2-1.影響を受けた楽曲〜チャイコとラフマ〜
みなさんは、自分の作品に絵を付けるならこんな感じ、みたいなイメージありませんか?
私は『戦犯の孫』に曲付けるならこんな感じ、というイメージがあります。
でも、かなりマニアックな話になるので、先に別の話をします。
作品を仕上げるにあたってどんな曲が流れていたか、今回はそちらを紹介します。
◆チャイコフスキーの幻想序曲『ロメオとジュリエット』
2015年にこの作品を書こうと思ったとき、まず頭に流れていたのは、これでした。
そもそも本当はロマンス強めに書こうと思っていたんです。当時の私の中でロマンスの代表格が、この曲でした。
クラシックにはシェークスピアを題材にした曲がごろごろあるんですが、特に『ロミオとジュリエット』題材の曲は、どれも劇的且つロマンチックなんですよね。
モンタギュー家とキャピュレット家の激しい対立の中、出会ってしまったロミオとジュリエット。愛は深まる一方、両家の争いは加速するばかり。
チャイコフスキーのこの曲は、激しい争いと恋愛を主題にして、ソナタ形式で構成されています。
これがですね、中盤から愛のテーマが争いによって悲劇性を増していくんですよ。これが何とも熱い!
これを『戦犯の孫』に置いてみると、激しい歴史の中で関係が変容する、というのを目指していた気がします。
ちなみにブランカとヴォルフが対立関係というのは、曲から得たわけではないです。
◆ラフマニノフ ピアノ協奏曲第二番第一楽章
ラフマニノフならこれ! という代名詞の曲です。
これ何が素晴らしいかというと、オーケストラが群像構造になっているんです。
オケは楽器がいっぱいあるから当たり前じゃん、と思うかもしれません。
違うんです。
オケは楽器がいっぱいあっても、一つの旋律をハーモニーとリズムで支えたりして、みんなで一つ、みたいなことが古い曲には多いんです。
でも、別々のリズムと旋律が動いているのに何故か噛み合っている、みたいな曲もあります。
分かりやすい例を挙げましょう。
ミュージカル『レ・ミゼラブル』(舞台版でも2012年の映画でも)
あれの中盤に登場する曲『One Day More』が、まさにそうですね。
ジャン・バルジャンやらマリユスやらエポニーヌやら、みんな各々別々の旋律を持ちながら、でも最後に革命の日に向かう。
歌が明日に向かって集束しているわけです。
話を戻しましょう。
ラフマニノフのピアノ協奏曲第二番も、似たような構造の曲です。
途中でピアノ独奏と、オーケストラがまったく違う方向に進みます。何に向かうか分からない、けれど各々が曲の山場に向かっていることだけは分かる。
で、最終的に主題に集結する。
これがなんとも熱い!!
名作と呼ばれる所以は私はそこだと思っています。
でですね、私は群像劇が好きです。
投稿している他の作品もふざけた群像劇を書いていますが、登場人物たちがそれぞれ別々の思惑があって協調しているわけではないのに、最終的に一点に集中する。
噛み合った瞬間に戦慄する何かがあるんですよね。
『戦犯の孫』がラフマニノフやレミゼみたいな群像構造になっているかはさておき、かなり影響は受けています。
ちなみにちなみに。
チャイコフスキーが亡くなったとき、ラフマニノフはまだ二十代の若者でした。
当時チャイコフスキーは、ロシア帝国代表格の作曲家でした。
チャイコフスキーが亡くなったことを受けて、ラフマニノフは『悲しみの三重奏』という作品を書いていたりします。




