客観的評価
私、鬼灯仁美は優秀な自負がある。
その自信は今までの努力値に裏打ちされたものであり、客観的に見てもその事実は揺るがない。
会社というものは今までより求められるものが増える。お金を払って通っていた大学とは打って変わって、お金をいただくことに対して責任が発生するからである。しかも世界的にも有数の企業となると尚更なわけだ。
半年の社内研修が終わり妖部に配属された時、私は密かに喜んでいた。基本的に職場毎での優劣というのは存在しないし、してはならない。
しかしながら、優劣とまでは行かずとも職場間での格差というのは確かに存在していて、妖部の様な実際には存在しない生物に類するモンスターを取扱う部署ほど優秀な人材が配属される傾向がある。
故に私の仕事に対する期待値はとても高かった。
しかし配属が決まって数ヶ月、今まで作られたモンスターのモーション等の勉強という名目でハンター側を体験させてもらっているのだが…私は今までにないほど挫折していた。今までゲームをしてこなかったことも相まって、未だにモンスターを倒せたことがない。
そんなとき、妖部に彼がやってきた。
噂では聞いていた。ある程度ゲームの仕様なんかが決まり始めた頃、社長の方針でとある部署が設立された。
その名も『勇者課』
主に各部署で製作したモンスターと戦い、戦闘データをフィードバックをすることが役割となっている。
そんな重要なポジションに当時高校生であった彼をスカウトまでして配属に至った経緯までは知る由もないが、会社がそこまでした理由は直ぐに分かることになる。
うちの課長が何をとち狂ったか決行した"百鬼夜行"誰が見ても倒すことは愚か、そのフィールドで耐え残ることすら絶望的に見える光景だった。
クリアタイム"74分15秒"
フィールド一面に溢れかえる妖たちを1時間と15分ほどで鏖殺した彼は紛れもなく現実世界に現れた勇者であった。
課長がとち狂ったのは設計に3週間、製作に2週間かけ、部署内の誰もが「勝てる設計じゃない」と謳った、部署の看板モンスターを割とあっさりどこぞの勇者に狩り取られたから。




