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天才パンダのエッセイ※本物のミステリー!ゲームと脳科学 楽しい経済学 切り裂きジャックと孤独  作者: ヘタレパンダ


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イーロン君への手紙 金の使い方

イーロン君への手紙


――1億円を配る前に、もう少し人間のことを考えてみないか?


親愛なるイーロン・マスク君へ。


イーロン君、こんにちは。


私は日本で小説やエッセイを書いている、天才パンダという者です。


君のやっていることは、以前から興味深く観察しているよ。


すごいなと思うこともあるし、よくそんなことを考えつくなと感心することもある。


でも、ときどき思うんだ。


「イーロン君、それじゃ問題解決しないんじゃないの?」


ってね。


もちろん、君を馬鹿にしているわけじゃない。


君には私が持っていない知識や能力がたくさんあるだろうし、逆に私が知っていて君が知らないこともある。


人間なんて、そんなものなんだよ。


だから、今日は君にお金の使い方について、ちょっと提案してみたいと思う。


1.1億円を渡したら、人間は幸せになるのか?


例えば、君がアメリカの子供たちに、一人1億円ずつ配ると考えたとする。


実際にそんな計画があるかどうかは別として、仮定の話として聞いてほしい。


結論として素晴らしいじゃないか。


自分のお金を使って、子供たちを豊かにしてあげようという発想は立派だと思う。


でもね。


その1億円、もらった子供たちはどうやって使うんだい?


君だったら1億円もらえば、投資したり、事業を始めたり、将来の計画を考えたりできるかもしれない。


だけど、世の中の人間全員が君と同じように考えられるわけじゃないんだよ。


私はこれまで、大金を手にした人たちの話をいろいろ見聞きしてきた。


例えば、宝くじで大金を当てた人が、自分のために立派な家を買った。


すると友人や家族が、羨ましい、自分も欲しいと言い始める。


そこで、その人は親切心から家を買ってあげた。


ところが、大きな家には維持費がかかる。


家だけあっても生活はできない。


やがてお金が足りなくなり、家を手放すことになってしまう。


そんな事例がある。家は買った時と同じ価値があったのか?って奴だ。


もちろん、これは一例だし、私の記憶では金額も曖昧だから、これだけで全員がそうなると断言するつもりはない。


ただ、ここで考えてほしいんだ。


大金を持っていることと、大金を管理する能力を持っていることは、まったく別の話なんだよ。


日本でも、かつて全国の市町村に1億円を交付した「ふるさと創生事業」があった。


有効に活用した自治体もあれば、モニュメントなどを作った自治体もある。


もちろん、モニュメントだって悪いものじゃない。


それを見に観光客が来るかもしれないし、町の象徴になるかもしれない。1年間にモニュメント目的でどれだけ来たのか?って話しだよね。


でも、それを作ったことで、住民にどれだけの利益が生まれたのか。


何年間、その効果が続いたのか。


維持費はいくら必要なのか。


そこまで調べて初めて、投資として成功したかどうかがわかるんじゃないかな。


「1億円使いました。立派なものができました」


それだけで成功と言われても困るんだよ。


2.1億円を一度に渡すのと、毎月3万円渡すのでは違う


例えば、一人に使える予算が1億円あったとする。


その1億円を一度に渡すのと、毎月3万円ずつ渡すのとでは、受け取る人の考え方が変わる可能性がある。


1億円を一度にもらえば、大金持ちになった気分になってしまう人もいるだろう。


でも、毎月3万円ならどうだい?


食費に使おうか。


本を買おうか。


子供の習い事に使おうか。


それとも貯金しようか。


月3万円なら、普段の生活の中で使い道を考えやすい。


もちろん無駄遣いする人もいるし、1億円を一度にもらって立派に運用する人もいる。


問題は、全員に同じ方法でお金を渡す必要があるのか、ということなんだ。


月3万円なら、1億円を使い切るまで約278年もかかる。


だったら、そのお金の一部を教育や医療、就職支援などに振り分けることもできる。


もちろん、住宅購入や起業のために、一度にまとまったお金が必要な人もいるだろう。


そういう人には計画を提出してもらって、必要な資金を渡せばいい。


使い道を考えられない人には、まず使い方を学んでもらえばいい。


計画を立てられない人には、計画を立てる手伝いをしてあげてもいい。


どうして一律に同じ金額を、同じ方法で配ろうとするんだい?


