第41話 廃坑に響く、四つの崩落
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第41話 廃坑に響く、四つの崩落
夜明けと共に、部隊は廃坑への突入を開始した。そこから先の記憶は、いくつかの崩落の音と共に、断片的にしか残っていない。
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坑道に入ってすぐ、先頭を歩く索敵班の足元で地面が轟音と共に陥没した。悲鳴が上がる間もなく、崩れた岩の下に一人の兵士が消える。
「掘れ! 急げ!」
部隊長の声が響く中、俺は崩落の断面を凝視した。割れ方が、自然の崩落とは明らかに違う。中心の一点から放射状に、まるで見えない拳で叩き潰されたような跡だった。
「範囲攻撃だ。あの一撃だけで十メートル四方が潰れてる」
「本体は」
「見えない。姿を見せずに、力だけを飛ばしてきてる」
その報告に、部隊長の顔が険しくなった。
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坑道の中腹、フィーネが不意に足を止めた。
「反応、来ます。左前方、五十メートル」
「散開!」
叫んだ瞬間、坑道の壁が轟音と共に爆ぜた。石片が飛び散り、何人かが咄嗟に伏せる。
「壁越しでも、届くのか」
ガルドが大剣を構えたまま、低く唸った。
「距離を取れば安全、って話じゃなかったのか」
「今の距離感を覚えておいてください。次はもっと遠くから来る可能性があります」
フィーネの声には、これまでにない緊張があった。
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三度目の崩落は、俺のすぐ隣で起きた。
「危ない!」
ヒカリが咄嗟に俺を突き飛ばす。二人揃って倒れ込んだ場所を、轟音と共に岩が抉れていった。
「イチさん、大丈夫ですか」
「ああ、助かった」
立ち上がりながら、俺は崩落の跡を見つめた。今度の攻撃は、明らかに俺を狙っていた。偶然ではない。
「狙われてる。俺が」
「なんでですか」
「分からない。だが、これで三回連続、俺の近くにばかり落ちてる」
その言葉に、ヒカリの顔が強張った。
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四度目の崩落が起きたのは、坑道の最奥に近い場所だった。今度はガルドが標的だった。
「くそ、避けきれるか!」
ガルドが横に跳ぶ。だが完全には避けきれず、大剣の先端が崩落の余波で弾き飛ばされた。
「ガルドさん!」
クレアが叫ぶ。ガルドは体勢を崩しながらも、なんとか立ち上がった。
「無事だ。だが、こいつは本当に洒落にならんな」
「四回とも、間隔が短くなってる」
俺は崩落の位置を頭の中で並べ直した。一度目は先頭、二度目はフィーネの近く、三度目は俺、四度目はガルド。狙う対象に明確な規則性はない。だが攻撃の精度だけは確実に上がり続けている。
「イチ、これはお前の見立てじゃ、どうなる」
部隊長が険しい声で尋ねる。
「相手は、こっちの動きを学習してる。最初は見えてる場所を狙ってた。今は、動く先を予測して撃ってきてる」
「学習する敵、か」
部隊長が舌打ちした。
「だとしたら、長引かせるほど分が悪くなる」
その言葉に、俺も同意するしかなかった。廃坑の奥、まだ姿を見せないグロズの気配だけが、四つの崩落の余韻と共に、確かにこちらへと近づいてきていた。
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