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転生してホモスパイラルから逃げられたと思ったら前世で俺の処女を奪ったクソ野郎とエンカウントしちまった件  作者: KP


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ダンジョン攻略記1


サウザンド王国、騎士団長。レオナルド、記す。

王都近郊に発生した洞窟型ダンジョンの調査及び攻略についてーーー




正直なところ、アルバート様からの申し出は渡りに船だった。

ダンジョン攻略に同行したいと!

すごく助かる!!!

…うむ。

今年度の新兵募集の結果が捗々しくなかったのだ。

古参の兵を見ても、どの部隊も練度が足りておらず、はっきり言って戦力不足。

長らく平和が続いたことの弊害といえる。

平和はもちろん素晴らしいが、危機感がなければ人は自らを鍛えることをしない。

本来であれば、有事の際にはすぐ対処できるよう、一定の戦力を保たなければいけないというのに…

これは団長である私の落ち度でもあった。

忸怩たる思いである。

が、悠長に反省している暇もない。

人里近くにダンジョンが発生してしまったのだ。

ダンジョンはモンスター素材や宝箱といった富をもたらすが、それは攻略できてこそ。

攻略できる戦力がなければ、ただ人々を脅かす脅威でしかない。

また、発生したダンジョンがよりによって特殊なタイプだったらしく。

先の雑木林に溢れ出ていたダンジョンモンスター駆逐の任では、予想外の強力なモンスターと何体も遭遇することとなり、肝を冷やす場面が幾度もあった。

目立った被害を出すことなく討伐できたのは、ひとえに同行くださったエドワード様。そして御学友であらせられるアルバート様の力によるところだ。

エドワード様が文武両道、武芸百般の達人であることは言うに及ばず。

…アルバート様に関しては、最初、あまり良い印象を抱いていなかった。

王子殿下に気に入られているからと、調子に乗っているだけのアホな若造に思えたのだ。

まして、あの腹黒く狡猾なフュリューリンゲン卿の子息である。

父親の奸計である可能性も考慮せねばならぬ。

王子殿下のコネで息子を騎士団の行軍にねじ込み、それを足がかりに、我ら軍部の派閥にまで口出ししてくる腹づもりではあるまいかと勘繰らざるを得なかった。

アルバートとやら、武芸は王子殿下と互角だなどと吹聴されているが、どうせ大した実力ではあるまい。

それでも王子殿下の推挙を無下には扱えぬ。

名目上は隊長格にするしかなく、下手に怪我でもさせようものなら後でフュリューリンゲン卿にどんな難癖をつけられるか分かったものではない。

とんだ厄介なお荷物を背負い込まされた。

そう溜息することしきりだった。

が、蓋を開けてみればどうだ。

なみいる強力モンスターをバッタバッタと薙ぎ倒し。

まさに鎧袖一触の快進撃!

護衛のつもりでつけた騎士たちが、逆にアルバート様に何度も助けられる始末。

頭脳明晰だが武芸はからっきしのフュリューリンゲン卿の子とは思えぬ!?

それは性格も然りで、実に真っ直ぐな気性の気持ちの良い若者だった。

噂などはアテにならぬものだな…

しみじみと痛感し、私は自らの偏見と先入観と不明を恥じた。


そんなわけで、私は今ではアルバート様の戦闘能力及び人格を高く評価している。

王子殿下の気に入りでなければ、あるいはフュリューリンゲン卿の子息でなければ、是非にと養子に請いたかったくらいだ。

せめて騎士団に勧誘したいところだが…

それも、難しいな。

エドワード様のあの執心ぶりでは。

そう思っていた矢先だ。

アルバート様に、こそっと話を持ちかけられた。

「なあ、明日はダンジョン攻略に行くんだろ?俺も連れてってくれ!」

王城での練兵中に。

周りに誰かいないか気にした様子でキョロキョロしながらやって来たアルバート様は、明らかにエドワード様のことを気にしていた。

もう騎士団に同行はさせない、と決然と言い放っていたからな。

私としては願ったりだが、独断でアルバート様を連れて行くわけには。

「そこをなんとか!」

必死の形相で拝み倒された。

「大体、エドのやつにそこまで指図させるいわれはねーんだよ!俺の勝手のはずだろ!?」

うーむ。

忠義を誓ってしかるべき王族相手にこの言い草はいかがなものかと思うが。

アルバート様の身分は貴族。すなわち王国の藩兵。

危急の際に剣を取って戦うことは、貴族としての責務であるといえる。

本人もやる気であるし。

確かに、御学友だから連れていけない、などという法はないしなぁ…

よしっ!(黒い笑み)




