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今はまだない「交響組曲『戦犯の孫』ヘ短調」楽曲解説  作者: ふたぎ おっと
1章 何がどうクラシック音楽的なのか
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5/23

1-3.何がどう「クラシック音楽」的なのか〜モチーフ回帰〜

 『戦犯の孫』がどう「クラシック音楽」的なのか。


 ・作品構造

 ・作品構成

 ・モチーフ回帰


◆モチーフ回帰

 まずモチーフとは、繰り返し現れる意味のある要素、です。

 『戦犯の孫』には何度も繰り返し出てくるものがいくつかあります。


 例えば、ブローチと手紙。

 祖父とブランカの関係を示す要素として、何度も出てきます。

 でも表層の花の形状は、物語後半で意味を変えていきます。


 それから、Wの刺繍の付いた白いハンカチ。

 これはヴォルフを思い出す際に出てきます。


 また、無表情と人形。

 ブランカの状態を表わすのにめっちゃ使います。


 どれも地の文で細かい心理描写を入れなくても、「あ~そうなんだ~」みたいな感じになっているかなと思います。(あれ、違います?笑)



 クラシックの曲でもこういう手法をよく使います。

 ジョン・ウィリアムズの『スター・ウォーズ』が、きっと分かりやすいかと思います。

 クラシックじゃないじゃんと思うかもしれませんが、ジョン・ウィリアムズの作品って結構クラシック文法なんですよ。


 『スター・ウォーズ』のどの作品でもいいんですが、映画を見るとなんとなく後ろにかかっている旋律があります。

 あれ、どの旋律にも「誰々のテーマ」「何々のテーマ」みたいなのがあります。

 分かりやすいのは『帝国のマーチ』、ダースベイダーのテーマです。

 実はダースベイダーのテーマって、帝国軍のシーンでしょっちゅう流れてますよね。あのメロディが流れると、「帝国軍来たぞ、ベイダー来たぞ」みたいな感じになると思います。

 同じように、『フォースのテーマ』『レイア姫のテーマ』等々があり、場面ごとに各テーマが何度も出てきて、更には形を変えていく、というのが映画の背景で流れています。

 ちなみに余談ですけど、『スター・ウォーズ』って弾くのは楽しいんですけど地味にむずい曲です。


 こういう手法、映画音楽以外にもミュージカルでもよくあるんですが、実はオペラやバレエ曲なんかも同じです。

 登場人物または場面に合わせたモチーフ旋律を作る。

 それが、物語の中で何度も何度も登場しては、変わるものもあれば、変わらないものもあったり。そうして曲がクライマックスに向かっていきます。


 小説も同じですよね。

 旋律の代わりに物や事柄にモチーフを置く。それが何度も繰り返し登場する。

 『戦犯の孫』もまさしく同じような感じです。


 ここでモチーフ回帰系の強いオススメを入れておきましょう。

 プロコフィエフの『ロメオとジュリエット』

 これは組曲版ではなくて、バレエ版で是非聴いてほしい。私がめっちゃ大好きな曲です。

 バレエ版で聞くと2時間くらいあるんですが、ロメオのテーマ、ジュリエットのテーマ、愛のテーマなどなどが形を変えてめっちゃ出てきます。

 あと耳馴染みのある曲も結構登場するので、意外に気軽に聴けると思います。



 さてここまで


 ・「作品構造」として、オーケストラ曲の構造の話

 ・「作品構成」として、『ソナタ形式』と『反復(変奏曲、ロンド)』の話、

 ・「モチーフ回帰」として、クラシックにおけるモチーフの話


 をしてきました。

 実際は、この三つの要素が相互作用しながら、『戦犯の孫』は出来ています。

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