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転生してホモスパイラルから逃げられたと思ったら前世で俺の処女を奪ったクソ野郎とエンカウントしちまった件  作者: KP
第一章

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異世界転生は出たとこ勝負ッ!

「う、うう……うわーんッッ!!!」


「!!???」

いきなり激しく泣き出しやがった!

もう成人のくせにギャン泣きだ!?

「酷いよ、僕を置いてかないでよ!僕はアルがいないと生きていけないのにぃぃぃぃぃっっ!!!」

逃げようとした俺の所業に、本当はずっとギリギリの精神状態だったらしい。

にこやかだったエドの表情は、一瞬で脆くも崩れ去っていた。

今は駄々っ子みたいに身も世もなく泣き喚いて、俺にありったけの感情をぶつけて詰め寄ってくる!

って、こっちくんな!?

「逃げないでよぉぉぉぉっ!!!酷いよおおおぉぉぉぉぉぉっ!!!」

酷いのはおまえだ!

くっそ、でもこいつ一度泣き出すと止まらないし話も通じなくなるんだよなぁ!?

普段余裕綽々で冷静ぶってる反動なのかもしれねーけど。

すっげー厄介…!

しかも泣くと強いんだよこいつ!

「僕はこんなにアルのことが大好きなのにぃぃぃぃっ!!!なんでぇぇぇぇぇっ!!!」

なんでもクソも…

ホモじゃねーからだよ!

ただの友達としてなら、俺だって拒んだりしねーのに!

おまえがいつまで経っても俺のことおかしな目で見て執着するから…!

「約束したじゃん!一緒に冒険しようって!ずっと一緒だって!ねえたろーちゃん!!!」

泣き喚いてるうちに、錯乱してわけが分からなくなったのだろうか。

エドが、俺のこと久々に前世での名前で呼んだ。

また唐突に…と戸惑ったが。

あ。

その呼び方がきっかけになったみたいだ。

俺の記憶の奥底から、とある情景が引き出されて浮かんできた。




『なあ、どこまで進んだ?』

『んーっとね、船を入手したよ!』

『マジかー!俺まだそっちの大陸まで行けてねーよ!』

『攻略方法教えよっか?』

『うーん……いや!自力で進める!その方が面白い!』

『そっか、たろーちゃんらしいね!』

『な、ゲームみたいにさ、モンスター倒しまくって冒険できる世界とかあったら、楽しいよな!』

『それだと魔王まで出てこない?』

『俺が倒すから平気だ!』

『たろーちゃんなら強くて優しい勇者になれるね!』

『こうちゃんのが勇者っぽくね?勉強も運動もできるんだし』

『ううん、僕は……勇者を助けるパーティメンバーでいいよ』

『なら、賢者かな!なんでもできる!』

『たろーちゃんとだったら地の果てまでもついていくよ!』

『じゃあ俺たちで最強パーティ結成だな!』

『うんっ!』

『ずっと一緒に冒険しようぜ!もしそんな世界があったらさ!』

『!………うん、ずっとずっと一緒!約束だよ!』




小学生くらいの頃だっけ。

当時流行ってたゲームの話から、そんなやり取りをしたことがあったんだ。

…他愛もない子供の、非現実的な口約束だ。

俺は冗談のつもりで本気じゃなかった。

あの頃はこんな異世界に転生するなんて想像もしてなかったし。

「僕のこと嫌わないで!たろーちゃん!」

…ああ。

またなんか思い出してきた。




『うああああああんっ!』


『あー、山田くんが佐々木くんを泣かせたー!』

『喧嘩かよ?おまえら珍しいな?』

『どーせ山田がなんか乱暴したんだろー?』

うっせー!

違うよ!

こいつが、あんまり俺にべったりだから…

ちょっと鬱陶しいって言っただけだ!

『うわ、ひでー…』

『佐々木くんかわいそー』

『謝って慰めろよ、山田ー』

な、なんだよ…

みんなして、俺ばっか悪いみたいに…

『泣かせたんだから、悪いに決まってるだろー』

『ほら、早く謝ってやれってー』

うぐぐぐっ!?

…嫌だ!

『おい山田…』

俺、すぐ泣く奴は嫌いだ!

泣いてみんなの同情集めてなんとかしようとするような奴、俺はもう知らねー!

みんなが慰めてやりゃいいだろ!

『マジひでーな山田…』

『山田くんサイテー』

くっそ…

なんで俺ばっか…

『っ……待って、たろーちゃん…』

ん?

なんだよ?

『ぼ、ぼくっ……泣かない……もう泣かないから……』

…こうちゃん?