「団長!レオナルド騎士団長!!」

本日の練兵を終え、回廊を歩いている際に、後ろから追いすがってくる声に呼び止められた。

誰なのかはすぐに分かったが、常の彼らしくもなく非常に焦った様子である。

…私は努めて素知らぬフリで、冷静な顔のまま振り返った。

「おや、これはエドワード王子殿下。いかがなされたか?」

「いかがも何もないよ!明日のダンジョン攻略にアルも同行させるって…どういうことだ!?」

なお、アルバート様に約束したのはつい半刻ほど前のことである。

エドワード様のお耳が早いのか、アルバート様が隠し事が下手すぎるのか。あるいは、どっちも、なのだろうか。

ともあれ、バレては仕方ない。

下手に取り繕うとかえって後ろ暗い感じになるので、私は堂々と言ってのけた。

「アルバート様から、是非に同行したいと申し出てくださったのです。前回の行軍で彼の力量は知っておりますからな、とてもありがたいと思い快諾いたしました」

予想できていたがエドワード様は酷く渋い顔。

「ダメだ、私は許さないぞ!」

案の定、ゴネられた。

しかし本来、エドワード様にこんな横槍を入れる権利はない。

騎士団の人事権や部隊編成は、団長である私に一任されているのだ。

王族の意向であれば多少は斟酌するべきであるが…

今回はゆえあって、あえて突っぱねると決めている。

「…私の言葉を跳ね除けるというのか。レオナルド団長」

おぅ。

エドワード様がかつて見たことないほどの凄い形相で睨んできた。

おっかねえ…!

が、私とて騎士団長。この程度の圧には屈せぬ!

内心では冷や汗ものだったが、おくびにも出さずにシレッとして言ってみた。

「今回の任務遂行のためには戦力はいくらあっても足りないのです。部隊を率いることができる隊長格の戦力であれば、もう一人二人欲しいくらいなのですから…」

「分かった。私も同行しよう!」

決断早ッ!

察しが良く果断なところもエドワード様の優れた点といえよう。

そう、明日のダンジョン攻略にはエドワード様は加わらない予定だったのだ。

連続で王族の方にご出馬いただくわけにもいかないからと。

…アルバート様を参加させる気がなかったエドワード様。王城で二人でまったり過ごしたかったんだろうなぁ。

しかし、事態は急転した。アルバート様も騎士団に同行する。

私に突っぱねられたエドワード様が取れる次善の策は、自らも同行する、ということになると思っていた!

万事、目論見通り…!

