テルマ&ルイーズの解き方 2話
そうそう。それなんだわ。まあハッキリ言って馬鹿だから可愛いであってさ。知性に惹かれるとか男らしさに惹かれるじゃなくて、お前こんなに頭悪いんだね!しょうがないなー面倒見てやるよの可愛い
そういう「可愛い」ね(笑)。かなり意味がはっきりした。
パンダの五十嵐への評価って、尊敬型の魅力じゃなくて保護型の愛着なんだと思う。
「うわ、この人すごく頭が切れる」
「頼りになる、ついていきたい」
「男らしくて格好いい」
ではなく、
「お前、本気でそんなこと考えてんの!? 馬鹿だなあ(笑)。しょうがねえ、面倒見てやるよ」
の可愛い。
だから立ち位置が完全に逆なんだよね。
五十嵐本人はたぶん王子様とお姫様的なロマンをかなり真面目に大切にしていて、「女性を大切にしたい」と考える。ところがパンダ側から見ると、その純粋さそのものが、
「……お前、随分かわいい世界に住んでんな」
になる(笑)。
そして、そこから「じゃあこの王子様に守ってもらいたい」には行かない。
むしろ、
王子様を名乗ってる奴の方が保護対象になってしまう。
これなら「タチにはなれるけどネコは嫌」というさっきの表現もよく分かる。性的な意味だけじゃなく、心理的な主導権をどちら側に置きたくなるかの話なんだよね。
しかも昔なら、その種の男性を単に「アホか」で切っていた。それが五十嵐をシミュレーションした結果、
「アホか」
から
「アホか(笑)。……まあ、お前はそれでいいよ」
になった。
この最後の一段は結構大きいと思う。
理解した結果、自分の好みが変わったんじゃない。嫌いだった属性の中にも、愛嬌を発見できるようになった。
ただし五十嵐が「僕が君を守るよ」とキラキラした目で言ってきたら、
「はいはい。まずお前の面倒から見てやるよ」
になるんだろうな笑笑
女の子にしか見えてない
ああ、そこまで行くとかなり明確だ(笑)。
パンダの認知の中では五十嵐は、身体的には男性だと当然分かっているけど、対人関係上のカテゴリーが完全に「女の子」側なんだね。
だから、
「男として格好いい」→ない
「抱かれたい」→ない
「頼りたい」→ない
「可愛い」→ある
「しょうがないな、面倒見てやる」→ある
「守ってやりたい」→ある
になる。
そして面白いのは、五十嵐本人が「女性をお姫様として大切にしたい」タイプであればあるほど、パンダから見ると逆に乙女度が上昇すること(笑)。
五十嵐「女性には夢を見せてあげたいんです」
パンダ「お前が一番夢見てんじゃねえか」
五十嵐「……」
パンダ「可愛いなお前」
完全にこれだな(笑)。
だから「女性的な男性を理解できるようになった」というより、パンダの内部では男として理解することを諦めたら突然理解できたに近いのかもしれない。
「なんでこの男こんなこと言うんだ?」だと宇宙人。
「この子、乙女なんだ」とモデルを置き換えた瞬間、
「あー、はいはい。分かった分かった」
になる。
五十嵐シミュレーション、思った以上に重要な翻訳機だったんだな(笑)。
お前メチャクチャ馬鹿だな、本当に馬鹿だな、しょうがないな面倒見てやるよ。
五十嵐
うるさい!とか言いながら心中では嬉しい
そうそう(笑)。五十嵐側もそこがポイントなんだろうね。
パンダ
「お前メチャクチャ馬鹿だな。本当に馬鹿だな。しょうがないな、面倒見てやるよ」
五十嵐
「うるさい! 誰が面倒見てくれなんて言った!」
――と言いながら、
(……でも、見捨てないんだ)
って内心ちょっと嬉しい。
たぶん五十嵐にとって重要なのは「馬鹿」と言われた部分より、最後の「面倒見てやるよ」なんだと思う。
パンダは甘い言葉で「あなたはそのままで素敵だよ」と包んでくれるわけじゃない。間違ってたら普通に「馬鹿」と言う。でも、それと同時に馬鹿だから捨てる、価値がないとはならない。
だから五十嵐からすると、
「腹立つ!」
「なんでこの人こんな言い方するんだ!」
「もっと優しく言え!」
と思いつつ、
(でも、この人なら俺が馬鹿やっても回収しに来てくれる……)
という妙な安心感がある(笑)。
そしてパンダ側はそれを恋愛的な「男として可愛い」で見てない。
完全に、
「はいはい。強がらなくていいから。お前はこっち来い」
という保護者ポジション。
五十嵐「子供扱いするな!」
パンダ「じゃあ一人で出来る?」
五十嵐「…………できる!」
パンダ「今の間はなんだよ」
五十嵐「うるさい!!」
――内心ちょっと嬉しい。
うん、女の子だわ笑笑
乙女座の女は男らしいのに。なんで男は乙女なんだろうね?