『僕のこと、嫌わないで…!!!』




そうだ。

あれから、泣き虫だったこうちゃん。

全然泣かない強い子になったっけ…




もうずっと遠い記憶の彼方だった。

なんせ、前世のことだもん。

この世界に転生してからもう18年も経ってるし。

今の今まで思い出しもしなかった。

人生の最後で友情を裏切られた恨みつらみだって、もう時間の経過と共にかなり風化してきてる。

なのに。

…なんでかなぁ。

幼馴染の親友だった頃の記憶は、一度思い出しちまったら、なんかもうダメだなぁ。

どうしてもないがしろにできねーよ…

俺、甘いかな?

でもさ。

しょーがねえじゃん。

誰かをずっと恨んで、憎んで、避け続けるのって、しんどい。

それが大事な親友だった相手なら、なおさらだ。

なあ、こうちゃん。

…エド。

俺は、もう一度おまえとちゃんと向き合いたい。

一緒に冒険しようって約束したあの頃に戻りたいよ。

また信じて、笑い合える仲になりたい。


…断じてホモにはなれねーけどなっ!!!!!(超重要)


俺はひとつ、ゆっくりと深呼吸した。

エドはギャン泣きの勢いでいつの間にかちゃっかり俺に縋り付いてる。

隙だらけだ。

全力で突き飛ばして逃げれば、たぶん逃げ切れる。

でも、できなかった。

普段の余裕も冷静さもかなぐり捨てて、形振り構わず泣き喚いてる。

必死なこいつを突き放すことが、どうしても躊躇われたんだ。

その時点で、ある意味で俺の負けだったんだろう。

「…もう泣くなよ。俺は泣いてなんとかしようとする奴は嫌いだって言ったろ?」

「ぎらわれだぐない…!!!」

「じゃあ泣き止め。嫌ったりはしねーから」

「ほんと…!?」

「一緒に冒険するって約束した、友達だもんな。しょーがねえ」

「たろーちゃん…!!!」

あー…

現金だなぁ、こいつ。

俺が態度を軟化させたとたん、もう泣き止んで笑顔になりやがった。

涙と鼻水でべっしょべしょのヒデー面だったけど。

美形が台無しだな。

俺はつい吹き出しちまった。

「嬉しい…!僕を受け入れてくれるんだね、たろーちゃ……アル!」

喜色満面でエドがますますムギューっと縋り付いてきた。

ってゆーか、これもう完全にハグされてんな。

…今だけ、我慢してやろう。

あ。

でもこれだけは言っとかねえと!

「言っとくけど、友達だからな!それ以上でもそれ以外でもない!友達以外の関係になったりするつもりはねえから、おかしなことすんじゃねーぞ!」

「うん、分かってる!」

「変なことしやがったら即パーティ解散だかんな!」

「心配しないで。もう前の時みたいに無理やりなんてしないから」

本当だろうな…!?

貞操の心配をしながら冒険なんてやってられねーんだ。

信じたいところだが、こいつにゃとびっきりの前科があるからな…!

疑わしげな俺に、エドは言った。ニッコニコの笑顔で、

「アルが自分からすべてを委ねてくれるようになるまで時間を掛けてじっくりゆっくり口説いていく所存だよ!」

「だぁぁっ!?」

やっぱり分かってねー!?

友達以外にはならねーつってんのに!

だけどこれくらいはもう目を瞑るしかないか…!?

俺がホモにはなれねーように、エドも俺を諦めたりはできねーんだろう。

俺たちの互いの要求は絶対に両立しない。

永遠の平行線。

いずれ必ず破綻する関係だ。

…既に今の段階で十分破綻してるって気もするが。

まあ、いいや。

そんときゃ、そんとき考えよう。

俺は頭を使うことは苦手だからな。

あんまり悩んでもしょーがねえ。

今は、約束通り一緒に。

「行こうぜ、エド!」

「うん!」

冒険の旅へ!

生まれ変わったこの広い異世界を見に行こう!











………。


あ、でも。


「よく考えたらエドが結局くっついてくるなら国を出奔する意味自体ないような…?」

「えっ?それじゃあ今からでも戻ろっか?今ならまだ明日の婚姻の誓いの儀も予定通り執り行えるし僕たち名実共にパートナーに」

「と思ったけど男が一度決めたことを覆すなんてありえねーよな!すぐに行こうすぐに出ようこんな国!!!」

あ、

あああああっぶねえええええ!!!(滝汗)

またしても人生詰むところだったぜ!

やっぱ油断ならねーな、異世界ってやつは!

「アルがうっかりすぎるだけだと思うよ?」

んだと!?

「だけど僕はそれもひっくるめてアルが好き♡」

………あっそ。


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