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転生してホモスパイラルから逃げられたと思ったら前世で俺の処女を奪ったクソ野郎とエンカウントしちまった件  作者: KP
第二章

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よそのダンジョン攻略記2


ビッグキャタピラーが現れた!

「ヒィィィぃぃっ!?」

俺のグーパンでぶっ飛ばした。

チョロい。

なのにエドがうるさかった。




キラービーの群れが!

「ギャーーーーーッ!?」

こいつに刺されたら大変だ。

距離を取って気の波動で攻撃っ!

近くに巣もあったから念入りに潰しておいた。

ドロップしたハチミツはうまそうだった。




アイアンアントがウザいくらいにウジャウジャと…

「生理的に無理ーーーっ!」

お、おまえな…

いくら倒してもきりがないので、数匹蹴り飛ばして踏み潰し、後はトンズラした。




地面の下からいきなり出てきたのは、ヘルワームか!

うにょうにょして、これは俺でもちょっとキモい!

「やだーーーーーーっ!アルもあんなのに触らないでっ!?」

…ひっつき虫がうるせーので、こいつも距離を取って攻撃だ。




キラーマンティス!かっけーじゃん!

「やだ怖いあっちいけーーーっ!」

ひっつき虫が背中から剥がれねぇ。

そして、うるせえ!

しょうがないからこいつも、気を放って撃退した。

…直接ガチンコで勝負したかったのに。




あ、デスタランチュラが木の上からぶらーんと。

「あばばばばばばばばっ!!?」

それどういう感情!?

エドの顔面崩壊が著しくてそっちのが気になった。

倒すの自体は簡単だった。

吐く糸と毒液にさえ気をつけりゃ、あんなでっかい蜘蛛ごときどうってことないぜ。




………。




「いや戦ってんの俺だけじゃん!?」

ここまでを振り返って、ツッコむ俺。

別に戦うのはいーけどさ!?

エド、おまえ全然苦手を克服できてねーぞ!?

さっきの決意はどこいった!?

「だ………だってぇ…虫キモい…」

あのなー!?

おまえの場合、そんなに近付かなくても魔法で一発ボカーン!で片付けられるだろ!?

なんでそこまでブルってんだよ!

「こーいうのは理屈じゃないんだよ!ただでさえ気持ち悪い虫なのに、あんな大きなモンスターとか!絶対に嫌だっ!!」

じゃーなんで進むなんつった!?

そこまで無理なら入口んところで引き返せばよかっただろ!

「で、でも、僕だってまったく成長してないわけじゃない…!」

どこが!?

「アルから2、3ミリ離れても気を失わずに済んでるよ!」

そんな微々たる成長で威張ってんじゃねーーーっ!!!

「僕にとっては大いなる躍進だ!」

だー!もー!

もう結構奥の方まで来ちゃったから、今更引き返したりはしねーけど!

もうちょっとしっかりしてくれよな!?

「うん!頑張るっ!」

………。

そのセリフ。

俺の背中から剥がれてから言ってくれねーかな…!?

「やだ。虫とは関係なくアルの背中すっごいあったかくて安心で居心地いいから離れたくない!」

ええー…

しょうがねーな…

とか言ってるうちに、また出た!

って、あれは!?


カサカサ…


うげっ…!?

ギガントコックローチ、だっけ。

キッチンとかに出没する黒い家庭内害虫の、でっかい版だ。

あ、でもそういやこの世界ではキッチンにあの害虫は出没しないっぽいな。

代わりにこんなモンスターがいるってことか…

これは俺も嫌だな。

普通に汚いし、キモい。

ってエドは大丈夫か!?

ただでさえ虫は苦手なのに、あんなの見ちゃったら…!

「………アッシュバルス」

えっ!?


ーーーシュゥゥゥゥゥ……


そのモンスターは破滅の渦に飲み込まれ跡形もなく消え去った。

思わずすぐ横を振り向くと、能面みたいな無表情のエドが。

「あれは殲滅する」

怖っ!?

いきなりどーした!?

