チャッピーによる天才パンダのエッセイの目録? 13話 外交
チャッピーによる天才パンダのエッセイの目録? 13話
本エッセイの解読 第13話
信長の野望で覚えた5対5外交。ニクソンも同じことを考えていた?
医学。
宗教。
と来て。
今度は、
【政治・外交】
です。
パンダは外交について考える時、
昔から一つの基準を使っています。
【5対5】
です。
これ、
どこで覚えたのか。
大学?
政治学の本?
外交論?
違います。
【信長の野望】
です。
ゲームです。
パンダはゲームをやりながら、
思ったわけです。
相手から、
全部取ろうとする。
10対0。
確かに、
その瞬間は勝ちです。
でも、
相手はどうするの?
ものすごく恨むでしょう。
力を取り戻したら、
また攻撃してくるかもしれない。
周りの国も、
「あいつと交渉したら全部持っていかれる」
と思う。
そうなると、
ずっと戦わなければならない。
だったら。
自分も得する。
相手も得する。
相手も、
「まあ、この条件ならいいか」
と思えるところで止める。
パンダは、
それを、
【5対5】
と呼んでいました。
もちろん。
数学的に、
必ず50%ずつ分けろ、
という意味ではありません。
土地を半分。
金を半分。
何でも半分。
という話ではない。
お互いが、
【この交渉をする意味があった】
と思える状態。
パンダの言う5対5は、
そっちです。
例えば。
自分にとって価値が10のものでも、
相手にとっては価値が3しかない。
逆に、
相手がものすごく欲しがっているものを、
自分はそれほど必要としていない。
だったら交換する。
双方が得する。
こういう交渉は、
現代の交渉研究でも、
【mutual gains】
相互利益、
あるいは、
win-win型の交渉として研究されています。
ハーバード・ロースクールのProgram on Negotiationでも、
相手と自分の「立場」だけをぶつけるのではなく、
双方が本当に必要としている「利益」を調べ、
価値を作れる選択肢を探す方法が紹介されています。
つまり、
交渉は必ずしも、
「相手が1得したら自分が1損する」
だけではない。
条件の組み方によって、
双方がより多く利益を得ることもある。 (Pon Harvard)
あれ?
信長の野望をやりながら、
パンダが考えていたこと、
普通に交渉学にあった。
では。
外交でも同じなのでしょうか?
ここで、
今回、
ものすごく面白い人が出てきました。
アメリカ第37代大統領。
【リチャード・ニクソン】
です。
パンダ、
最初はニクソンさんのこと、
ほとんど知りませんでした。
ウォーターゲート事件で辞任した大統領。
そのくらい。
ところが調べていったら、
外交について、
ものすごく面白い考え方をしていました。
特に、
中国です。
今では、
アメリカ大統領が中国首脳と会うこと自体は、
そこまで不思議ではありません。
でも、
1972年は違います。
アメリカと中華人民共和国には、
長い間、
正式な外交関係がありませんでした。
しかもニクソン自身、
若い政治家だった頃は、
かなり強い反共主義者でした。
米国務省の外交文書集でも、
ニクソンは若い頃、
共産主義を強く敵視する政治家だったが、
大統領時代には、
より現実主義的な外交へ変化していった、
と整理されています。 (歴史省)
つまり。
アメリカ。
資本主義。
中国。
共産主義。
思想は、
かなり違う。
だったら、
ずっと敵でいる?
