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転生してホモスパイラルから逃げられたと思ったら前世で俺の処女を奪ったクソ野郎とエンカウントしちまった件  作者: KP
第二章

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よそのダンジョン攻略記1


唐突にエドから文句を言われた。

「ねえ、アル。最近全然二人っきりになれないんだけど」

俺はポカンとしちまった。

ぶっちゃけ、なに言ってんだこいつ…って目でエドを見た。

だって俺たち、パーティを組んでるんだぜ?

四六時中常に一緒だと言っても過言じゃない。

しかもパーティメンバー二人だけだから、どっちかっつーとコンビとかバディとかって方が実態に近い。

要するに二人きりがデフォってことだ。

俺は多少不満なんだけどな。

もっと他のパーティメンバー入れたい。

できれば可愛い女の子がいいっ!(力説)

…まあ絶対にエドが承知しねーだろうから、はなから口にはしないけど。

意気投合したリンとも結局組めなかったしな。あっちのパーティメンバーのキリコにまで反対されたし。

だから俺はともかく、エドから不満なんて出るはずがない。そう思ってたんだ。

なのに、エドは実に不満そうに眉間にシワまで寄せたふくれっ面で、

「だってどこの町でもアルってばすぐ行きずりの誰かと打ち解けて仲良くなっちゃうじゃないか!」

「えっ…?」

そーだったっけ?

別に、普通だと思ってたけど。

だって俺たち冒険者。

冒険を求めて世界中を旅するさすらいの風来坊!…なんつって。

当然あっちこっち行くし、町じゃ必ず冒険者ギルドに寄って、そこにいる同業者とも話して情報収集したりもする。

依頼の出てるクエストをこなせば、依頼主とも縁ができるし。

もちろん旅の途中でモンスターとかに襲われてる人がいたら助けるだろ?

俺たちには戦う力があるんだから。

そうやって関わった人たちとある程度仲良くなるのは、ごく自然な流れで、普通のことだ。

第一、エドに言われる筋合いなんかない!

こいつ、どこ行っても女の子にキャーキャー囲まれてモテまくりで!

俺の尻ばっか狙ってやがるホモのくせに!

ちょっと…いやだいぶ………い、いや、かなりの美形だからって!?

くっそー!世の中所詮は顔か!?

ホモだろーと初対面じゃそんなこと分かりっこねーもんな!

見た目が絶世の美男子だと、無条件で女の子にモテモテとか…

俺にもちょっとは寄こせってんだよ!ったく!

俺を狙うホモゆえに絶対ありえねーって知ってるけど!二重の意味でちくしょう!?

「いや僕なんかよりアルの方が酷いから。なんであんな重度のファンとか信奉者をあっちこちに量産していくのさ」

ええー…

マジでなに言ってやがんだこいつ?

「僕に寄ってくる子たちなんて、所詮は見た目だけで判断するような軽薄なミーハーとかニワカだよ。アルは本命のガチ恋勢ばっかりじゃないか」

「そんな奴いたかぁ?」

ここんとこの記憶をさらってみても、思い当たることなんてない。

エドが、はぁ〜〜〜っと深い溜息をついた。

「…そーいうニブいところも僕は大好きだけど。実際困りものだよね。前世でもたろーちゃん、最終手段に訴えるまで僕の気持ちにも全ッ然気付いてくれなかったし…」

「そ、それを持ち出すのかよ!?」

「これでも結構露骨にアプローチしてたんだよ?」

ううっ…

そう言われると、俺がどうやらニブいらしいことは認めざるを得ない。

しかしこの話題はすっげーヤダなぁ!?

もう昔のことだし水に流してやってるけど、俺の最大級の黒歴史に触れるんじゃねーや!

とっとと話を切り替えちまおう。

「分かったよ。じゃあ二人きりになれるクエストかなんか、受けよーぜ」

「本当、アル!?」

俺は大きく頷いた。

とたんパァァ…と表情を輝かせるエド。

本当に現金な奴だよなー、こいつ。

まあ、いっか。

どのみち常に一緒の冒険者パーティの仲間なんだし。

エドは違うなんつってたけど、二人きりなんていつものことだ。

これでエドの機嫌が治るなら、安上がりどころか出費ゼロの大儲け、ってな。




で、肝心のクエストだが。

冒険者ギルドの依頼じゃなくて、ダンジョン攻略にすることにした。

依頼だとどーしたって他の誰かと関わっちまうから。またエドに難癖つけられかねない。

その点、ダンジョン攻略だったら、間違いなくパーティ二人きりだろ。

都合よく近くにダンジョンもあるしな。

どーせ挑戦するつもりだったんだ。

レオンハート王国の南側にあるダンジョン。通称『緑の楽園』。

冒険者ギルドで集めた情報によれば、フィールド型のダンジョンで比較的低めの難易度らしい。

初挑戦にはもってこいだろ?

