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EVOLVE〜エヴォルブ〜 Season12 ― 喧騒と旋律 ―  作者: 柊梟環
EVOLVE〜エヴォルブ〜 Season12 ― 喧騒と旋律 ―
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第24章 包囲

夜明け前。


警視庁・捜査二課のフロアは、普段よりも静かだった。


しかし、その静けさの奥で、確実に歯車は回り始めていた。


「……これで、全部揃いました」


北澤優(きたざわゆう)は机の上に並べられた資料に視線を落とし、

静かに言った。


金融ログ、

通信履歴、

アクセス履歴、

内部改ざんの痕跡。


そして――


“書き換えられたはずのデータ”と

“書き換えられる前の本来のデータ”。 


それらはすべて、一本の線でつながっていた。


「裏帳簿、送金ルート、改ざんプログラム、実行ログ。

 そして……」


北澤(きたざわ)は1枚の紙を指で叩く。


「犯行時刻にアクセスしていた端末と、

 操作者のログイン履歴。

 全部、揃いました」


周囲にいた捜査官たちが、息を呑む。


「これで……いけるな」


誰かが低く呟いた。

優は小さく頷いた。


「ええ。これで“事故”でも“偶然”でもなく、

 “意図的な犯罪”として立件できます」


そして、続ける。


「関係者全員。逃げ場はありません」



◇◇◇



―――同じ頃。


別の場所で、ひとりの男が苛立ちを隠せずにいた。


デスクに並ぶモニターには、エラー、遮断、拒否の文字。


「……ふざけるな」


キーボードを叩いても、反応がない。


「なんで入れない……!」


彼は知らなかった。

すでに自分の“逃げ道”が、すべて断たれていることを。


データの改ざんも、

証拠隠滅も、


すべて――


“逆に証拠として保存されている”ことを。


背後で、スマートフォンが震えた。


 《こちら警視庁です》


その文字を見た瞬間、血の気が引く。


「……クソ……」


逃げ道は、もうなかった。



◇◇◇



―――一方その頃。


(しゅう)(なぎ)(たまき)蒼真(そうま)涼平(りょうへい)、そして(みなと)は、静かな部屋で報告を待っていた。


電話が鳴る。


柊が受話器を取る。


「……はい」


短い沈黙のあと、彼の表情が変わる。


「……了解しました」


通話を切り、ゆっくりと息を吐く。


「終わりました」


その言葉に、全員が息を詰めた。


「主要人物、全員確保。証拠も押収完了。

 ――完全に、こちらの勝ちです」


沈黙のあと、静かな安堵が広がる。


湊は、そっと目を閉じた。


「……やっと、終わったんだ」


凪が小さく笑う。


「長かったですね。でも、ちゃんと終わりました」


涼平は、湊の肩にそっと手を置いた。


「よく耐えたな。もう、誰も湊を傷つけない」


その言葉に、湊はようやく肩の力を抜いた。


「……ありがとう」


外では、朝の光が街を照らし始めていた。


長い夜は、ようやく終わったのだ。


――次に来るのは、“取り戻す時間”だった。

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