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EVOLVE〜エヴォルブ〜 Season12 ― 喧騒と旋律 ―  作者: 柊梟環
EVOLVE〜エヴォルブ〜 Season12 ― 喧騒と旋律 ―
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エピローグ ― 笑いあえる日常 ―

――ぽかぽかの場所へ



ぽかぽか邸には、久しぶりに穏やかな空気が流れていた。


事件が終わり、張り詰めていた糸がようやくほどけたような、そんな夜だった。


「みんな、本当にありがとう」


湊(みなと)が静かに頭を下げる。


涼平(りょうへい)が続けて言う。


「俺たちだけじゃ、ここまで来られなかった。

 ……本当に、ありがとう」


凪(なぎ)が笑って肩をすくめる。


「いや〜、久しぶりに蒼真(そうま)さんと組めて、ちょっとテンション上がりましたよ。あの感じ、懐かしかったなぁ」


「うん……あの頃みたいだった……」


蒼真(そうま)も、どこか懐かしそうに微笑む。


「まさか、こんな大きな事件になるとは思いませんでしたけどね」


環(たまき)がそう言うと、柊(しゅう)が少しだけ表情を曇らせる。


「ああ……正直、俺は環(たまき)が襲われたことが一番こたえた」


そう言いながら、自然に環(たまき)を引き寄せる。


「でたでた〜、柊(しゅう)先輩の溺愛モード〜」


凪(なぎ)が笑うと、涼平(りょうへい)も肩をすくめた。


「いや、あれは仕方ないだろ。

 俺も環(たまき)さんが連れて行かれそうになったって聞いた時、背筋凍ったもん。

 柊(しゅう)に何言われるかと思った」


「え? そっち?」と湊(みなと)。


「うん。正直、柊(しゅう)の方が怖い」


「わかる、それ」


と凪(なぎ)が即座に頷く。


「おい……なんだよ、それ……」


柊(しゅう)が眉をひそめると、場の空気が一気に和らぐ。


「柊(しゅう)先輩は環(たまき)さんの前だと別人ですからね〜」


「やめろって……」


そう言いながら、柊(しゅう)は照れたように環(たまき)を抱き寄せた。


「……ふふ。柊(しゅう)、かわいいですね」


環(たまき)がそう言うと、柊(しゅう)は一瞬言葉に詰まってから小さくため息をつく。


「……言うなよ」


みんなが笑った。



◇◇◇



夜。


静かな寝室で、柊(しゅう)は環(たまき)をそっと抱き寄せる。


「環(たまき)、2度も襲われて怖かっただろ?

 1人にして悪かった……」


「はい……びっくりしたんですけど、湊(みなと)さんの名前を聞いた瞬間、湊(みなと)さんを守らなきゃって思って。

 言葉が出なくなってしまって……腕を掴まれて連れて行かれそうになったときに、助けてもらえて……。

 ちょっと無謀でしたね、わたし……」


「そうか……環(たまき)……ごめんな……」


環(たまき)を抱く腕が強くなる


「柊(しゅう)……わたしこそごめんなさい。

 柊(しゅう)が怖かったって言ったとき、わたしも急に怖くなって。

 わたしなんてことしたんだろうって……

 柊(しゅう)をそんな気持ちにさせてしまって……

 ごめんなさい。」


「環(たまき)……謝らなくていいんだ……

 環(たまき)が無事で俺は安心してる。

 俺もちゃんと環(たまき)を守れるようにならないとな。」


「柊(しゅう)……わたしは柊(しゅう)にいつもちゃんと守られてますよ。

 でも、柊(しゅう)が怖いって思うことはもうしません。」


「うん……そうしてくれ……」


静かな沈黙。


それから、環(たまき)が小さく笑う。


「ふふ。柊(しゅう)がみんなにイジられてるの思い出しちゃいました。 

 柊(しゅう)、かわいところあるんですね〜」


「環(たまき)……そういうこと言うなよな〜」


「凪(なぎ)くんにいじられてもいつも変わらないけど、涼平(りょうへい)さんや蒼真(そうま)さんといると少し違うんだなって思いました。」


「……あいつらは、歳も同じだし同期でずっと一緒にいたからな」


「いいですね〜そういうの。ステキな人たちですよね〜」


「そうだな……環(たまき)もそのステキな人たちの一員だろ」


「え?そうなんですか?」


柊(しゅう)は小さく息を吐き、照れたように笑った。


「そうだよ。環(たまき)も凪(なぎ)もみんな仲間だ。

 まぁ俺にとって環(たまき)は大切な人だけどな。」


「柊(しゅう)……わたしも柊(しゅう)は大切な人ですよ。」


「ありがとう。環(たまき)。」


「うん。ありがとう。柊(しゅう)。」


夜の静けさが部屋を包み、ふたりの呼吸だけがゆっくりと重なる。


それは特別な言葉も約束もいらない、

“いつもの日常”へと還(かえ)っていくための、静かな合図だった。

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