公開処刑
「うちらがー…イベントにー…来たー!」
「茜、テンション上げすぎだよ」
「青は相変わらず冷静ね」
うちらは『トリプル・トリニティ』や『アルカナシリーズ』で有名なアルカナ社の新作ゲーム『第三世界』のCBT公開イベントにやって来た。
彼女ら3人はプロゲーマーチーム"エレメントモンスター"のメンバーである。エレモンはトリプル・トリニティの世界大会で優勝の経験もある強豪チームなのでアルカナ社とも当然面識がある。
アルカナ社直々に送られた特別な招待状を握り締め彼女らは入場する。
「何でも今回のゲームはトリトリと違ってARもあるらしいよ!」
「へー、ゲームの操作感が変わんなきゃ良いな」
「とはいえPvEがメインっぽいしトリトリの時とはゲーム性だいぶ違うよね…ユーザー層も変わりそうな気がするけどうちら大丈夫かな?」
そう心配するのにも理由がある。彼女らに送られた招待状には他の招待状と異なり、本イベントの討伐体験券が付いていた。…つまり当日の広告役になれというわけで、初見のゲームとはいえ無様を晒すわけにもいかない。
「さて、誰がどの役割やるか決めましょ」
「私、弓使いかな」
「うちは剣士やるねー!」
「じゃあ私は魔法使いね」
スタッフに事前に渡されていた職業一覧を見ながら話し合う。そうこうしているとスタッフから声が掛かる。
「そろそろ準備お願いしまーす」
うちらとしてもVRとは言え、人前で当日にぶっつけ本番のゲームするのは初めてだからいつもより緊張しているのをお互いに感じ合う。それでもとお互いの視線を交わし合いながらVR機器を装着する。
一方会場のステージでは司会進行のアナウンスが入る。
「それではエレメントモンスターの皆さんにゲームをプレイしていただきましょう!会場の皆様、ARゴーグルの準備は宜しいでしょうか!?」
会場全体が一斉に湧き立つ。
…何であいつら居るの?
時は遡り、如月世界と鬼灯仁美はカフェでまったりした後再び会場に戻って来ていた。
開場前のホールとはまるで景色が違い、あまりの人混みに驚きを隠せない。しかし、お目当ての公開イベントのためには進むしかない。そう決心を固めて進もうとした時、ふと背後から声がかかる。
「探しましたよ如月さん。ボスが公開イベントで配信者やって欲しいって」
「それはまた急な話ですね」
「何でも一組来れなくなったみたいで…」
まぁ、鬼灯さんが問題ないならと了承する。すると二人揃ってVR機器が用意された控え室へと案内される。控え室にはステージの様子がわかる様、大きなモニターが用意されている。どうやら体験する人は何組かいるらしく、私達の番は最後らしい。
「こんなことになって申し訳ないです。」
「いえいえ、私は大丈夫ですけど先輩は良かったんですか?」
「まぁ、たまには視聴者側も良いなとは思ってましたが、鬼灯さんと配信者やれるなら全然お釣りが来ますね!」
「ありがとうございます!私、頑張りますね!」
「ん?まぁ、気楽に行きましょう!」
その後ステージの様子を二人で眺めていると見覚えのあるメンバーが紹介される。
「本日のゲストにはエレメントモンスターから緑川玲奈さん、空野茜さん、雪代青さん、をお迎えしております。」
「それではエレメントモンスターの皆さんにゲームをプレイしていただきましょう!会場の皆様、ARゴーグルの準備は宜しいでしょうか!?」
…何であいつら居るの?
いや、よくよく考えるとアルカナ社のイベントならあいつらも来るか。魔法使い、弓使い、剣士ね、ちゃんと勝ちにきてるな。
「先輩はあの人達知ってるんですか?」
「まぁ、FPSの大会で何度か戦ってる程度ですね」
(ってか待てよ?)つまりプロゲーマーの後の大トリに俺ら使われるの?
「ったく、公開処刑じゃねーか」
自分一人ならまだしも、鬼灯さんを巻き込んだことを深く後悔するのであった。
Xの方で描いたイラストあげていきますので良かったらそちらも見てください!
https://x.com/seilrq4?s=11