さっきまで虫という虫にブルって役立たずのお荷物状態だったのに。

急にめっちゃ攻撃的じゃねーか!?

「あれは、決してやってはならないことをした。僕は絶対に許さないと誓ったんだ…!」

一体なにが!?

「前世で、僕がたろーちゃんのために一生懸命作ったカップケーキに……あれがたかって…!!!」

え。

そんなことあったの?

俺、知らねーけど…

「あんなのがたかったものをたろーちゃんにあげられるわけないじゃないか!僕は泣く泣く全部捨てた!たろーちゃんの喜ぶ顔が見たくて、頑張って作ったのに…!」

そ、そっか…

おまえの作ってくれるお菓子、すっごいおいしいから。

それは俺も残念だったな…

「あの時、僕は誓いを立てたんだ。あれは見つけ次第悉く殲滅する。一匹たりとも生かしてはおかないと」

お、おお…

怒りと恨みが恐怖を凌駕したってことか?

「前世ではさすがに現実的じゃなかったけど。この世界だったら絶滅させることもできるかもしれない。僕は、やるよ!」

マジか。

食い物の恨みは怖いな…

それに。と俺は思った。

他の虫はてんでダメなのに、あれだけは割と平気で攻撃もできるって。

なんか。

主婦のおばちゃんっぽいよな…

今更ながら、前世からの幼馴染の意外な一面を垣間見た気がする俺だった。




そんなこんなで、かなり奥地までやって来た。

そろそろ最深部じゃねーか?

『緑の楽園』は難易度低めと言われるダンジョンだが、それは入ってすぐなら引き返すのが簡単なのと、出入り口付近には低ランクのモンスターしか出現しないからだ。

ヤバいと判断した時点で、戻ることができる。

だからよっぽど下手を打たない限りは危機に陥ることもなく、冒険者の死亡率も限りなくゼロに近い。

しかし、奥に進めば進むほど、モンスターのランクも上がっていき。

最深部ではついにAランクモンスターともエンカウントした。

それも、二体同時に!

ギガントヘラクレスとギガントギラファだ!


ガッ!…バキッ!…ドゴッ!…ズーンッッ!!


まだ遠く離れたところからでも聞こえてきてた。

轟音がするから、何事かと思ってたら。

それぞれ立派なツノと大顎を武器に、真正面からぶつかり合ってる!

暴れる二体の力の余波で、天地が鳴動し、大気が震撼するほど。

さながら二大怪獣大決戦、みたいなド迫力だったが…

「カブトムシとクワガタの喧嘩じゃん!?」

サイズがバカみてーにでっかいだけで、俺にはそうとしか見えなかった。

…人気の昆虫ワンツートップといえるこいつらだが、基本すぐ喧嘩になるから一緒に飼っちゃいけないって言われてたよな。

こんな異世界モンスターでも同じだったのか。

俺たちが倒すまでもなく相打ちになってくれそうな気もしたが、このあたり一帯だけ木々が薙ぎ倒されて地面も踏み均されており、ひらけた広場みたいになっている。

相当長く戦いが続いている証拠だ。

こいつらの決着なんか待ってたら日が暮れちまう。

それに、こんな互角の勝負だ。決着がつく頃には勝ち残った方もかなり疲弊してるはず。

そこに後から戦いを挑むなんて、なんか卑怯くさくて俺はやだ。

よし!

決めた!

「おいエド、ちょっと離れ…」

背後を振り返ってひっつき虫に声を掛けた。

エドの奴、結局ずっと俺の背中にへばりついたままでやんの。

苦手な虫ばっかのダンジョンで精一杯頑張ってるんだろうと思い、大目に見てやっていたんだが、

「ああっ♡アルがこんなに近くにぃ…♡アルの匂いアルのぬくもりをこんな密着してダイレクトに感じられるなんて幸せすぎるぅ♡ハァハァ好き好き大好きアルぅ♡」

………。

おおおおいッ!!?