3.人間は、勉強していないことを上手にはできない


私はこれまで、頭が悪いなと思う人間をたくさん見てきた。


でもね。


だからといって、その人たちが本当に性格の悪い人間だとは思っていないんだよ。


一生懸命頑張っている人もいる。


嫌なことを我慢している人もいる。


専門家の言ってる無責任な理想論を本気で体現すべきだと頑張るアホの姿もたくさん見てきた。


その結果報われない人がいるんだ。


だったら、どうすればいいのか。


私は考えた。


どうしたら、この人たちはもっと賢くなれるんだろう?


どうしたら自分の能力を、もっと有効に使えるようになるんだろう?


それで思いついた方法の一つが、漫画とアニメなんだよ。


4.漫画図書館を作ろうじゃないか


イーロン君。


私は、アメリカ各地に漫画図書館を作ることを提案したい。


ただし、難しい勉強漫画ばかりを置く図書館じゃないよ。


恋愛漫画、スポーツ漫画、不良漫画、料理漫画、科学漫画、歴史漫画、ファッション漫画。


いろんな漫画を置くんだ。


例えば『東京卍リベンジャーズ』が好きな子供がいたとする。


その子にいきなり哲学書を渡して、


「さあ勉強しなさい」


と言ったところで、読むとは限らない。


でも、漫画図書館に好きな作品があれば、来てくれるかもしれないだろう?


そして、そこにほかの漫画も置いておく。


料理漫画を読んで料理に興味を持つかもしれない。


科学漫画を読んで物理学に興味を持つかもしれない。


歴史漫画を読んで、世界の歴史を調べ始めるかもしれない。


勿論、アニメも見られるようにする。サブスクの費用をイーロン君が払う事も可能だよね。


『進撃の巨人』を見て、それまで敵だと思っていた人間にも、事情や考え方があることに気づくかもしれない。


そうやって知識への入り口を作るんだよ。


もちろん、漫画だけですべての知識が得られるとは思っていない。


私だって漫画だけ読んできたわけじゃない。


NHKのドキュメンタリーだって見ているし、いろんな本も読んできた。


でもね。


最初に漫画で知ったことを、あとからドキュメンタリーで詳しく知る。


さらに別の本で違う視点を学ぶ。


そうすると、それぞれの知識がつながって、新しい考え方が生まれるんだ。


だから、まず入り口を作れと言っているんだよ。


5.勉強することを、かっこよくしてしまえばいい


イーロン君。


君はファッション業界の販売戦略について考えたことがあるかい?


昨日までダサいと思われていた服が、人気のモデルや俳優が着た途端に流行する。


服そのものが変わったわけじゃない。


人々の価値観が変わったんだよ。


だったら、この方法を教育に応用できないかな?


私は昔、勉強ができることをかっこ悪いと考える人たちを見てきた。


勉強のできる子をオタク扱いする。


頭がいいことより、運動ができることや、おしゃれなことが評価される。


もちろん、勉強のできる子が尊敬される場合もあったけどね。


でも、周囲の目を気にして、本当は勉強したいのに勉強できない子供もいるんだよ。


だったら、価値観そのものを変えてしまえばいい。


勉強のできる子供が、かっこいい服を着て、かっこいい靴を履いて、堂々と歩いている。


勉強することがクールだと評価される。


そんな文化を作れないかな?


例えば、参考書を買うためにおしゃれを我慢している子供に、素敵な服や靴をプレゼントする。


それだけで価値観が変わるかどうかは、もちろん実験してみないとわからない。


でも、試してみる価値はあると思うんだ。


勉強する人がかっこいい。


知識を持っている人が魅力的だ。


新しい答えを見つける人間は素晴らしい。


そういう文化を作れれば、勉強したいと思う人が増えるかもしれない。


6.ハリウッドの力だって使えるだろう?


