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転生してホモスパイラルから逃げられたと思ったら前世で俺の処女を奪ったクソ野郎とエンカウントしちまった件  作者: KP
第一章

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周りの人々はかく語る〜マッドでニッチなあんちくしょう編〜3


エピソード3・ドラゴン肉の効能について


花形モンスターっていったら、やっぱ断然ドラゴンだよなっ!

みんな知ってるだろ、ドラゴン?

最強生物として知ってるだろ?

知名度の高さはそれだけでその種が優れていることを示しているといえよう。

んがっ!

最強生物であるが故に、どの国でもほとんど研究が進んでいないのが現状だ。

だって討伐めっちゃ大変だって聞くし。

並の冒険者とか騎士程度じゃ、一個師団で掛かっても多大な犠牲を払ってやっと勝てるかどうかといったところ。

勝てたとしても、討伐後に採取できる素材は大体痛みまくってる。

人海戦術でタコ殴りにして戦うわけだからな。素材のことまで気にしてる余裕なんてなかろうし。

普通なら、だが。

わっはははは!

僕は違うぞ!

現在、ひっじょーに恵まれた環境にある!

まず僕自身の研究で、元データのあるドラゴンは魔素さえあれば生み出せる。

今のダンジョン内の魔素総量を考えると、せいぜい一度に一体までしかまかなえないのが残念なところだが…

討伐して魔素に還元してもらえれば、また新たなドラゴンを生み出せるから、まぁノープロだっ!

で、そのドラゴン討伐は、アルバートくんとエドワードくんに丸投げでお任せできる!

これに関してはアルバートくんの方が頼りになるかなー。

エドワードくんだと強すぎる魔法で素材をボロボロにしかねんからな。

その点、アルバートくんは素手の一撃でドーン!だ。

その場にいなくてもダンジョンコアを通じてダンジョン内の状況を把握できるので、僕は知っているのだー。

すっごいよなぁ、アルバートくん!

僕は武芸とかはからっきしで詳しくないが、あんなことできる奴なんてそうそういないってことくらいは分かる。

剣術も嗜んでるようだが、たぶん素手の方が強いんじゃないか?

剣士ではなく武闘家の適性がより高いのだろう。

研究資料を漁るため出入りしていた冒険者ギルドで小耳に挟んだことがある。武闘家は下手に武器を装備すると邪魔になってかえって攻撃力が下がっちゃうんだと。

アルバートくんは自覚してるのかな?

まぁ僕は戦闘に関しては門外漢だから、口出ししたりはしないけどな。

とにかく、アルバートくんが素手の一撃で倒してくれるもんだから、僕はドラゴンの素材をほぼ痛みのない最高の状態で研究できるってスンポーだ!

おそらく……いや!間違いなく!

たった今この時点で、僕は世界一ドラゴン族について研究を進められているだろうっ!

しがない天才魔導士である僕だけの力では、実現できなかった。

アルバートくんたちとの得難い出会いに、重ね重ね感謝だな!


「ううっ……辛い、怖い……なんでここのモンスターはこんなに強いのばっかりなんだぁ…」

「もう俺心折れそう……ってゆーか折れた」

「もーヤダ。もー二度と立ち上がりたくないぃぃぃぃ……」

ボヤきと嘆きを零しているのは、この国の騎士団の連中だ。

比較的若い。採用されたばかりの新兵かな?

なんか騎士団も時々訓練のためダンジョンに来ることにしたんだそーな。

僕は別に構わんけど、実際に訓練してる騎士たちは不満と文句タラタラみたいだぞ?

身の丈に合わない訓練させられて、いたずらに命を危険に晒されている……ってことらしい。

アルバートくんたちも一緒についてるから、滅多なことにはならんと思うけどなー。

「ええい、おまえら情けないぞ!それでも栄えあるサウザンド王国騎士団か!?」

声を張り上げて叱咤する団長殿。

その後ろでは副団長殿が溜息ついて頭を振ってる。

休憩のために貸し出している館の一室の床にへたりこんでる騎士たちは、暗〜い目で恨めしそうに団長殿を見上げていた。

…温度差えぐいなー。

こんなんで訓練の成果なんて出せるのか?

僕が気にすることじゃーないだろうけどな。

そこに、脳天気な明るい声が。

「おーいおまえら、メシができたぞー」

アルバートくんだ。

エドワードくんと一緒にキッチンで何か作ってたな。

「腹が減ってちゃ力も出せねーだろ?エドがうまいもん作ってくれたから、みんなで食おうぜ!そんで元気出せよ!」

「あ、アルバート様マジ天使…!」

「笑顔に後光が差して見えるぅぅぅぅ…!」

「もー一生ついていきますぅッ!」

「おまえらっ…!?」

とたんに表情をパァァァ…!と輝かせる騎士たち。

反面、団長殿は渋い顔。

「申し訳ありません、アルバート様。こいつらが不甲斐ないばかりにお気を遣わせてしまって」

「いーって!うまいもんはみんなで食った方がいい!だろ?」

「…まったく、あなたというお人は…」

騎士団がこんな反応なのは、用意してもらった食事が、ダンジョン内で採取した超高級食材を使った絶品料理だって知ってるからだ。

作ってるのはエドワードくんだけど、彼は基本的にアルバートくんの分しか作ろうとしない。

アルバートくんが「みんなで食おう」と提案してくれたからこそ、ご相伴に与れるってわけだ。

そりゃみんな感謝するよなー。

僕も。

コアを使って拡張した食卓にみんなでついて、揃っていただきますなのだー。

今日のメニューは、なに?タンドリードラゴン?