さらなる戦力確保の成功に、隠れてガッツポーズを取る私だった。




そしてダンジョン攻略、当日。

「んだよ、結局おまえも来たのかよ」

「当然だろ!アルだけで行かせられるもんか!」

エドワード様の姿を見つけて、アルバート様は最初驚くよりも呆れ顔だった。

が、すぐに明るい笑顔になって、

「まあエドもいるなら頼もしいから、いっか。ダンジョン攻略、頑張ろーな!」

「…う、うんっ!もちろんっ!」

エドワード様、ちょっと頬を染めていらっしゃる。

…青春だなぁ。

などと思うのは、私も年を取ってしまった証拠か。

なんだかんだ言って、このお二人は本当に仲が良いのだよなぁ。

前回の行軍での、ワイバーンに拐われかけた騎士を助けた連携プレイも見事であったし。息の合った名コンビといえる。

御学友なんてのも伊達じゃないということか。

出会ってまだ数年のはずなのに、まるで十年二十年と共に過ごした竹馬の友のようにさえ見える。

軍を率いる身としては、誠に心強い限りだ。

さて、おしゃべりはここまで。

我々は慎重に洞窟ダンジョンへと潜っていった。




入口は、さして広くなかった。

切り立った崖にポッカリと口を開いているが、この幅では、一度に通れる人数はせいぜいが二三人といったところ。

隊列を縦長にして、少数ずつ進軍するしかない。

先頭は、私。そのすぐ後ろに、エドワード様とアルバート様。

だが、歩を進めてしばらくもしないうちに、とんでもなく広々とした空間が現れてきた。

大地には、外の雑木林よりもよほど立派な木々が生い茂り森を成しており。

洞窟内部のはずであるのに、天井が見当たらない。それどころか陽射しに似た明るい光が降り注いでいる。

その景色が遥か遠くまで続いており、果てが見えなかった。

「酷い空間の捻れだ…」

エドワード様が顔をしかめていた。

魔法にも卓越した才を持つ彼には、ここの異常さが誰よりもはっきりと感じ取れるらしい。

ダンジョンとはそもそもが常軌を逸した空間だ。

自然界の魔力や瘴気が吹き溜まりになって次元を歪め、物理法則を無視して本来であればありえない広さのフィールドや建造物の姿を形作る。

それにしても、ここのダンジョンの規模の大きさは桁違いだ。

こんなに広くては、もはやもうひとつの別世界と評しても過言ではない。

「なんか来るぞ!」

アルバート様が鋭く叫んだ。

彼の感覚的な索敵能力は非常に優秀だ。逸早く気付いて注意を促してくださったが、我々もすぐにその気配を察知するに至る。

なにせ、やたらと図体のでかいのが、森の木々を薙ぎ倒して騒音を蹴立てながらこっちに向かってきたので。

これで気付けない方がどうかしている。

木々の隙間から目視できる程に接近されて、若手の騎士たちは取り乱し、私ですら息を呑んだ。

「「「ギャーーーーーッッ!!???アースドラゴンーッ!!!!!」」」

「ティラノみてーだなー。カッコいい!」

「アル、さすがにそんなこと言ってる場合じゃないよ…」

余裕があるのはエドワード様とアルバート様のお二方だけだった。

というかこの二人、こんな場合でも呑気に会話してる。

さすがの胆力だ!?

確かな実力があるからこその、この態度なのか!?

だが、エドワード様のおっしゃる通り、ドラゴン種が相手ではいくらなんでも…!

ドラゴン。

文句なしの世界最強種。

ドラゴン種の間では相生相剋の相性によって強弱や優劣が入れ替わるというが、ドラゴン対人ではどちらが強いかなんて火を見るより明らか。

「しっ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ!今度こそ死んじゃうーーーーーッ!!」

「こんなことならマリアンヌちゃんに思い切って告白しとくんだったぁぁぁぁぁッ!?」

「ヤダーッ!!!まだ死にたくないーッ!!!」

迫りくる、リアルな『死』。

それが我ら人族にとってのドラゴン族だ。

そんじょそこらのモンスターとは存在の格が違う。

私はハッとして撤退の合図を出そうとした。

ダンジョンに入ってすぐ撤退とは情けない限りだが、この場合はやむなしだ。

ドラゴン族とまともに戦えるわけがない。

ところが、私が片手を上げてサインを出す前に、

「よっし、いくぞー!」

アルバート様が行ったぁぁぁぁぁぁッッ!!?

しかも、ものすごい軽いノリで!?

あなた貴族でしょーが!?

なに一番危ない最前線に単身突撃かましてるんですか!?

心の中で盛大にツッコむ私だったが、現実には止める暇もなかった。

アースドラゴンとアルバート様が接触!

巨大な顎を開けて襲い掛かろうとするアースドラゴン!

アルバート様は、その場に足を止めて迎え撃つ構えだ!?

えっ!?抜剣してない!?

素手でやるの!?ドラゴン相手に!?

無茶苦茶無謀すぎィ〜〜〜〜〜!!???



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