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EVOLVE〜エヴォルブ〜 Season12 ― 喧騒と旋律 ―  作者: 柊梟環
EVOLVE〜エヴォルブ〜 Season12 ― 喧騒と旋律 ―
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第13章 暴かれる真実

部屋の空気は、いつの間にか張り詰めていた。


照明を落とした室内に、モニターの青白い光だけが浮かび上がる。


キーボードを叩く音が、規則正しく、しかしどこか緊張を帯びて響いていた。


(なぎ)蒼真(そうま)は並ぶように座り、画面に流れる膨大なログを追っている。

その背後で、(しゅう)は腕を組み、沈黙したまま状況を見守っていた。


「……出た」


蒼真(そうま)の低い声が、静けさを切り裂く。


画面上のログが、一瞬だけ不自然な動きを見せた。


「やっぱりだ。表のログと、裏で動いてる処理が一致してない」


(なぎ)がすぐに反応する。


「しかも、これ……意図的に“正しく見えるよう”に細工してる」


(しゅう)は一歩近づき、画面を覗き込む。


「表向きは整ってる。だが中身は……別物だな」


(なぎ)がキーボードを叩く速度を上げる。


「表の修正履歴は、全部“正常処理”扱い。

 でも、裏のログを見ると……ほら」


画面に並んだ数値が、微妙に食い違っていた。


「……金の流れが、消えてる」


その瞬間、空気が変わった。


(しゅう)は静かに息を吸い、低く言った。


「これは、事故じゃない。意図的だ」


その言葉に、蒼真(そうま)が頷く。


「しかも、かなり計算されてる。

 “誰かが修正すること”を前提にした仕掛けだ」


(なぎ)が小さく舌打ちする。


「つまり、誰かが手を入れた瞬間に“犯人”に仕立て上げられる構造……」


その瞬間、(しゅう)の脳裏に1つの名前が浮かんだ。


「……湊さん」


(なぎ)蒼真(そうま)も、同時に視線を上げた。


「湊さんは、過去に同じ案件を担当している。

 修正履歴も、技術的な癖も……

 全部、辻褄が合いすぎる」


沈黙が落ちる。


その沈黙を破ったのは、静かな足音だった。


「……つまり」


背後から聞こえた声に、3人が振り向く。


そこに立っていたのは、(たまき)だった。


「湊さんは、“犯人に仕立てるために選ばれた”ってことですね」


(しゅう)はゆっくりとうなずく。


「そうだ」


(たまき)は、しばらく何も言わずに画面を見つめていた。


やがて、小さく息を吸い、はっきりとした声で言う。


「……だったら、証拠を全部揃えましょう」


(しゅう)が頷く。


「そのつもりだ。環、データの整理を頼めるか」


「はい」


(たまき)は迷いなく頷き、キーボードに向かった。


数字が並び、履歴が紐づき、点と点が線になっていく。


修正前のデータ。

修正後の数値。

操作ログ。

アクセスID。


一つひとつが、嘘を()ぎ取っていく。


やがて、画面に“同一人物による操作痕跡”が浮かび上がった。


(しゅう)はそれを見て、低く息を吐く。


「……これで、確定だ」


(なぎ)が苦笑する。


「綺麗に揃いすぎてて、逆に芸術的ですね」


蒼真(そうま)が静かに言った。


「でも、ここからが本番だ。証拠は揃った。次は――」


(しゅう)が静かに言葉を継ぐ。


(しか)るべきところに、正しく渡す」


その瞬間、部屋の空気が変わった。


これはもう“調査”ではない。

真実を白日の下にさらすための、戦いだ。


そしてその中心には、確かに――

(みなと)の名があった。


だがそれは、彼女を追い詰めるためではない。

守るために、真実を暴くための名前だった。


夜は、まだ深い。

けれど、闇の奥で確かに、光が動き始めていた。

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