語り継がれる大きさで
刀と刀が弾き合う。
「あっ、、ぶねーな!」
かろうじてパリィできたものの冷や汗を流す。油断は確かにしていたがそれよりも…
「何ですか今の、速すぎるでしょ!」
(獣部の人たち絶対ニコニコしてるだろ!)改めてコボルトに向き直る。
モンスターネーム:歴戦の犬将軍
「なるほど、ユニーク個体ですか」
この『第三世界』に出現するモンスターには"級"という討伐指標がある。
◯神話級
現在では開発各部にてそれぞれ1体ずつのみの保有が
認められた所謂エンドコンテンツ的モンスター
◯伝説級
上級配信者フルパーティーが最高級
装備でガチガチに固めれば対処できるレベル
◯英雄譚級
上級配信者のパーティーなら対処できるレベル
◯年代記級
中級配信者のパーティーなら対処できるレベル
◯語り草級
中級配信者がソロで何とか対処できるレベル
◯噂話級
初心者がパーティーなら対処できるレベル
◯日常級
初心者でもよっぽど対処できるレベル
歴戦の犬将軍は英雄譚級に分類されるモンスターで、今回のイベントダンジョンにて侍コボルト(噂話級)を倒し切ることで出現するユニーク個体だ。
(にしてもあの甲冑の見た目で速いの設計ミスだろ)
再び斬りかかる相手に合わせてこちらも刀で防ぐ。
"飛剣"+"燕返し" 侍のスキルにより、防ぐ軌道から切り返しV字の軌跡を刀が描く。
描いた軌跡は相手の両腕をなぞる、がゲームの仕様上それにより腕が切断されることはない。
相手は斬られながらも後ろへ大きく下がる。再びあの瞬足のスキルを使う気なのだろう。
「いいね、お返しだ」
構えた刀を一度納刀し、抜刀の構えをとる。
「すげぇ…。」観戦していた獣部の一人がそう呟く。
本来、納刀という所作一つとっても素人には難しい。故に侍スキルのうち抜刀系は特段難易度が高い分、スキルの恩恵が大きくなるよう設定されている。
"脚削ぎ"
侍-抜刀系スキル 脚削ぎ は、まず納刀状態でポイントを定める。その後抜刀する事でそのポイントの後方にある移動可能な場所へ瞬間移動する。そして移動したと同時に、納刀時に定めたポイントへ斬撃という結果を与えるスキルだ。
歴戦の犬将軍の足にダメージエフェクトが光る。相手もスキルを発動しようとするが反応がない。
(やはりタメがある移動系スキル!)
脚削ぎはその名の通り足に該当する部位にヒットすると移動阻害を2秒付与することができる。
多くのスキルは起動から発動まである程度のタメがある。例えば脚削ぎで言うと納刀から抜刀までの僅かな時間。物理技にとってはほぼ無いに等しいその隙に、阻害を付与することで相手のスキルをキャンセルしたのだ。
"環状斬り" 続け様に斬りつける。"袈裟懸け" 更に追撃しようとするが流石に躱された。だが…
「慣れました。あとは作業ですね。」
相手が最速最短の一閃を発動する前の強い踏み込み。その僅かな隙に足だけを狙ってスキルを差し込む技術。
決して容易でない一瞬の賭け引きを作業と称し、10回以上繰り返した後には刀を納めていた。
いっぱい技を出したので軽く解説。
『最速最短の一閃』
踏み込んだ瞬間、どんなに離れていても目の前まで移動し、目にも止まらぬ速さで斬撃を繰り出すモンスタースキル。
『飛剣』
侍のスキルツリーレベルを上げると手に入るエンチャント型のスキル。次に発動する斬撃系スキルの射程を伸ばす。伸びる距離はスキルレベル依存。
『燕返し』
侍のスキルツリーレベルを上げると手に入るカウンター型のスキル。上段からの振り下ろしで敵の攻撃を防いだ場合、下段からの切り上げモーションに補正。スキルレベルによってダメージ補正値が変わる。
『環状斬り』
侍の…以下略。自身を中心に、円を描くような軌道の斬撃を与える。
『袈裟懸け』
侍の…以下略。肩から腹にかけて斬り下ろす。斬撃が当たろうが外れようが理想の軌道で軌跡をなぞった場合、C.T中のスキル全てのC.Tを1秒短縮する。
脚削ぎが強く感じるかもですが、納刀時に定めたポイントから相手が少しでも動くと斬撃は当たりません。体には割と当たりますが、足だけを狙うのは難しいんじゃないですかね。知らないけど。




