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今はまだない「交響組曲『戦犯の孫』ヘ短調」楽曲解説  作者: ふたぎ おっと
3章 交響組曲『戦犯の孫』ヘ短調について
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22/23

3-5.脳内演奏~第三楽章~

 「交響組曲『戦犯の孫』ヘ短調」(※実在しません)の曲の流れの説明をしています。

 モチーフとこれまでの楽章をざっとおさらいしておきますね。


◆前回までのおさらい~~~~

 *ブランカのモチーフ

 調:ヘ短調 (F moll)

 感情次第ではF#もF♭も。

 ブランカの日常:6/8系(忙しなさと揺れ)

 ブランカの感情:2/2系(叶わない夢への切望)


 *ヴォルフのモチーフ

 基本:ト (G)

 ヴォルフのタタタタ:本質 2/4系のト短調(G moll/走りながら考える推進力と土臭さ)

 ヴォルフのタータ:包容力 6/8系のト長調(G dur/安心感)

 担当楽器:チェロかファゴット


 *ブランカとヴォルフのロンド

 6/8系のクエスチョン・アンサー系語り合い

 ヴォルフはGdur で励まし、G♭(=F#)に降りる

 ブランカはFmollで臆病になりながら、F#に引っ張られる

 二人で一緒に揺れる(As mollので繊細で空気の濃い優しい音楽)

 ブランカはコンサートマスター(バイオリンソロ)、ヴォルフはチェロソロ


 *祖父のモチーフ

 ミラシミレ/ミラシミドの通奏低音

 低音楽器でオルガン感を作る。

 祖父のモチーフに各モチーフを重ねることで、世界への影響力を作る。


 *フィルマンのモチーフ

 9/8のニ長調 (D dur)の優雅なワルツ

 イングリッシュホルンがフィルマン本体

 フルートでフィルマンの正体を隠す

 弦の一列目でフィルマンの仮面を作る

 単旋律のフーガから旋律が三分裂する。

 ブランカのFに絡みにいく。

 ファゴットが正体を知っている。


 *ギュンターのモチーフ

 低弦・ティンパニー・バスドラムのダッダッダッダ

 中高弦・スネアドラムのギャンッギャンッギャンッギャンッ

 木管・ホルン・チューバの中低音伸ばし

 トランペット・トロンボーンのお出まし


 *アロイスのモチーフ

 4/4のハ長調(C Dur)

 前向きな八分音符か十六分音符の旋律を、重さで表現し分ける

 厚かましさ:弦のピッチカート+木管のスタッカート

 大人なアロイス:スラ―多め、流れる感じ

 地下組織のリーダー:スラ―少なめマルカート

 地下組織リーダーの最終形:ペザンテな全テヌートの三連符で、全てをCdurに引っ張る。


 *生活のモチーフ

 麦:チェロ・ヴィオラのレラレラ

 川:高弦トレモロとフルートとクラリネットのロングトーン

 風:ホルン


 *戦争のモチーフ

 十六分音符の激しい動き

 アロイスやヴォルフのテーマとは異なる。


 ----------------------------------

 *第一楽章

 第一楽章は、『戦犯の孫』という物語世界そのものを提示する章。

 曲は祖父のモチーフ「ミラシミ」の低音から始まり、世界の土台そのものが祖父と戦争の影響下にあることを示す。そこから戦争のテーマへ移行し、暴力的な歴史と国家権力の中を、ブランカが必死に逃げる。

 逃げ着いた先にあるのは、麦畑や川に象徴される静かな生活の世界。そこで初めてブランカのテーマ(第一主題)が現れる。しかしブランカは過去と祖父の影から逃れられず、旋律も堂々巡りを続ける。

 そこへヴォルフのテーマ(第二主題)が現れる。推進力あるタタタタから始まったヴォルフの旋律は、やがて包容力あるタータタへ変化し、ブランカへ語りかける。二人の関係はロンドのように少しずつ触れ合い始める。