私はハリウッドの能力も高く評価している。


映画やドラマを使って、人々の価値観を変えることだってできるんじゃないかな。


例えば『BONES』というドラマがある。


優れた知識を持つ人間が、知性を武器に事件を解決する。


ああいう作品を見て、頭のいい人ってかっこいいなと思う人もいるだろう。


ただし、頭のいい人間を宇宙人みたいに描く必要はない。


頭のいい人間だって恋愛で悩むし、人間関係で失敗する。


嫉妬もするし、傷つくし、馬鹿なことだってする。


普通の人間と大して変わらないんだよ。


ただ、知識や考え方によって、問題の解決方法を見つけられることがある。


そこを描けばいいじゃないか。


それにディズニーが失敗しながらも、考えている事も理解している。


私自身、研究者向けに書いているエッセイと、もっと幅広い読者に楽しんでもらいたい小説を分けて書いている。


同じ考え方でも、難しい文章で説明した方が伝わる人もいれば、物語の中で説明した方が伝わる人もいるからね。


つまり、伝えたい相手がたくさんいるなら、伝える方法もたくさん用意しなきゃいけないんだ。


ちなみに私がどうしてファッション業界の販売戦略を知っているのか、君は不思議に思うかもしれない。


答えは簡単だ。


漫画で読んだからだよ。


ほらね。


漫画だって立派に勉強になるだろう?


7.貧困対策は、お金を配って終わりじゃない


ここで、もう少し厳しい話をしよう。


世界には、貧しい人たちを助けようとして、大金を寄付してきた人がたくさんいる。


それ自体は立派なことだよ。


でも、寄付したという事実ばかりが美談になって、その後の生活がどうなったのかは、どれくらい調べられているんだろうね。


お金をもらった人が、一時的に豊かになった。


だけど、そのお金を使い切ったあと、また生活に困ってしまった。


そんな場合は、どうするんだい?


また寄付するのかい?


さらにお金を渡すのかい?


それを何十年続けるつもりなんだい?


もちろん、現金による支援が役立つ場合もある。


災害で家を失った人や、病気で働けない人には、すぐにお金が必要なこともあるだろう。


だけど、長期的な貧困問題を解決したいのなら、それだけでいいのかな。


日本だって、何十年も海外援助を行っている。


でも日本国内にも、生活に困っている人間はいるんだよ。


海外に使ったお金によって、具体的に何が改善したのか。


いつまで援助を続ける必要があるのか。


支援した国が自立するために、何が必要なのか。


日本国内に同じお金を使った場合と比べて、どういう効果があるのか。


それを計算する必要があると思うんだ。


海外を助けるなと言っているんじゃない。


助けた結果、何が変わったのかを調べろと言っているんだよ。


8.移民政策だって、受け入れた後のことまで考えなければならない


移民政策も同じことだ。


優れた研究者や技術者が移住してくれば、国の発展に大きく貢献する可能性がある。


一方で、十分な教育や職業訓練を受ける機会がなかった人々が大量に移住してきた場合には、住宅、教育、雇用、社会保障などの準備が必要になる。


貧困が集中する地域では、治安の問題だって考えなければいけない。


もちろん、貧しい人間が犯罪者だと言っているわけじゃない。


貧しい人間の中にも、立派な人はたくさんいる。


ただ、受け入れた後に、どうやって生活を安定させるのか。


どうやって教育を受けてもらうのか。


どうやって仕事を得てもらうのか。


そのための予算や制度を用意せずに、受け入れ人数だけ増やしても、問題が起きる可能性がある。


だったら、そこまで計算しなきゃいけないんじゃないかな。


かわいそうだから助けましょう。


それ自体は悪くない。


でも、そのあとに何が起きるかまで考えてほしいんだ。


9.本当の豊かさは、給料の金額だけで決まらない


もう一つ、お金について考えてほしいことがある。


経済を豊かにする方法は、給料を上げることだけじゃないんだよ。


例えば、月30万円の給料を35万円に上げたとする。


でも、物価がそれ以上に上がったら、生活は楽にならないだろう?


反対に、給料が30万円のままでも、商品が安くなって、しかも品質まで良くなったらどうだい?