腕っぷしにはそれなりに自信のある俺たちだけど、ダンジョンってのは何が起こるか分からない。

単純な強さだけじゃ攻略できない要素があったりもする。

だからまずは雰囲気とか?要領とか?そーいうのを掴むためにも、簡単なダンジョンから始めた方がいいんだ。

まっ、全部先輩冒険者たちの受け売りだけどな。

サイモンさんがマスターやってるダンジョンだったら何度も入ったことがあるけど、あれは例外。

人が管理してたから、基本的に人が使いやすいように整えられてたんだ。気候も一定で過ごしやすい温度だったし、モンスターも植物も好きなものをポコポコ生み出しては活用して。

天然物のダンジョンは間違いなくこれが初挑戦だ。

どんななのかな?…とワクワク胸を躍らせながら、まずは冒険者ギルドでダンジョンへの入場登録手続き。

発見済みのダンジョンだと、大抵はこーゆー事務手続きがあるんだって。

勝手には入れないんだ。

面倒だけど、これにはちゃんといくつかの理由がある。

一番は、冒険者の生死の確認のため。

入場登録後、一定期間を過ぎても帰還報告手続きに現れなかったら、その冒険者は死亡したとみなされるシステムだ。

冒険者は何があっても自己責任。

生死さえも。

こんな話を聞くと、改めて気持ちが引き締まるよな。

あと普通の冒険者には入ることも許されない特殊なダンジョンも世界にはあるんだってさ。

サイモンさんのダンジョンも、実はその類だったよな。『マッドの館』はサウザンド王国が直接管理することになったから、国の正規軍か関係者以外は立入禁止に指定されてたんだ。

で、ここのダンジョンの入場資格は、Cランク以上。

冒険者登録すれば自動的に付与されるEランクや、頑張れば割と誰でもなれるDランクは、さすがにダメって決まりだった。

あっぶねー。

俺たち早々にランク上がってて助かったぜ。

ってわけで、手続きも問題なく完了!

俺は上機嫌のエドと一緒に、『緑の楽園』へと足を踏み入れた。




森の中心に位置する樹齢何千年という超巨木の、根本あたりにポッカリと空いた大きな虚。

それが『緑の楽園』の入口だった。

中に入ると、また森だ!

ただし外よりもじっとりとした体感温度で…

亜熱帯くらいか?

湿度も気温もやや高めだ。

植物が繁茂するにはいい環境なんだろうな。

枝葉に視界を遮られてあんまり遠くまでは見通せないが、見える限りずーっと森が続いているようだった。

これがダンジョン名の由来かな?

大抵のダンジョンは内部の様子とマッチした名称をつけられるから。

「植物系のモンスターがたくさん出てきそうだよね。注意しながら進もう、アル」

エドがきびきびと言って歩き出した。

そうだな。

周りがこんな植物だらけじゃ、擬態して潜むのも簡単だろうし。

それに植物系のモンスターって、俺でも気配を掴みにくいんだよな…

動物とはどうも勝手が違う。

呼吸が異なるからかな?