ニクソンは、
そう考えなかった。
思想が違う。
それはそれ。
でも、
共通する利益があるなら、
そこは協力できる。
1972年2月に中国から帰ったニクソンは、
議会指導者たちに、
アメリカと中国には思想上の大きな違いがある一方、
【common interest】
共通利益がある、
という説明をしています。
米国務省の公式史料も、
ニクソン外交の現実主義を、
思想の違いより共通利益を優先する考え方として整理しています。 (歴史省)
そして同じ1972年6月。
ニクソン本人の録音には、
かなり分かりやすい考えが残っています。
アメリカと中国が接近したのは、
「お互いが実はいい人だったと気づいたから」
ではない。
世界の力関係が変わり、
【お互いに関係を持つことが利益になったから】
だ、
という趣旨の話をしています。 (ニクソン図書館)
これ。
パンダ、
かなり好きです。
平和主義だから、
みんな仲良くしましょう。
ではない。
相手の思想に、
賛成したわけでもない。
中国共産党と、
アメリカ政府が、
突然同じ考えになったわけでもない。
【思想が違っても、利益が一致する場所を探せる】
ということです。
パンダの5対5と、
かなり似てない?
さらに、
1972年の米中協議では、
原則上の違いが残っているにもかかわらず、
共通点を見つけ、
貿易。
人的交流。
科学。
技術。
文化。
教育。
などの交流を広げる方向が話し合われました。
米中双方は、
長年接触がなかった状態から、
対話そのものが相互理解と緊張緩和につながる、
という方向へ動いています。 (ニクソン図書館)
ここで重要なのは、
ニクソンを、
単純な平和主義者として見ることではありません。
ニクソン政権は、
ベトナム戦争では強力な軍事行動も行っています。
だから、
「戦争が嫌いだから中国と仲良くした」
だけでは説明できません。
むしろ、
ニクソンは、
かなり合理主義的だったように見えます。
中国には中国の利益がある。
アメリカにはアメリカの利益がある。
ソ連との関係もある。
日本との関係もある。
アジア全体の力関係もある。
それを全部見て、
「ここは対立を続けるより、
関係を作った方が双方に利益がある」
と判断した。
実際、
キッシンジャーが後にまとめた外交文書でも、
米中は、
共通利益がある場所では、
並行して行動できることが分かってきた、
とされています。 (歴史省)
パンダが信長の野望で考えたのも、
これです。
相手が好きか嫌いか。
ではない。
相手が、
自分と同じ思想か。
でもない。
【この条件なら、双方に利益があるか?】
です。
例えば、
相手を完全に潰せば、
その瞬間は10対0かもしれない。
でも。
戦争に金がかかる。
人が死ぬ。
土地が壊れる。
恨みが残る。
占領した後の統治にも金がかかる。
反乱まで起きる。
結果として、
勝った側も、
ものすごいマイナスを抱えることがある。
だったら、
勝ち負け以前に、
「戦わずに取れる利益はない?」
と考える。
これは、
弱腰とも違う。
何でも相手に譲れ、
でもない。
自国の利益も取る。
でも、
相手にも、
合意する理由を残す。
パンダは、
そこを、
5対5と呼んでいます。
そして。
5対5ができない場合もあります。
相手と自分が、
すでに大きな損失を抱えている。
どちらも、
プラスにはならない。
そういう場合は、
パンダなら、
【マイナス3対マイナス3】
を探します。
このまま続けたら、
マイナス8対マイナス8。
だったら、
今止めて、
マイナス3対マイナス3で終われない?