香辛料を効かせたドラゴン肉だな。

さっきアルバートくんが単独討伐してきたグリーンドラゴンの肉を早速使ったか。

ちなみにダンジョンの設定をまた変えて、モンスター討伐後に素材ドロップする設定から、普通に死体としてそのまま残るように変更してあるぞ。ドラゴンの素材は丸ごと研究のために欲しいからな。

「うおおおおっ!めちゃ美味い…!」

「アースドラゴンも超美味かったけど、グリーンドラゴンはさらに上じゃね!?」

「香辛料のおかげもあるだろ!…普通に買ったら一体いくらするんだろ…!?」

貪るよーにがっついて食べる騎士たち。

団長殿もこの時ばかりは注意したりせず、自分の食事にのみ集中して舌鼓を打っている。

かように、ドラゴンの肉も、ここで栽培するようになった香辛料も、究極的に美味なのであーるっ!

美味なる食事は、人の心を穏やかにするものなのか。

さっきまであれほどギスってたのが嘘のように、食後はみんなまったりした空気に包まれていた。

「ああー…マジで美味かった…!」

「幸せすぎる…!」

「これで伝説通りにパワーアップなんかできちゃったりしたら、言う事ないんだけどなぁ」

「おまえ、それは欲張りすぎだろー?」

ハッハッハと明るく笑い合う騎士たち。

…ん?

僕はその会話にちょっと引っかかった。

その伝説って、アレだろ。ドラゴンの肉を口にすると強靭になる、ってのだろ。

あれは事実だぞ。

「えっ!?」

「ほんとかよ!?」

僕の研究成果を疑うのか?

ムッとして言い返す僕。

「だって、その割には俺たち全然…」

「こないだアースドラゴンを食べたけど、それから強くなった感じはしないよなぁ?」

「今のグリーンドラゴンもだよ。誰か、強くなった実感あるか?」

ほぼ全員が首を横に振る。

そして僕に疑いの目を向けてきたが…

うーむ、どうやら少し説明の言葉が足りなかったようだな?

ドラゴンの肉は人にさらなる力をもたらす。

でもな、誰に対しても、ってことじゃーないんだよなぁこれが。

「どういうことだよ!?」

「まどろっこしいな!ちゃんと分かりやすく説明しろ!」

僕ははぁ〜〜〜っと長い溜息をついた。

じゃあ分かりやすく言ってやろう。

例えばだが。ドラゴンの肉に、十倍パワーアップの効果があるとする。

食えば、元の強さの十倍強くなれるってことだ。

だが。

元の強さが、ゼロだったら?

ゼロには何を乗算しても、ゼロのままだろ?

つまり、そーいうこと。

ドラゴンの肉でパワーアップするには、それ相応の元の強さがなくっちゃー話にならんってことさ。

「な、んだと…!?」

「俺たちが強さゼロだと!?」

「騎士団をバカにしてんのか!?」

さぁな。バカにするの基準は人それぞれだから、知らんが。

この場合のゼロかそうじゃないかの基準は、パワーアップアイテムそのもの。

つまり、ドラゴンより強いかどうか、だ。

チミたちはドラゴンより強いのか?

「………う、ぐっ!?」

「そ、それは…!?」

分かったか。

強さを得るには、最初から受け皿となり得るある程度の強さが求められるんだ。

そもそもの伝説だって、昔はドラゴンの肉を口にするのは討伐した本人だけだったから定説として広まったんだろう。

今は、集団でタコ殴りにしてかろうじて討伐したドラゴンの肉を、王侯貴族が金で買ってっちゃうからなぁ。そんな連中が口にしたところで、パワーアップなんてするはずがない。

それでもチミたちは幸運だと思うぞ?

パワーアップできないまでも、強者のおこぼれでこんな美味いものを食わせてもらえてるんだからな。

「あっ!?じゃあアルバート様は!?」

「それにエドワード様も!」

騎士たちの視線が僕から逸らされ、一斉に二人の少年へと向けられた。

そう、この二人だけ、さっき強くなったかと聞かれて首を横に振ってなかった。

エドワードくんは穏やかな微笑みを浮かべて……どこか計り知れない様子。

アルバートくんはというと、手をワキワキさせながらおもむろに椅子から立ち上がってみんなと距離を取り、

「…波ァっ!!!」


ボンッ!!!


「「「「うおおおおおおおおおおおッッ!!???」」」」

おおおおおおおっ!?

これには僕もビックリだ!

独特の構えを取ったアルバートくんの手から、ナニカが放たれた!

魔法じゃない。

でも攻撃魔法にも似た、純粋なエネルギー波みたいな…

「すっげー!本当にパワーアップしてる!出せそうな気がしたからやってみたら、出せちゃったぜ。カメハ」

「いけない、アル!」

エドワードくんが急にガタッと腰を浮かして、待ったをかけた。

いつになく神妙な顔つきで、アルバートくんに向かって大きく頭を振り、

「それ以上は、いけない!」

「…そ、そっか?でもこれ、俺的には絶対にあれなんだけど。カメ」

「だからダメだってば!!!」

二人の言い争いの内容については、よく分からなかったが。

これで検証できたな。

やはり僕の研究成果は正しかったと!

規格外の強さを持ったこの二人がいると、本当に捗るなぁ!

わっははははは!


あ、ちなみに、際限なく強くなれるわけでもないはずだぞ?

人の器の容量めいっぱいまでしか、パワーアップできんはずだ。

でも早々に人類最強になりそーだよな。この二人は。



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