植物は光合成のため、二酸化炭素を吸って酸素を吐き出す。

モンスターでもそれは同じなんじゃ、って思うんだ。

この世界には魔法があるから科学みたいなもんは全然未発達で、この手の研究もされてないから実際のところは分からないけどな。

にしても、エドはなんだかんだ言ってやっぱ凄いし頼りになるなぁ。

俺だけだったら特に何も考えずにさっさと突き進んでたぜ。

パーティの仲間が賢いしっかり者だと、心強い限りだ。

俺はエドと並んで、周囲を警戒しながらゆっくりと進んでいった。

そして。

ほどなく、第一モンスターと遭遇したんだが。


「ギャァァァァァァァァァァァァァァァァァァッッ!!!!!!」


エドの頼もしさが、一瞬で消えた。

今は派手に悲鳴を上げて俺の背中にくっついてガタガタ震えてるばかり。

…現れたのは、キラーモス。

植物系モンスターじゃなく、虫系モンスターだった。

思い出した。

こいつ、虫とか大の苦手だったんだ。

中学の林間学校でも、夜にそのへん飛んでる蛾を見てはすっげー悲鳴を連発してて。

俺、トイレにもいちいち付き合わされたっけ…

俺がいてもどーにもならねーと思うんだけど、「たろーちゃんがいてくれなかったら、即気絶しちゃう!」って必死の形相で懇願されて…

そして今更だが、このダンジョンの名の由来が判明した。

ここは住処となる植物がめいっぱい生い茂った、虫たちにとっての楽園だったんだ。




そういや虫も、冬より夏の方が湧きやすかったよな。

このじっとりした気候。

奴らが活発に活動できる最適な環境ってことか。

燐粉を撒き散らしながら飛来するキラーモスの群れ。

…あれ、吸い込んだら絶対ヤバいやつだろ。

俺だとどうしても近接戦闘になるから、本当はエドの魔法で攻撃して欲しいところだが…

「やだやだやだやだ無理無理無理無理無理ぃっ!!!」

だ、ダメだー!?

今のこいつは俺の背中にへばりつくひっつき虫でしかねえ!

虫嫌いのくせにひっつき虫とか!

いやあれは植物の種子だっけ!?

って今はそんなのどーだっていい!

これじゃ俺も身動き取りづらいだろ!?

ちょっと離れろよ!

「やだよ!アルから一ミリでも離れたら僕は即座に気絶する自信があるよ!?」

碌でもねーこと堂々と言うな!?

おまえ、前世の中学生時代から全然成長してないのかよ!?

「人がそんなに簡単に変われるもんか!」

でぇいっ!?

開き直ってからにー!

しょうがない、ダンジョン入ってすぐ出すことになるとは思わなかったが。

奥の手だ!

「ーーー波ァっ!!!」

何年か前にドラゴンの肉を食ってからできるようになった、波動砲っぽいやつ!

構えた掌から闘気の塊を放って敵を攻撃する技、な!

俺のイメージ的にはカメハ「だからその名称使っちゃダメだって!」…ひっつき虫が、背後からうるせぇ!?

ともかく、これなら距離を取って戦える!

普通にグーパンするより疲れやすいから、あんまり頻発はできねーけどな!

幸い、この一発でキラーモスの群れの大部分はジュッと音を立てて消滅した。

撃ち洩らした奴も、危険と察知したか、森の奥へとUターンしてったし。

ひとまず、脅威は去った。

…なんかモンスターの脅威っつーより、もっと別の種類のピンチだった気もするが…

「やれやれ。危ないところだったね…」

いつの間にか俺の背中から離れて、エドが無駄にカッコつけて言った。

………。

おまえなぁ!?




んで、どーする?って話になった。

エドがこんな調子じゃ、このダンジョンの攻略は無理ゲーだろ。

入ってすぐで情けないが、もう引き返して戻るか?って聞いてみたんだ。

俺としては気を遣ってやったつもりだった。

しがしエドは強張った表情で首を横に振り、

「う、ううん…!せっかくアルと二人きりのクエストなのに、もう終わりなんて絶対に嫌だ…!」

…変なところで意地っ張りだよな、こいつ。

二人きりって条件、別に他のクエストに変えてやったっていいのに。

「それに、虫系モンスターにはこれからもきっと遭遇する。いつまでも苦手なままじゃ、いけないんだ…!」

おっ…!

それは確かにそうだな。

地域によって生息するモンスターはまちまちだが、気温の高い場所だったら何かしらの虫系モンスターが高確率で出現しそうだ。

冒険の旅を続けていく上で、避けては通れない。

いいな、気に入ったぜ!

苦手を克服しようと頑張るっていう、その心意気!

それでこそ冒険者じゃねーか!

俺も及ばずながら力を貸すぜ!

「うん!アルと一緒なら、僕はなにも怖くないよ!」

…それはひっつき虫だった奴のセリフじゃねーと思うが。

まあいいか。

んじゃあ改めて、奥へと進んでくぞ!


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