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ぐっど喪ぉにんぐ!! 〜土葬少女のセカンドライフ〜  作者: わた氏
13章 ごっちん!! 今日から俺がデウス様!
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赴け、神の身体で戦場へ!

 今日の俺はデウスだ。


 如何にも紳士な革靴が軽快なリズムを刻み、アスファルトに足音を響かせる。

 耳に入ってくる鼻歌は、俺のものじゃない美麗な音色で。

 冬の空気が撫でる金髪は、俺のものじゃない上品な色味で。

 鞄に掛けた手は、俺のものじゃない白く艷やかな造り。


 だがこの胸の高鳴りは、紛れもない俺のものだ。




 ――遡ること小一時間。

 ごっちんとぶつかり身体が入れ替わった俺とデウス。


 どうしたものかと自身の顔を見つめるデウスに対し、俺は閃いた。


「なぁ……このまま1日過ごしてみねぇか?」

「なぬ?」


 俺の提案に、デウスは一瞬目を大きく開いた。


「悪くねぇ話だと思うぞ。なんせ俺の身体なら、ザラメがついてくるんだからな」

「はっ……?!」


 再度目が見開かれ、瞳に星の煌めきが宿った。


「知っての通り、ザラメは俺にズカズカくるんだ。遠慮無しに『郡さぁん♪』ってな」

「遠慮無し!? ととと、ということは、愛しのザラメとあぁん♡なことやこぉん♡なことも……」

「できるかもな」

「なんと!!」


 俺の顔で興奮するデウス。

 鼻血まで出し、表情は早くも天にも昇るって感じだ。気が早いと思うが。


「素晴らしい提案だな青年!! 是非とも身体を貸してくれたまえ! 1日とは言わず、1週間でも1年でも!!」


 力強く、デウスが俺の手を握る。

 興奮のあまり、理性が吹っ飛んでいる。

 だが、その方が好都合。


「だったらその間、俺はお前の身体、そしてお前の所有物を借り受けることになるな」

「好きに使いたまえ!」


 朗らかに応じる男は、ザラメとの空想に鼻の下を伸ばしきっている。


「そうなりゃ……何があるか分かんねぇからさ。念のためにお前の情報、色々教えてくれね?」





 ――――


「まさか快諾されるとは」


 パズルのピースが嵌まるかの如き、利害の一致。

 お互いの身体で過ごすことになった俺たちは、それぞれ別の道を歩き出した。それぞれの目的、各々の戦場へと向かうのだ。


 俺はと言うと、バスに揺られること数分。

 今、丁寧に手入れのされた靴の先は戦地の入り口を指している。

 傍には、10周年記念で設立された馬のオブジェ。

 看板には、年末に開催される“有馬記念”の告知がされていた。


 そう。戦地とは、俺と馬のだ。


 “ようこそ”と看板の据えられた入場ゲートには、実家のような安心感を覚える。

 耳慣れた喧騒が、活気を物語っていた。


 2列分しかない入場ゲートは、日の光が差して明るいのにも関わらず、宝の潜んだ洞窟みたいに秘匿的で。

 その先にある広大なフィールドに……そして繰り広げられるレースを思い浮かべては、口の端が持ち上がる。早くも拳に力が籠っちまう。


 刺激とは、こうも簡単に駆り立てられる。

 身体が違えど魂に刻まれ、本能的に求めてしまうのだ。


「埋蔵金は別日に探すとして……今日はこいつで」


 ズボンのポッケから取り出したのは、デウスの財布だ。中には、10枚もの諭吉さんと、夢の詰まったカードたち。今日の活動資金ってヤツだ。

 ATMの番号も、ちゃんと頭に入れてある。

 デウスに色々聞いといたのは勿論このため。折角入れ替わったんだ、有効活用しないとな!


「やってやるか」


 不敵にほくそ笑む俺。

 顔はデウスだが、それこそが狙いだ。


「神の身体なんだ、今日はいける気がするぜ!」


 確かな自信が背を押した。

 人の流れに加わり、入場ゲートへと一歩踏み入れようとした俺に――


「デウス様じゃん。こんな所で何してんだ?」

「げっ」


 心臓が跳ね上がり、喉を這いずったような声が漏れ出る。

 それもそうだ。振り向く俺に、見知ったヤツが――両翼のマントを纏ったガキが、無邪気に駆け寄ってきたのだから。


 エマージェンシー!

 ニケルが現れた!!

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