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EVOLVE〜エヴォルブ〜 Season12 ― 喧騒と旋律 ―  作者: 柊梟環
EVOLVE〜エヴォルブ〜 Season12 ― 喧騒と旋律 ―
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第15章 告発(前編)

夜の街は静まり返っていた。


ビルの灯りが点々と浮かぶ中、(みなと)はスマートフォンを握りしめていた。


画面には、先ほど美乃(よしの)から届いた短いメッセージ。



 ―― 『今から来られる? 場所、送るね』



すぐに位置情報が届く。


警察署とは少し離れた、落ち着いた喫茶店の名前だった。


涼平(りょうへい)はその表示を確認し、静かに頷いた。


「行こう。ここからが正念場だ」


(みなと)も頷く。


「……うん。覚悟はできてる」


その言葉に、(しゅう)(なぎ)蒼真(そうま)が小さく目配せをした。


「俺たちはここで待機します」

「何かあったら、すぐ動けるように」


涼平(りょうへい)は3人に短く頷き、(みなと)とともに車に乗り込んだ。



◇◇◇



落ち着いた照明の喫茶店。


店内は静かで、客もまばらだった。


奥の席に、1人の女性が座っている。


切れ長の目に落ち着いた表情。


洗練された雰囲気の中に、どこか鋭さを秘めた空気。


 ――北澤美乃(きたざわよしの)


(みなと)が近づくと、すぐに顔を上げた。


「……久しぶり。湊」


「美乃……」


2人は短く視線を交わし、すぐに席についた。


涼平(りょうへい)は一歩下がり、静かに会釈する。


「美乃さん、お久しぶりぶりです。」


美乃(よしの)は軽く微笑んだ。


「涼平くん、お久しぶり。」


そう言って、視線を(みなと)に戻す。


「それで……例の件って、これ?」


(みなと)は頷き、タブレットを取り出した。


「はい。これが、今回の件で見つかったログと、解析した資料です」


画面に表示される数字と図表を見た瞬間、美乃(よしの)の表情が変わった。


軽く、だが確実に――“仕事の顔”になる。


「……なるほど。これは……」


指先でスクロールしながら、淡々と確認していく。


「帳簿の二重構造。

 しかも、表と裏の差分がきれいに分散されてる。

 ここまで計算されてるのは、素人じゃない」


涼平(りょうへい)が静かに頷く。


「こちらでも同じ結論に至りました」


美乃(よしの)は一度画面から目を離し、(みなと)を見る。


「あなたがこれに気づいたのね」


(みなと)は頷く。


「偶然。でも……見てしまった以上、放っておけなかった」


美乃(よしの)は小さく息を吐いた。


「正解よ。気づいてくれて、ありがとう」


少し間を置いて、低い声で続ける。


「この件、正式に受ける。

 私のいとこ――警視庁捜査二課に繋ぐ」


涼平(りょうへい)が一歩前に出る。


「お願いします。こちらとしても、全面的に協力します」


美乃(よしの)は頷き、はっきりと言った。


「いいわ。これはもう、個人の問題じゃない。

 組織犯罪よ」


そう言って、(みなと)を見つめる。


「……湊、さすがのあなたも怖かったんじゃない?」


(みなと)は少しだけ微笑んだ。


「正直、怖かった。でも……1人じゃなかったから」


その言葉に、美乃(よしの)は一瞬だけ目を細めた。


「そう。なら、もう大丈夫よ」


テーブルの上に置かれた資料が、静かに重なり合う。


それは、真実を暴くための“証拠”であり、

同時に、彼女たちが踏み出した覚悟の証だった。

夜の街に、静かに雨が降り始める。


その雨音は、まるで次なる幕開けを告げる前奏のように、

静かに、しかし確かに響いていた。

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