1-2.何がどう「クラシック音楽」的なのか〜作品構成①〜
『戦犯の孫』がどう「クラシック音楽」的なのか。
・作品構造
・作品構成
・モチーフ回帰
◆作品構成について その一
世の中には『起承転結』という言葉があります。
物語もそうですし、論文もなんやかんや起承転結です。
古今東西、起承転結です。
実はクラシックの曲も、大概が起承転結です。
『ソナタ形式』を、一度は耳にしたことがあるかと思います。
簡単な例を説明します。
①主題を提示する。
②展開部と呼ばれる、どこに向かうかわからない場面に直面する。
③再現部で、形を変えた主題が現れる。
④収束し、曲が終わる。
有名なのが、ベートーヴェン交響曲第五番『運命』。
音楽の授業でも絶対通るんですが、やっぱり『ソナタ形式』の基本中の基本ですね。
ちなみにベートーヴェンは、クラシックではバイブル的存在です。
この『ソナタ形式』が、クラシック的には起承転結のような形式にあたります。
『戦犯の孫』も、実はこれに近いんです。
第一章から第四章までのブランカとヴォルフに焦点を当てて考えてみます。
①第一章では、二人の間で何かが始まりそうという空気感があります。これが第一主題。
②第二章で、決して相容れない亀裂が明らかになります。これが第二主題。
③第三章で、カーチェイスがあり列車爆発があり逃走劇があり……どこに向かうか分からなくなります。これが展開部。
④第四章で、第二主題(亀裂)が形をどんどん変えて、第一主題(二人の関係)が押し寄せてきます。これがかなり再現部的。
⑤最終的に第一主題が第二主題に勝ち、深い理解と信頼関係に落ち着きます。要するに添い寝です。
これはごく一部ですけど、色んな切り口で見たら、全体的にかなりこういう構成で作っています。
他のソナタ形式的になっている部分も、ちょっくら探してみてください。
ちなみに、上記の二人の関係を書くにあたり、チャイコフスキーの幻想序曲『ロメオとジュリエット』の影響を受けています。
かなりドラマティックでロマンス溢れる曲なので、ぜひぜひ聴いてみてください。