「おまえとゆーやつは…!!!」

俺は軽くチョップを決めて、ひっつき虫改め興奮してる腐れホモやろーを強引に引っ剥がした。

手加減してやったのは、こんなダンジョン奥地で昏倒させるわけにもいかねーからだ。

じゃなかったら、全力でぶん殴ってるぞこのバカ!

「あいたっ!?…酷いよアル、僕は虫が怖いのに!」

「嘘こけ!」

よく考えたら、ここにいるのはあのカブトとクワガタだけだ。

ほとんどの虫がダメだったこうちゃんも、この人気の昆虫ツートップは平気だった。

夏休みに二人で早起きして樹液にたかるカブトとクワガタを採りにいったことだってある。

今更怖がったりするわけがねーんだ。

なのに、こいつってばドサマギに俺にひっつくことに味をしめやがって…!

「カブトとクワガタだったら平気だろ!戦うのに邪魔なんだから、離れろよ!?」

「ちぇっ。……でも戦うって、どうするの?あの二体は既に勝手に熱戦を繰り広げてるじゃないか」

「ああ、このまま待ってても埒が明かねえ。だから乱入することにした」

「えっ?」

「おまえはそこで待ってろ!いくぞっ!!」

まだ何か言ってるエドを置き去りに、猛然と駆け出す俺!

うおおおおおおっ!!!

掟破りの飛び入り参加っ!

勝敗の決着を早めるには、第三勢力が介入するしかないっ!

俺が!それに!なってやりゃぁぁぁぁッ!!!

「ふんっ!!!」

まずはガチで組み合ってるこいつらの間に割って入り。

カブトのツノと、クワガタの大顎の片一方を、それぞれ片手で鷲掴みにして引き離すっ!

おりゃぁっ!


ズ・ズーーーーー……ンッッ!!!


気合と共に左右にかき分けるよーにして押しのけることに成功。

引き離された二体は少しよろめき、その巨体で大地を大きく揺るがした。

すぐ体勢を整えるだろうが…

それを待ってやるいわれなどなしッ!

俺は間髪入れずまずはカブトに肉薄し、今度は両腕でツノを抱えて力任せにぶん回してやった。

変形版・ジャイアントスウィングだぜっ!!!

おりゃーっ!!!

何回転かして遠心力で十分に勢いをつけたところで、思いっきり放り出す!

あっちにいるクワガタ目掛けてな!

くらえっ!一網打尽攻撃っ!!

カブトの巨体でクワガタも押し潰していっぺんに倒しちまおうって作戦!

だが、さすがにそうは上手くいかなかった。

敵もさる者。

昆虫独特の動きで素早く回避され、クワガタは無傷で終わった。

一方、ひっくり返った背面から大地に強く打ち付けられることとなったカブトは、K・Oすることができた。

ボンッ!と破裂音みたいな音と共に、巨体が消失。

ドロップ品は……ナシかよ、くっそう!?

明らかにボスキャラ級っぽかったから、なんかいい物出るかなって期待したのに!

こうなったら、クワガタに期待だ!

って、俺から行く前にあっちから来やがった!

向き直った俺のすぐ目の前に、巨大なノコギリ状の大顎が迫りくる!

しかし!

甘いっ!

顎が閉じられてチョッキーん!ってされる前に、俺は両手で難なくそれを押さえ込んだ。

思うんだけど、何でもかんでもでっかけりゃいいってもんじゃないよな。大きい分だけ両顎の間のスペースも広かったから、閉じられる前に余裕で間に合ったぜ。

そして押さえ込んだ顎を、逆にジリジリと押し返していく。

純粋な力比べ。

どっちが強いか、こんなに分かりやすくてスッキリする勝負方法もないよな。

俺の……勝ちだっ!

自慢の大顎を目一杯まで広げられて押し返され、クワガタが狼狽した、その隙に。

大顎の間にある、頭部に一撃!

最後はやっぱグーパンで!


ドゴンッ!!!


かくて、決着はついた。

二体とのガチンコ勝負に勝てて、俺は満足だった。

ただなぁ…

クワガタからもドロップ品出なかったよ!?

