1-2.何がどう「クラシック音楽」的なのか〜作品構成②〜
『戦犯の孫』がどう「クラシック音楽」的なのか。
・作品構造
・作品構成
・モチーフ回帰
◆作品構成について そのニ
『反復』という言葉があります。
同じことを繰り返すことです。
『反復練習』なんて言うと分かりやすい。
スポーツでも楽器でも、とにかく同じことを繰り返して基本を作る。
でも同じことなのに、だんだん個性が混ざり、意味が加わる。すると「誰々さんと同じやり方です」とか言いながら、各々実は違うように見える。
クラシックの曲もこういう『反復』的な構成、よくあるんです。
ラヴェルの『ボレロ』。
誰しも絶対一度は聴いたことがあるはず。
同じ旋律をひたすら奏で続ける、アレです。
違う楽器にバトンを渡しながら、ひたっすら同じ旋律が続きます。
曲の後半になると、裏で鳴っている金管勢が形を変えていく。
分かりやすい『反復』手法の典型です。
ところでクラシックでは、反復して形を変えていくような形式に、『変奏曲』や『ロンド(輪舞曲)』があります。
『変奏曲』とは、一つの旋律を、形を変えながら重ねていく形式。
『ロンド(輪舞曲)』とは、一つの旋律を、別の展開を挟みながら何度も繰り返して戻る形式。
これ、『戦犯の孫』でしょっちゅうやってます。
ブランカを例にすると分かりやすい。
彼女は「戦犯の孫」であることに対し、深い罪悪感を抱いています。
作中、この罪悪感が何度も出てきます。
前半は結構同じ形式で繰り返されます。
でも地味に罪悪感のスケールが変化し、後半では形が変わっていきます。
クラシック的に言うと、序盤を『ロンド(輪舞曲)』で徐々に拡張しながら、変奏していく、みたいな感じのことをやっています。
……こうして書くと、高度なことをやってます感。
でも世の小説は、知らない間にこうなっているものかもしれないです。
ここで二つほど、変奏曲のおすすめをしておきましょう。
どっちもチェロ曲なんですが笑。
・チャイコフスキー『ロココの主題による変奏曲』
・ベートーヴェン『フィガロの結婚の変奏曲』
きっとどちらも聴きやすい曲だと思います。
弾くのは激むずです。




