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婚約者に裏切られて、知らない花婿と結婚したら、なぜか幸せです  作者: pinecone


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9/12

09話 変わる距離

(咲さんの様子がどうもおかしい。)


そう確信したのは"友人とランチに行ってくる"と出掛けた、その数日後だった。


考え事をしているようで返事がなかったり…

話していても、目が合わない。


それに。

一定の距離を保たれる。

大地は、始めは気のせいかと思っていた。

気のせいであってほしかった。


だが。

確信したのは週一の映画鑑賞の時だった。


いつもの準備をする。

ローテーブルに飲み物と食事を用意する。

そして、おやつ。


映画の時は途中で席を離れなくて良いように。

必要なものをそろえてから、観るのが定番のルーティンとなっていた。


セッティングが終わりソファーに座った時。

肩が、ぶつかった。

ビクッと咲が驚く。

大地もそれに気付き、思わず顔を見合わせた。

いつもより、少し顔が近かった。

その後。

咲がスススっと逃げるようにソファーの端の方に移動したのだ。


(……え)


いつもなら肩がぶつかったくらいで、ここまで離れることは無い。

ちょっと恥ずかしそうに、少しだけ離れて座ってくれる。

手だって…


端っこに座り直した咲を、大地が思わず見る。

目が合った。

大地が、『もう少しこっちで見たら?』と言いかけたようとした時。

咲は不自然に視線をそらされた。

慌ててリモコンを取る咲。


「さ…再生ボタン押しますね」


と言って、会話をしないようにしたのだ。

よそよそしい。


大地は雷に打たれたような感覚だった。

いつだって、気になることは話し合ってきた。

それなのに...


正直なところ。

大地は2人の関係が”順調”だと安心していた。

少し強引に結婚に至ったが、それなりに形になっている。

咲は思っていた以上に素敵な人で…

日に日に好きな気持ちが増していった。

『悲しませることは絶対しない、咲さんのためにどんなことでもしよう』

そう心に決めて。

細心の注意を払うと同時に、好きになってもらえるよう、努力を惜しまなかった。

それに、最近は特に”いい感じ”だと思っていた。

なのに。


(咲さんに嫌われている…!)


その事ばかりが頭の中をぐるぐる回る。


(何が、原因だ…)


今までの自分の行動に何か不備はなかったかを考える。

『あの時?いや、でも…』

直近で思いつくものはない。


いつの間にか映画は終わっていて、咲が片付け始めている。

慌てて、大地も食器を下げた。



一つだけ。

咲に言っていないことがある。

もしかしたら…

しかし、咲が知ることは無いはずだ。

そう打ち消す。


咲は、一時の感情で態度を変えるような人ではないことを知っている。

きっと、何かあって...

そして、行動力がある。

元婚約者とのことも、別れると”決めた”ら徹底的だった。


『もし咲さんがあの事を知って、離婚を望んだら…』


そんなことが過る。

咲が望むことをすると、心に決めたが…


ズキズキと、心に何かが刺さる。


それと同時に。

独占欲が大きくなるのを感じた。

大地は、自分勝手な気持ちでいっぱいになり...


自分自身に嫌悪した。




(どうしよう。大地さんの目が見れない。)


咲は友人とのランチ以来。

大地の事を、妙に意識してしまう。

意識しすぎて、大地を直視出来なくなってしまっていた。


それどころか。

近くにいると心臓が飛び跳ねるようにドキドキする。

いつものように、振る舞えなくなってしまった。


2人から色々聞かされたからだ。


(そんなに私たち変わっているのかな?)


普通だと思っていたことが、普通ではないらしい。


あの日の帰りに、優梨に聞かれたことを思い出す。


『そもそも、大地さんのこと、どう思ってるの?』

『そんなの…』


答えは決まっている。


(でも、大切なのは大地さんの気持ちだから…)

そう考えると、軽く自分の気持ちを言えなくなった。


咲にとって、大地はヒーローだ。


結婚や、今の生活は彼のおかげ。

それに、この素敵な感情もくれた。

手だって、繋いでくれる。


優梨と遥の言ってることは分かる。

私だって...考えなかったわけじゃない。

だけど。

大地さんが、結婚を”ずっと”といった理由。

それは昇進のためだ。

本人に聞いたわけでは無いが…

父と話している時に、そのようなニュアンスを聞いた。


私の役割は分かっている。


分かっている…けど…。


少しずつ膨らむ感情は、いつの間にか大きくなっていて。

咲を、欲張りにさせる。


どうしようもない感情に、なす術がなく。

”居心地のよかった距離”を保てなくなっていた。


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