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婚約者に裏切られて、知らない花婿と結婚したら、なぜか幸せです  作者: pinecone


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17/18

17話 本音2

翌日。

時計は10時を指していた。


「ん…うー…」


体が気怠い。


(あぁ、昨日飲み過ぎて…)


大地の視界が戻ると、目の前に無防備に眠る咲がいた。


「…!」


ビクッとして半分身体を起こす。

その動きで咲も眠りから覚めてしまった。


「…あ。大地さん…おはようございます」


咲も身体を起こし、まだ少し眠そうにしながら


「体調はどうですか?二日酔いとか、なっていませんか?」

「は…い…」


何とか返事をしたが、大地の脳は、昨日の記憶を処理するのにいっぱいいっぱいで、気の利いた言葉が出なかった。

しばらくして…


(う…わぁ。全部覚えている…)


佐々木に言われた事も、帰ってから咲に駄々をこねた事、咲の介抱、それに咲に言われた“大好き”の言葉も。

(普通あそこまで飲んだのなら、記憶が飛ぶものじゃないのか?いっその事忘れさせてくれよ…)


自分の酒の強さを悔いつつも、咲の言葉は忘れたくなかった想いもあり、なんとも複雑な表情を浮かべていた。

すると。

咲がグイッと顔を近づけスンスンと匂い、一言。


「んん!大地さん…お酒臭いです…」

「!、あの、ご、ごめんなさいっシャワー!シャワー行ってきますっ!」


そう言い残し、急いでバスルームに駆け込んで行った。


(助かった…ちょっと、冷静にならなければ…)


頭からシャワーをかぶり、どうやって昨日のことを謝ろうか考える。

大地がシャワーを終え出てくると、卵粥とお味噌汁が用意されていた。


「お粥、ありがとうございます。美味しそうですね」

「昨日、飲み過ぎてたみたいだったから、お粥にしてみました。お味噌汁はシジミじゃないんですけど…」


と、豆腐の入ったお味噌汁をよそう。


「豆腐も好きですから、嬉しいです」


そう言って大地は箸とお茶を用意し、食卓へ並べ、2人で食べ始めた。


咲が何か話さなければと思いながらも、どう切り出そうかと考えていた時。

大地が、先に話し始めた。


「あの、咲さん…昨日は本当にすみませんでした…その、色々と我儘を言ってしまったというか…かっこ悪いところを見せてしまいました…」

「い、いえ!えっと、その…かわいかったですよ!」

「え…?」

「…あ」

思わず本音が出て、目が泳ぐ。

が、逃げてばかりでは気持ちが伝わらないと、今回の事で学んだ。

咲は覚悟を決めて、大きく息を吸い自分が思っていたことを口にした。


「あの、大地さん」

「は、はい…」


その真っ直ぐな眼差しに、昨日のことを、咎められると覚悟し大地は背筋を伸ばす。


「私は、大地さんが、だ…大好きなんです…結婚も、はじめは、あんな感じだったけど、今では大地さんと結婚出来て本当に良かったと思っています」

「は…い」


予想していなかった言葉に嬉しくも、少し戸惑う。

今まで“会話”はたくさんしてきたが、自分の気持ちを伝える“会話”はしてこなかった。

始まりが特殊な二人。

『核心を突く事』は、お互いに、どこか入ってはいけない領域のような感じがしていたからだ。

咲からの嬉しい言葉に、トクトクと心臓が高鳴る。

咲が続ける。


「それで、その…なんで逃げちゃったのかと言いますと…遥と優梨が…いや、2人は関係ないんだけど関係あるというか教えてもらったというか…結婚するとイロイロするとかなんとか…」


まとまらない言葉で懸命に伝える。


「で、そのイロイロのために、遥と優梨からもらった下着をね…着てみたりして、準備してみたんだけど、恥ずかしくなっちゃって…その、逃げちゃってごめんなさい」

「そ…うだったんですね…」


あの日の咲の行動の理由がハッキリ分かり、くすぐったい気持ちになる。

さすがに咲にばかり負担をかけるのは忍びなく感じ、大地も話す。


「咲さん、僕も咲さんが大好きです。嫌われてなくてよかった…」

「そ、そんな!嫌いになんてなりませんよ!」


嫌いになんてならないと言われ、この上なく幸せを感じる。


(自分の気持ちを…そして伝えていなかったことを素直に伝えよう)


大地はそう決心した。


「僕は咲さんと一緒にいられるだけでいいと思っていました。」


「……」


「でも、日に日に増していくこの咲さんへの感情を、突然結婚してしまった咲さんにぶつけたら嫌われるんじゃないか、この関係が壊れてしまうんじゃないかって…だから…」


咲は、今、お互いに同じ気持ちだと確信し、嬉しく思った。

だけど…



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