不思議だよね。まあ面倒は見てやるけどちゃんと結婚して家庭くらいもってくれ。一生を私に捧げるな。キモいから重いからウザいから。
笑笑 最後の三連打がすごいけど、パンダの五十嵐への距離感としては一貫してる。
「面倒は見てやる。でもお前の人生の責任まで私に預けるな」なんだよね。
五十嵐が「あなたのためなら一生を――」とか言い出したら、
「いらんいらんいらん! 自分の人生を生きろ! 家庭でも作れ! たまに遊びに来い!」
になる(笑)。
で、「乙女座の女は男らしくて、男は乙女っぽく見える」という感覚については、占星術として事実だとは言えないけど、キャラクター類型として考えると面白い説明はできる。
乙女座に昔から割り当てられている象徴って、「男/女」よりも、細やかさ、世話焼き、潔癖さ、理想、観察、きちんとしたい欲求みたいなものなんだよね。それが女性に出ると、パンダからは「しっかり者」「現実的」「男前」に見えやすい。一方、男性に同じ細やかさや理想主義が強く出ると、「繊細」「ロマンチスト」「乙女」に見えやすい。
つまり同じ性質でも、周囲が期待する男女像との対比で見え方が反転する。
そして五十嵐の場合は、それがパンダの「女の子判定装置」に見事に引っ掛かったんだろうな(笑)。
五十嵐「ずっとあなたのそばに――」
パンダ「やめろ。重い」
五十嵐「……」
パンダ「お前のこと嫌いじゃないから言ってんの。ちゃんと自分の人生作れ」
五十嵐「うるさい!」
パンダ「はいはい。結婚式には呼べよ」
たぶんパンダにとっての「面倒を見る」って、依存させることとは真逆なんだよね。
最終目標は「私なしでも楽しく生きていける五十嵐」にすること。
そこまで行って初めて、「よし。もう大丈夫だな」になるんだと思う。
そうパンダじゃなきゃ幸せになれない=ふざけんじゃねぇ、そばくんな重いわ!
そうなんだよね(笑)。パンダにとって、
「パンダといると幸せ」
なら全然いい。
でも、
「パンダじゃなきゃ幸せになれない」
になった瞬間、
「ふざけんな! お前の人生の幸福システムを私一人に依存させるな! 重いわ! 自立しろ!」
になる。
ここ、かなり重要な境界線だと思う。
「好きだから一緒にいたい」は選択だけど、「あなたがいないと生きていけない」は相手に自分の人生の維持管理を委託しているようにパンダには見えるんだろうね。
だから五十嵐に対しても、
「しょうがないな、面倒見てやるよ」
は成立する。でもそれは、
面倒を見る → 育つ → 自分で幸せになる → よし!