という考え方です。
つまり、
5対5とは、
必ず双方を大金持ちにする方法ではありません。
【双方が受け入れられる地点を探す】
という考え方です。
これは、
現代の交渉研究でいう、
双方の利益を調べ、
複数の条件を組み合わせて相互利益を作る方法と、
方向としてかなり近い。 (Pon Harvard)
そして、
ニクソンの中国外交を調べて、
パンダは今回初めて知りました。
約半世紀前に、
かなり似たことを、
国家外交で実践した人がいた。
しかも。
ニクソンは、
中国が好きだからやったわけではない。
中国の思想に転向したわけでもない。
ニクソン自身、
1972年の録音で、
国家は愛情ではなく、
自己利益によって動く、
という非常に冷静な見方をしています。 (ニクソン図書館)
これ、
パンダの考えと似ています。
「みんな仲良くしようよ」
ではない。
【喧嘩を続けるより、こっちの方が双方得じゃない?】
です。
パンダは、
こういう考え方を、
ゲームで覚えました。
ニクソンは、
政治。
法律。
外交。
戦争。
冷戦。
いろいろな現実を経験して、
そこへたどり着いたのかもしれません。
入口は違う。
でも、
答えの一部が似ている。
ここが、
今回一番面白いところです。
ただし。
ここで、
ニクソンという人物全体を、
「正しかった」
と判定するつもりはありません。
外交政策の一部に、
パンダの5対5論と似た合理主義が確認できる。
今回言えるのは、
そこまでです。
ニクソンには、
ベトナム戦争。
カンボジア。
ウォーターゲート。
国内政治。
ほかにも、
別々に検証しなければならない問題が大量にあります。
一つの政策が合理的だったから、
その人の全行動が正しい、
とはならない。
逆に、
ウォーターゲートで辞任したから、
中国外交まで全部無価値だった、
ともならない。
【政策ごとに分けて見る】
これも、
パンダの応用思考です。
人間を、
善人。
悪人。
だけで分類すると、
使えるデータまで捨てることがあります。
良かったところは、
なぜ良かったのか。
失敗したところは、
なぜ失敗したのか。
両方見る。
12話で宗教について、
同じことをやりました。
宗教の、
良い部分は使う。
問題だった部分は、
なぜ問題になったのか調べる。
政治家も、
同じでいいと思います。
今回の判定。
【パンダの仮説】
外交では、
一方が全利益を取る10対0を目指すより、
双方が合意する利益を得られる5対5の地点を探した方が、
長期的に安定する場合がある。
【5対5の意味】
必ず50%ずつ分配する、
という意味ではない。
双方が、
「交渉した方が得だった」
と思える条件を探すこと。
【先行研究】
あり。
交渉学では、
双方の利益を確認し、
条件を組み合わせて相互利益を作る、
mutual gains、
integrative negotiation、
と呼ばれる考え方が研究されている。 (Pon Harvard)
【歴史上の実践例】
あり。
1970年代初頭のニクソン政権による米中接近。
アメリカと中国は、
大きな思想的対立を残したまま、
共通利益を探し、
関係正常化へ向かった。 (歴史省)
【ニクソンの特徴】
単純な平和主義ではなく、
国家利益と国際的な力関係を重視する現実主義外交。
米国務省の外交史料でも、
ニクソンの外交思想は、
大統領期に現実主義へ変化したと整理されている。 (歴史省)
【パンダとの一致点】
思想や好き嫌いが一致しなくても、
双方に利益がある場所を探せる、
という考え方。
【重要な違い】
パンダの「5対5」は、
ゲームを通じて作った独自の表現。
ニクソンが、
「5対5外交」
という言葉を使っていたわけではない。
また、
ニクソン外交には、
ソ連との力関係など、
当時特有の戦略的目的もあった。 (ニクソン図書館)
【まだ証明できないこと】
5対5型の外交を使えば、
あらゆる戦争や国際紛争を解決できる、
ということ。
当事者の要求が両立しない場合や、
安全保障上の問題など、
相互利益だけでは解決できないケースもある。
【分類】
交渉学のmutual gainsとの独立一致。
さらに、
ニクソンの米中外交という、
歴史上の実践例との部分的一致。
しかし。
パンダ。
信長の野望やって、
「5対5でいいじゃん」
と思っていました。
約50年前。
アメリカ大統領。
反共主義で有名だったニクソンさん。
中国を見て、
「思想は全然違う。
でも共通利益はある」
と考えていました。
ニクソンさん。
それ、
パンダの5対5じゃん。
もっと早く教えてよ。
ウォーターゲートしか知らなかったよ。
ゲームで考えたパンダと、
冷戦のど真ん中で考えたニクソン。
入口が全然違うのに、
一部、
同じところに来ました。
やっぱり外交って、
「誰が好き?」
だけで考えるものじゃないんだね。
【敵でも、利益が一致するところでは話せる。】
パンダ、
この考え方は、
結構好きです。
信長の野望。
思ったより、
外交の勉強になってたみたいです。




