42 「自由」への最終解釈
北境の春は遅くて短く、厳しい冬が一瞬だけゆるむほどの、かすかな移ろいにすぎなかった。
だがレオンとリディアにとって、このほとんど暖かさを感じさせない「気温の上がる時期」は、すでに深く凍りついた関係も、骨の髄まで冷えきった絶望も、融かしてはくれなかった。
あの顔を裂くような衝突以来、二人はほとんど言葉を交わさなくなった。
レオンはますます黙りがちになり、仕事中は魂の抜けた抜け殻のように歩き、南方の空を仰ぐ眼差しは虚ろにかすみ、そこには果てのない絶望だけが残っていた。
リディアは一日中怯え震え、肝をつぶした兎のように、レオンを、そしてキャンプの誰もかれもを必死に避けていた。
かつて「自由」の輝きを宿し、聡明で狡猾ささえ漂わせていたその瞳も、今では濁った止まり水のように麻痺し、骨の髄まで染みついた怯えだけを映していた。
前は徴だった羊耳と尾は、今では苦痛と羞恥の源でしかなかった。
北境の酷寒と劣悪な衛生環境のせいで、彼女は重い凍瘡と化膿した皮膚病を抱えることになった。
耳はただれて膿を垂らし、耐えがたい悪臭を放つ。尾の毛も塊になって抜け落ち、赤く腫れた皮膚がむき出しになる。痛みと痒みに日夜さいなまれ、彼女はまともに眠ることすらできなかった。
リディアはもう、東宮にいたころのように誇らしげに、あるいは誘惑めいて耳や尾を揺らし、レオンの憐れむような視線を引き寄せることはできなかった。
今の彼女にとって、それらは醜く、耐え難い現実と卑しい身分をいやでも思い出させる、ただの重荷だ。まさに苦しみそのものだった。
ある深夜、リディアは高熱にうなされた。
全身が火箸を押し当てられたように熱いのに、同時に骨まで冷えるほど寒く、震えが止まらなかった。
ただれた傷口は耐えがたい痛みを走らせ、さらに濃い悪臭を放った。
薄くて防寒にもならないボロ毛布にくるまり、意識はぼやけて、乾ききった唇はひび割れ、途切れ途切れに痛みの声を漏らした。
「家に帰りたい……家に帰りたい……秘境に……
ここじゃない……出して……
自由……私の自由……こんなはずじゃない……
レオン……助けて……痛いよ……とても痛いよ……」
少し離れた藁敷きの上で寝ていたレオンは、幽鬼のように続く彼女のうめき声にうんざりし、いら立ちながら寝返りを打って、カビ臭いボロ毛布を頭に巻きつけ、あの声をなんとか遮ろうとした。
眠り直そうとしたものの、その苦痛と絶望の声はどこからともなく染み込み、耳に突き刺さり、心をかき乱した。
どれほど時間が経ったのか、夢か現実かも曖昧な混沌の中で、レオンは突然跳ね起きた。
闇の中でその目は不気味に光り、隅で苦痛に身を縮め、臭気をまとったリディアをじっと睨みつけた。
いくつかの記憶の断片と、アリシアがかつて絶望の中で語った「未来の光景」が頭の中で交錯し、レオンを狂気じみた執念へと駆り立てた。
アリシアは……あんなふうじゃなかった……リディアとは違った……だから抑制剤を飲まされ、角を鋸で切られることになって……
でも……未来は変えられるのか?
もし……もしリディアが今のこの醜く、吐き気を催す姿じゃなくなったら?
もし彼女が……「普通の」――獣の特徴のない、人間の姿になれたら……
アリシアは……もしかして許してくれる? 俺が悔い改めたと思って……もう一度、戻ってきてくれる?
この歪んだ妄念は、まるで猛毒の蛇のように、レオンの痛みと怨嗟で満ちた脳裏へと這い入り──瞬く間に根を張って肥大していった。
流罪の刻まれた痛み、アリシアを求めても決して届かない執着、現実をどうすることもできない怒り──そしてあらゆる災いの元凶であるリディアへの極限の怨恨が……
極限まで歪み切った感情のすべては、その瞬間とうとう、常軌を逸した逃げ道に飛びついた。
レオンは物音ひとつ立てずに身を起こした。
幽霊のように暗闇中で手触りだけを頼りに、冷たい工具の山の中から、普段は雑木を払うのに使う錆だらけで切れ味の鈍いなたを探り当てた。
彼はその冷たく粗雑な柄を握りしめ、朦朧とした意識で熱に倒れているリディアへ、足を引きずるように近づいていった。
「リディア……」
レオンは低く呼びかけた。
その声はかすれ、どこか虚ろで、背筋を冷やすような不気味さを帯びていた。
「お前……一番“自由”に憧れてたよな?」
「今……この耳と、この尾が、一番嫌なんだろ?
お前を苦しめて……お前を惨めにして……お前を、人として扱われなくしてる……」
「俺が……俺が救ってやる。楽にしてやる……
この耳も……この尾も……俺が取り除いて……全部、終わらせてやる……」
「そうすれば……お前は……“本当の自由”になれる……!
そうすれば……きっと……前みたいに戻れる……お前も……俺も……」
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