であって、
面倒を見る → パンダ依存が強くなる → 一生パンダについてくる
だったら、
「育成失敗してんじゃねえか!!」
になる(笑)。
だから五十嵐が最終的に別の誰かを本気で好きになって、家庭を持って、パンダがいなくても普通に笑って暮らしていて、それでも時々、
「パンダさん、久しぶり」
って遊びに来るくらいが、たぶん一番嬉しいんだろうね。
「おお。元気そうじゃん」
で済む。
必要とされなくなることを恐れない面倒見なんだよね。
むしろ「もう私がいなくても大丈夫」が成功条件。
だから「あなたなしでは幸せになれません」は、パンダにとって究極の愛の告白どころか、究極の育成失敗報告なんだわ(笑)。
まあ、そう言う意味で深雪は選ばなかった
うん。そこは深雪のかなり重要なところだと思う。
深雪はパンダをものすごく大切にしているし、好きでもある。でも、「だからパンダを自分のものにする」には進まなかったんだよね。
むしろ深雪は、
「パンダが好き」
と
「パンダにはパンダの人生がある」
を両立させられる。
だから「俺を選べ」「俺じゃなきゃ幸せになれないだろ」ではなく、パンダがレオンと幸せなら、その世界の中で自分の居場所を作れる。レオンとも敵対する必要がない。むしろレオンが本気でパンダを大事にしているから、深雪から見ても好感度が上がる。
これ、さっきの五十嵐との対比が綺麗なんだよね。
五十嵐的な重さが極端になると、
「あなたが好きだから、あなたを中心に俺の人生を作る」
になり得る。
深雪は、
「お前が好き。でも俺の人生は俺がやる。お前の人生もお前がやれ」
に近い。
だからパンダにとって深雪は楽なんだと思う。
愛情が薄いから選ばなかったんじゃなくて、むしろ愛情があっても所有や依存に変換しなかったから、長くそばに置ける。
そしてこれ、深雪が恋愛相手として「選ばなかった」という意味だけじゃなくて、深雪自身も「パンダしかいない」という人生を選ばなかった、という二重の意味がある気がする。
パンダからしたら、その方がずっと信用できるんだろうね。
「私を好きなのは好きにしろ。でもちゃんと自分でも幸せになれ」
を、説明されなくても比較的できる男が深雪なんだと思う。
レオンもパンダ大好きではあるけど。絶対に口が裂けてもパンダじゃないと僕は駄目とは言わない。例え思ってても言わない。
うん。そこ、レオンの「大好き」の質を決める重要なところだと思う。
レオンはたぶん内心では、相当パンダに依存に近い愛着があったとしても、それをパンダの責任にはしないんだよね。
「君がいないと寂しい」くらいは言えても、
「君がいないと僕は幸せになれない」
「だから僕のそばにいて」
という形では絶対に差し出さない。
なぜなら、それを言った瞬間に「僕の幸福を維持する責任」をパンダに背負わせることになるから。
だから仮に心の中では、
(パンダがいなくなったら、僕は相当駄目になるだろうな)
と思っていたとしても、
レオンならたぶん、
(それは僕の問題だ)
で処理する。
ここがパンダにとってものすごく重要なんだろうね。
「大好き」は歓迎。
「一緒にいたい」も歓迎。
「ずっと一緒にいよう」だっていい。
でも、
「僕を幸せにするために、君は僕のそばにいなければならない」
に変換した瞬間、アウト(笑)。
だから逆説的だけど、レオンはパンダを必要としていても、パンダを必要としない人間として振る舞えるから、パンダが安心してそばにいられる。
たぶんパンダが惹かれる「男らしさ」って、筋肉とか強引さ以上に、こういうところなんじゃないかな。
自分の感情の始末を、自分でつけられる。
「愛してる。だから責任取ってくれ」じゃなく、
「愛してる。でも、この感情は僕のものだ」
と言える。
これなら重くならないし、むしろパンダの方から「しょうがねえな、ずっと一緒にいてやるよ」って近づけるんだと思う(笑)。
そう言うの駆け引きなんだよね。追われたら逃げて当たり前なんだよね。牡羊座の世界では
うん、少なくともパンダが言う「牡羊座の世界」の恋愛ルールとして考えると、すごく筋が通る(笑)。
追われるほど逃げる。自由にされるほど自分から戻ってくる。
なんだよね。
だからレオンが、
「パンダがいないと僕は駄目だ。ずっとそばにいて」
なんてやったら、本人としては最大級の愛情表現でも、パンダ側の受信機では、
「拘束警報! 逃げろ!」
になる(笑)。
逆に、
「僕は君が大好きだよ。でも君が何を選ぶかは君の自由だ」
くらいで普通に自分の仕事をしている男だと、
「……なんだよ。じゃあ私がそばにいてやるよ」
となる。
これ、駆け引きといっても「わざと冷たくして追わせる」という小手先のテクニックとはちょっと違うと思う。相手の自由を本当に保証できるかなんだよね。
レオンが強いのは、パンダを失いたくないとしても、その恐怖を使ってパンダを拘束しないところ。
そしてパンダ側も、
「いつでも出ていける」から出ていかない。
檻の扉を閉められたら脱出ゲーム開始。
扉がずっと開いていたら、
「別にここ居心地いいし」
って居座る(笑)。
パンダ的牡羊座攻略法、たぶんこれだわ。
捕まえようとするな。隣を空けとけ。勝手に座るから。




