24.吸血鬼さん、三人目の眷属獲得。
一体これはどういうことなのか。ローブで全身を覆い如何にも魔王という姿だったのが、ヤギの角持ちのロリっ娘に変身した。
いや、変身では無いか。本人の口ぶりから察するに、スキルの効果で幻影を見せていたというのが正解だろう。
それにしても”魔王の威厳”とは仰々しい効果名だ。スキル名や各レベル帯での使い方の幅の広がりが気になるが……記憶を吸えば分かることか。
「うぅぅぅぅぅ……ずるいのじゃあ‼ レベルを下げるなんてズルいのじゃあ‼」
魔王はジタバタと暴れ、駄々を捏ね始めた。
俺にあやす気は無い。そろそろ抵抗も出来ないレベルだろうから、記憶を吸ってさっさと眷属にしてしまってそれで終わりだ。
記憶を吸い始める。今度は抵抗もなくいけそうな感じだった。
すると、それに気づいた魔王は敗北を悟ったのか駄々を捏ねるのを止め、涙声で言った。
「……うぅ、じゃがズルをされようが負けは負けじゃ。くそう、好きにするといい。妾が死ぬまでぬし様を”好き好き”になるようにすると良かろう‼ ……しかしのう、妾の最後の意地だけは見せてやるのじゃ。せめて妾の知識だけは奪わせぬ」
そして、その言葉を皮切りにおかしなことが起きた。吸える記憶がほぼ無くなり、直近の俺との戦闘のものだけになったのだ。
手ごたえ的に隠したわけではなく――どうやら一切の記憶を自ら破棄したようだ。
潔いというべきか、それとも悪あがきと捉えるべきか……。
まぁ、魔王のスキルについての詳細は、眷属化した後に育てればおのずと分かるようにはなる。すぐに把握出来ないのは残念だが、時間を掛けて知れば良いので構わない。
一番に大事であった、”俺のスキルから逃れる術を持つ存在をどうにかする”、という点は達成されたので、そこまで落胆する必要も無い。
それにしても……本当に色々な使い方が出来るスキルのようだ。育てれば重宝するようになるかも知れない。
「ぬし様。妾のぬし様ぁ」
記憶を失い無垢になった魔王に、摂取させる体液として俺の血を舐めさせ、そして”眷属化”を行うと無事に成功した。
その状態でティティやミミ同様に俺に心酔するように仕向ければ、すっかりこの通りだ。
「だーい好きなのじゃあ」
ロリっ娘は対象外ではあるのだが、こうしておくと扱いやすくなるのだから仕方が無い。
見た目だけで言えば倫理的な問題がありそうにも思えるが、魔王の誕生と存在が確認されたのは三十年ほど前であり、つまりこのロリは三十路だ。
年齢的な問題は無い。
というか、魔王を手中に収めたということは、この世界の魔王対人間と言う構図は無くなったのではないだろうか。
色々と均衡が崩れかねない気もするが――いや、それは逆か。
俺のスキルで勇者たちを役立たずにしてしまったのだから、魔王を手中に収めるのは、むしろ均衡を守る為のアフターフォローのようなものとも言える。
対を成す存在の片方だけを消すと天秤は傾くが、二つとも消せば一方に傾く事は無く釣り合いが取れたままだからだ。
結果的には良かったのかも知れない。
「ぬし様、ちゅっちゅしたい」
「いや遠慮しておくよ」
「駄目じゃーするのじゃー‼ ちゅー」
なんとも積極的なロリであり、俺が嫌がっているというのに気にせず頬や首筋にキスを連発して来た。
眷属化の後は元々の気性が表に出やすいことを考えると、魔王の本質は甘えん坊とかその類のようだ。
しかし、これがティティやミミのような美少女や美女であるなら俺もムフフを期待するのだが、ロリはな……。
復讐を円満に進める為ではあるし、結果的にアフターフォローとなった点は確かに良かったが、その代わりに面倒くさいのを手に入れてしまった気がしてならない。
いや、そこは考え方次第か。ロリも新しい刺激だと思えば良い。何事も挑戦は大事なのであって、好き嫌いはせずに行くべきだ。
※
拠点に帰ると、ティティやミミに泣きながら抱きつかれた。
自分たちは捨てられたのではないか、あるいは俺が死んでしまったのではないかと考えると、不安で心配で眠れない毎日だったようだ。
「うぅ……旦那さまぁ……」
「生きていて下さって良かったです。ご主人さま……」
俺は「悪かったよ」と告げて二人を安心させると、虚実混じりに新たにロリっ娘が一員に加わったことを説明した。
二人とも俺の言葉は100%信じるので、変に疑われることは一切無い。
さてそれから。
一週間弱不在であった埋め合わせとして、俺はティティとミミの二人のご奉仕を同時に受ける事となった。
眷属となって間もない為に疲れていたらしい魔王がすやすやと眠った後に、ミミの【支援の勇者】の効果をフル活用して、俺は朝方まで二人を相手に欲望を満たしたのだった。
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