな」

これくらいは言い返してやったがな。

うちの子たちにタダ働きさせようとすんな、ちゃんと対価を支払え、と。

レオナルド殿はそれでもよかったようだ。

「おお!是非ともそう致しましょう!」

パァァッと表情を輝かせている。

こいつ、本当に依頼する気だ…!?

騎士団は戦力不足なのか?

そこまでしてアルとエドワード様に協力して欲しいとは。

ま、まあ、軍閥内部の問題は私には管轄外だ。

以前だったらくちばしを突っ込んで権力拡大に利用したところだが、今はもうそんな必要はないし。

第一、ウィリアム様の補佐が激務すぎて、余計なことに手を回す余裕などない。

…立ち話に時間を取られすぎたな。

私はホクホク顔のレオナルド殿と別れると、急ぎ執務室へと向かった。




さぁて、今日のお仕事だ!

サクサクっと片付けて、ササッと帰るぞ!

私はいつも通りにウィリアム様に出仕の挨拶をしてから、それに取り掛かろうとした。

が、ウィリアム様はそっと眉をひそめて、

「………フュリューリンゲン卿。なんだかやけに上機嫌だね?」

ギクゥッ!?

「なにかよっぽどいいことでもあったみたいだ」

速攻でバレた!?

なんで!?

これでも跳梁跋扈する他の宮廷貴族たちと長年やり合ってきた私だぞ。

ポーカーフェイスくらいお手のもの、と自負していたのだが…!?

「フュリューリンゲン卿がそこまで喜ぶことなんて限定されてるよね。例えば………アルが帰ってきた、とか?」

ギクギクゥッ!!?

「…えっ!?本当に!?本当にアルが帰ってきてるの!?じゃあ兄様も!?」

ウィリアム様が鋭すぎる!?

私の顔色から全てを察し、今や確信した様子で椅子からガタッと腰を浮かして!?

誰だ、このお方を凡庸な劣化品だなどと評してた奴は!?

めっちゃくちゃ鋭くて油断ならんじゃないか!?

「二人ともフュリューリンゲン卿の屋敷に滞在してるんだね!」

「い、いえその……それはっ…!?」

しどろもどろで言い淀む私。

こっちから認めるわけにはいかない。

かといって、仮にも主君と仰ぐと決めたお方に偽りを並べ立てることもできないし…

第一、嘘ついてももう絶対無理だろこれ!?

どう考えたって誤魔化しようがない!?

「僕も会いたい!二人に会いたいよ!仕事が終わったら、一緒にフュリューリンゲン卿の屋敷に行くからね!」

えええええー!?




内心で盛大に悲鳴を上げても、拒否することはできない。

だって主君からの命令だもの……

ウィリアム様。

普段は割と大人しくて気の弱いところがあるくらいだったが、存外押しが強いなぁ。

必要とあればいくらでも強く主張できるってことか。

次期国王としては実に頼もしい限りだが、今はただただひたすらに厄介…!

私は仕方なく、彼の望むままに我が屋敷へとご招待さしあげた。

王族。それも第一王位継承者を自宅へとお招きできることは、臣下として大変な誉れである。

宮廷での私の評価がさらに高まることだろう。

でも、なんだなぁ…

ちっとも嬉しくないなぁ…!

ウィリアム様には悪いが、余計な客人を招いたりせずに、アルとの時間を楽しみたかった。

しょうがないじゃん!久しぶりの我が子だぞ!?

…しかし、それを言ったら、ウィリアム様だって同じなんだよなぁ。

ずっとエドワード様とは会ってないはずだし、アルにも本当に懐いてくださっていたみたいだし。

気持ちが分かるだけに、なお断ることはできかねた。


そんなわけで。

ウィリアム様を伴って、私、帰宅。

王族に失礼があってはならない。先に使いの者を出して、使用人たちに迎え入れる準備は整えさせておいた。

そのへんは抜かりはない。

もっとも、ウィリアム様はそんなことどうだってよさそうだったが。

さっきからずっとソワソワしたりニコニコしたり、落ち着きがない。

久しぶりに二人と会えるのが本当に嬉しいんだなぁ…

だが、あいにく屋敷には二人の姿はなかった。

確か近くのダンジョンに行くって言ってたな。まだ戻ってきてなかったようだ。

私もウィリアム様も、張り切って仕事を早く片付けすぎたな…!

にわかに落胆するウィリアム様だったが、

「ただいまー」

脳天気な声と共に、うちの子が!

帰ってきた!

もちろんエドワード様もご一緒だ。

客間で寛いでいたウィリアム様が真っ先に二人に駆け寄って、

「おかえりなさい!アル!兄様!」

「えっ?なんでウィルがここに?」

「ちょっとウィル!?またアルに抱きついたりして…!」

「じゃあ兄様と!」

「えっ…!?」

「なんでもいいや。久しぶりだなーウィル。見ないうちにちょっと大きくなったか?」

「うん!そのうち兄様よりも大きくなるよ!」

「言うようになったね、ウィル…!」

「会えて嬉しいぜ!なあエド!」

「まあ、ね……元気そうでよかったよ」

若者たち三人で、わちゃわちゃと。

ウィリアム様、アルにもエドワード様にも思いっきり抱きついて、満面の笑顔だ。

ああいうのは子供の特権だよな。

私のような大人だと、下らない矜持が邪魔してなかなか素直に行動できないから。

まあ微笑ましい光景だった。

………。

う、羨ましいから混ざりたいだなんて、ちっとも思ってなんかないんだからねッ!?




嘘です思いましたすいません。

でもあそこに私みたいないい大人のおっさんが混ざるのはなんか違うな…!?って思って自重しました誰か褒めて。

…こほんっ。

私は年長者としての威厳をもって、三人を促してまずは食事のテーブルに。

夕餉の準備は整っている。

私たちは食事をしながら、たくさん話をした。

正直、かなり楽しかった。

もちろんアルがいることが大きいが。若者が三人もいる賑やかな食事の席は、とても嬉しいものだった。

いつもは私一人だけの寂しい食卓だからなー…

若干遠い目になる私。

…ハッ!?

いかんいかんっ。

つまらないことなど考えずに、今はこの時間をめいっぱい満喫しなくてはな!




私もだが、ウィリアム様もよっぽど楽しかったのだろう。

「僕、今日はここに泊まりたい!もっとアルと兄様とお話したいよ!」

えええええー!?

王族をいきなり宿泊させるだなんて、うちの使用人たちの気苦労がマッハなんですが!?

…って思ったけど、断れない。

本当に、気持ちは分かるだけに。

アルも、素直に甘えてくるウィリアム様に嬉しそうだし…

実の兄であるエドワード様が何故か一番渋い顔をしていらっしゃるな。

兄弟仲、悪くなかったと思っていたが…?

「アルにあんまりベタベタするなよ、ウィル。私はそれだけは許せないからな」

ああ…

エドワード様、うちの子のこと大好きだよなぁ。

親としては嬉しいが。

…エドワード様、意外と器ちっせえ。

とか思ってしまった。

5つも年下の実の弟にまで嫉妬するなよ。

まあでも、完全無欠の天才かと思っていたエドワード様だ。ひとつくらい欠点があった方が親しみが持てて逆に安心できるところはあるな。

なんだかんだで結局、ウィリアム様は一泊していった。

王城に使いを出して根回しすることになった私が大変だったりしたが…

三人とも夜更けまで楽しくおしゃべりしていたようなので。

まぁいいか。

と思うことにした。

子供の我儘をある程度聞いてあげるのは、大人の務めみたいなものだからな。



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