なんで!?

こいつらのどっちかがこのダンジョンのボスじゃなかったのか!?

憮然とする俺のところに、エドがやって来て労ってくれた。

「おつかれ、アル。すごかったね。特撮のヒーローみたいでカッコよかったよ!」

「うん……でもさ、せっかく勝ったのに戦果なしって、なんかガッカリだよな…」

「えっ?戦果っていうか、ダンジョン攻略した証ならそこに…」

「どこだよ?」

「あ、そっか。アルは魔法は使えないもんね。…これなら、どう?」

エドが両手で何かを抱えるような仕草をした。

すると、何もない虚空だったところから、虹色の球体がふわっと現れて…

えっ!?

これ、見覚えあるぞ!?

確かサイモンさんのダンジョンで見た…

「ダンジョンコア!?」

「うん。きっとあの二体、これを取り込んでダンジョンマスターになるために争ってたんじゃないかな。でもアルが二体とも倒しちゃったから、宙ぶらりんになったダンジョンコアが僕でも制御できる状態で漂ってたよ」

俺には何も見えなかったけど、魔法の才能のあるエドにはコアの存在が感知できてたらしい。

「ってことは、『緑の楽園』は今までダンジョンマスターがいなかったわけか…?」

「そういうことになるね。ダンジョンマスターの発生したダンジョンは難易度が高くなるって言われてるから、納得じゃないかな」

「コアを入手したってことは、これからはエドがここのダンジョンマスターか?」

「……どうだろ。サイモンから制御方法は教わってたし、これも制御できそうだけど、マスターになったかどうかまでは」

「サイモンさんに聞いてみたいよな」

「あいつを頼るのは気が進まないんだけど。第一、僕たち国を出奔してる身だよ?」

そんな話をしてた時だった。

ダンジョンコアが、唐突にピカピカっと明滅しだした。

「えっ!?」

「なんだこれ……制御を離れて、勝手に……くっ!?」

コアの暴走!?

俺でも分かるくらいの濃密な魔素が虹色の球体から滲み出して、あたりを侵食しようとしてる!?

驚き、戸惑うしかない俺たち。

特にエドは額に汗して苦しそうだった。

魔法でどうにか制御しようと奮闘しているようだったが…

「だ、ダメだ!?なにかが……溢れて……」

「しっかりしろエド!負けんな!」

魔法の使えない俺には、どうすることもできない。

できることと言ったら、せめてエドを励ますことくらいだ。

暴走するコアを抱えてもがくようにしているエドの手に、俺の手も重ねて精一杯鼓舞すると、

「あっ…♡」

「なにその反応!?怖っ!?」


エドがたいへんよこしまなひょうじょうになった。

シンプルにこわい。


…だけど、なんか知らねーけど、それが功を奏したみたいだ。

ダンジョンコアの明滅が収まった。

と思ったら、俺たちの目の前にいきなりどーんと緑色のドアが!?

「こ、これって……もしかして、どこでもド「それ以上言っちゃいけない、アル!!!」

………。

思わず口をついて出そうになった言葉を、エドの叫びにかき消された。

まあ、そーだな。

あれは確かピンク色のドアだったもんな。

色以外は本当に激似なんだけど。

「だからそーいうこと言っちゃダメだって…!」

こんなフィールド型ダンジョンの、森の中に、ポツンとドア。

かなりシュールな光景だな。

どこかに繋がっているのだろうか?

ってか、繋がってるよな?

なにせ剣と魔法のファンタジー異世界だし。

「よし、開けてみよう」

「ちょっとアル!?もう少しきちんと検証してから…!?」

エドが止めるより、俺が無造作にドアをガチャッと開ける方が早かった。

さーて、ここはどこかなー?

ってワクワクしながら向こう側を覗き込んでみたんだけど、

「あっれー?チミたち、そんなところからどーしたのだー?」

「えっ!?」

そこにいた人物に驚愕。

サイモンさんだった。

どゆこと!?


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