1-3.何がどう「クラシック音楽」的なのか〜モチーフ回帰〜
『戦犯の孫』がどう「クラシック音楽」的なのか。
・作品構造
・作品構成
・モチーフ回帰
◆モチーフ回帰
まずモチーフとは、繰り返し現れる意味のある要素、です。
『戦犯の孫』には何度も繰り返し出てくるものがいくつかあります。
例えば、ブローチと手紙。
祖父とブランカの関係を示す要素として、何度も出てきます。
でも表層の花の形状は、物語後半で意味を変えていきます。
それから、Wの刺繍の付いた白いハンカチ。
これはヴォルフを思い出す際に出てきます。
また、無表情と人形。
ブランカの状態を表わすのにめっちゃ使います。
どれも地の文で細かい心理描写を入れなくても、「あ~そうなんだ~」みたいな感じになっているかなと思います。(あれ、違います?笑)
クラシックの曲でもこういう手法をよく使います。
ジョン・ウィリアムズの『スター・ウォーズ』が、きっと分かりやすいかと思います。
クラシックじゃないじゃんと思うかもしれませんが、ジョン・ウィリアムズの作品って結構クラシック文法なんですよ。
『スター・ウォーズ』のどの作品でもいいんですが、映画を見るとなんとなく後ろにかかっている旋律があります。
あれ、どの旋律にも「誰々のテーマ」「何々のテーマ」みたいなのがあります。
分かりやすいのは『帝国のマーチ』、ダースベイダーのテーマです。
実はダースベイダーのテーマって、帝国軍のシーンでしょっちゅう流れてますよね。あのメロディが流れると、「帝国軍来たぞ、ベイダー来たぞ」みたいな感じになると思います。
同じように、『フォースのテーマ』『レイア姫のテーマ』等々があり、場面ごとに各テーマが何度も出てきて、更には形を変えていく、というのが映画の背景で流れています。
ちなみに余談ですけど、『スター・ウォーズ』って弾くのは楽しいんですけど地味にむずい曲です。
こういう手法、映画音楽以外にもミュージカルでもよくあるんですが、実はオペラやバレエ曲なんかも同じです。
登場人物または場面に合わせたモチーフ旋律を作る。
それが、物語の中で何度も何度も登場しては、変わるものもあれば、変わらないものもあったり。そうして曲がクライマックスに向かっていきます。
小説も同じですよね。
旋律の代わりに物や事柄にモチーフを置く。それが何度も繰り返し登場する。
『戦犯の孫』もまさしく同じような感じです。
ここでモチーフ回帰系の強いオススメを入れておきましょう。
プロコフィエフの『ロメオとジュリエット』
これは組曲版ではなくて、バレエ版で是非聴いてほしい。私がめっちゃ大好きな曲です。
バレエ版で聞くと2時間くらいあるんですが、ロメオのテーマ、ジュリエットのテーマ、愛のテーマなどなどが形を変えてめっちゃ出てきます。
あと耳馴染みのある曲も結構登場するので、意外に気軽に聴けると思います。
さてここまで
・「作品構造」として、オーケストラ曲の構造の話
・「作品構成」として、『ソナタ形式』と『反復(変奏曲、ロンド)』の話、
・「モチーフ回帰」として、クラシックにおけるモチーフの話
をしてきました。
実際は、この三つの要素が相互作用しながら、『戦犯の孫』は出来ています。