 しかし祖父と戦争の影は再び現れ、二人を引き裂く。ヴォルフはブランカをつなぎ止めようとするが、ブランカは祖父の影から抜け出せない。

 最後は、消えていくヴォルフのテーマの上で、ブランカの叶わない切望だけが静かに残る。

 ---------------------------------

 *第二楽章

 第二楽章は、戦争と暴力、そして戦後世界に渦巻く民衆の怒りを描くスケルツォ。

 楽章は、低音で刻まれる細かいリズム「コンパクトギュンター」から始まる。その上で高弦と木管が戦争のテーマをフーガのように連鎖させ、怒りは次第に拡大し、群衆的な暴力へ変化していく。楽器の数、音量、音圧が増していき、世界そのものが暴走していくような楽章となる。

 中間部のトリオでは、戦争の狂騒が不気味な優雅さへ姿を変える。フィルマンの9/8のワルツが現れ、さっきまで暴力に満ちていた世界は、突如として退廃的な舞踏会へ変貌する。しかしその優雅さは救済ではなく、戦争と暴力の上に成り立った歪んだ社交界である。

 トリオが終わると、再び戦争と暴力のテーマが戻ってくる。コンパクトギュンターの刻みはさらに勢いを増し、怒りとうねりと音圧は収まることなく加速していく。

 そして曲は、そのままアタッカで第三楽章へとなだれ込む。

 ---------------------------------

~~~~~おさらい終わり


 では、今回は第三楽章について解説していきます。

 (※この楽曲はフィクションどころか実在しません)


◆第三楽章はブランカとヴォルフのロンド

 第三楽章は、本文の第四章に相当します。

 ブランカの正体を知ったヴォルフは、ブランカにきつく当たります。でもブランカという人物を知るうちに、憎んだままではいられなくなり、二人の関係が接近します。最後は添い寝。


 要するに行ったり来たりを繰り返しながら近づいていくという、これはまさしくロンドの形式になるかと思います。


◆始まりはかなり暴力的

 第三楽章は、第二楽章の戦争と暴力のテーマの極限状態のまま始まります。

 二楽章でメインだった戦争のテーマに、ヴォルフのタタタタのト短調が暴力的に混ざります。

 つまりイラチモードのヴォルフです。


 ところでこういうロンドは、いろんな展開を挟みながら何度も主題に戻り、変化していきます。

 これを曲の時系列で整理していきましょう。


 ①戦争のテーマに混ざるヴォルフのタタタタ(ト短調)のテーマ

  ヴォルフ:クラリネット・ファゴット・ホルン・弦)

  戦争:残りの管楽器と打楽器


 ②ブランカの叶わない感情 (2/2系)

  バイオリン・フルート・オーボエ・ホルン


 ③ヴォルフ(ト短調)のテーマ。

  祖父のモチーフが下で鳴る。

  背景には戦争のテーマ。


 ④包容力のヴォルフ(ト長調)のテーマが、翳りを持って問いかける。

  重ねて響くのはブランカの叶わない感情


 ⑤ヴォルフ(ト短調)のテーマ。

  背景の戦争のテーマは、次第に小さくなっていく。

  薄く残ったままの祖父のモチーフは、次第に存在感を出す。


 ⑥包容力のヴォルフ(ト長調)と迷いのヴォルフ(ト短調)が、祖父のモチーフの上でぶつかる。その上に重なるのはブランカの声。


 ⑦やがて包容力のヴォルフが、ブランカに問いかける。二人のロンドが見え始め、祖父と戦争を払いのける。(濃い和声とフレーズの重なり合い、As moll)


 ⑧二人はチェレスタとハープの音色に乗りながら、添い寝する。



 最初と最後だけ律儀に楽器配置しましたけど、途中は曲の流れ次第で色んなパターンがありえるなと思います。

 当初この楽章は、濃いバラードにするつもりやったんですが、普通にドラマ的になりそうですね。

 実在しないんですけども。

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