同じお金で、以前よりも良い生活ができるかもしれない。


もちろん、給料を上げる必要のある人はいる。


物価の上昇や国際的な賃金格差を考えれば、賃上げが必要な場合だってある。


私が言いたいのは、給料を上げること自体を目的にするな、ということなんだ。


商品の品質を改善する。


生産性を高める。


無駄な費用を減らす。


生活に必要なものを手頃な価格で提供する。


為替の影響も含めて計算する。


そして、余ったお金で映画を見たり、ライブに行ったり、旅行に出かけたりできるようにする。


その方が、生活の豊かさを実感できる場合もあるだろう?


20年前と今では、便利になったものがたくさんある。


そうした品質や便利さの向上も、暮らしの豊かさを考える際には無視できない。


だからこそ、給料がいくら上がったかだけではなく、実際にどれだけ良い暮らしができるようになったのかを考えてほしいんだ。


10.専門家は何をしているんだい?


さて、ここまで読んで、君はこう思ったかもしれない。


「どうして俺がそこまで考えなきゃいけないんだ?」


その気持ちはわかるよ。


君にはほかにも仕事がたくさんあるだろうしね。


でも、だったら専門家を雇えばいいじゃないか。


経済学者、教育研究者、心理学者、社会学者。


いろんな専門家がいるだろう?


過去の成功事例や失敗事例を調べて、どんな条件で成果が出たのか比較してもらえばいい。


私は、経済研究者全員が何も考えていないと言いたいわけじゃない。


実際に優れた研究をしている人もいるだろう。


ただ、過去の研究結果があるのに、それを十分活用せず、同じような失敗を繰り返すのだとしたら、何のための研究なんだい?


そして、研究で得た知識を実際の政策や事業に応用することまで考えてほしい。


研究することと、問題を解決することは、同じではないんだよ。


例えば、100人に支援を実施して、75人の生活が改善したとする。


それは一つの成果だろう。


だけど、残り25人はどうなったんだい?


どうして改善しなかったんだい?


同じ支援が合わなかったのか。


別の問題を抱えていたのか。


教育が必要だったのか。


住居や医療の問題があったのか。


それを調べて、次の方法を考えるんだよ。


子供に与えた積もりが、親に取り上げられて、酒やギャンブルに注ぎ込まれる不幸な子も計算は可能だよね。


私は、そんなふうに問題を解いてきた。


そして、そうした知的労働には、きちんと報酬が支払われるべきだと思っている。


私は問題を考えることも、答えを見つけることも好きだよ。


だけどね。


問題を解くことが好きだからといって、私の時間や知識を無償で使っていいという話にはならないんだよ。


研究者だって生活がある。


専門的な知識や能力には、それに見合う対価が必要なんだ。


11.私が君に提案したい、本当のお金の使い方


さて、イーロン君。


私がここまでいろいろ話してきたのは、君の善意に文句をつけたいからじゃない。


私は君が持っている資金や技術力を、もっと有効に使える可能性があると思っているんだ。


例えば、1億円という予算があるのなら、最初から使い道を一つに決めなくてもいい。


生活に困っている人には、継続的な生活支援を行う。


事業を始めたい人には、計画に応じて資金を提供する。


教育が必要な人には、学ぶ機会を作る。


子供たちが自分から勉強したくなるように、漫画図書館や映像教材を用意する。


頭を使うことがかっこいいと思われるように、映画やファッションの力を利用する。勿論、スポンサーも現れると思うよ。


それぞれの方法を実際に試して、どれだけ効果があったのか調べればいい。


そして、成果が出なかった人には、別の方法を考える。


もちろん、これが最適解だと証明されたわけじゃない。


私の考えた仮説も、実験してみなければわからない部分がある。


でも、私は少なくとも、お金を渡して終わりにするよりも、教育や社会環境まで含めて考える必要があると思っている。


なぜなら、人間はお金を渡されただけでは、必ずしも自分の人生を変えられないからなんだ。


12.最後に


イーロン君。


私は君を尊敬しているよ。


ただし、尊敬しているからといって、君の言うことが全部正しいとは思わない。


私だって間違えることはあるし、君だって間違えることはある。


それでいいじゃないか。


大切なのは、間違えたときに修正できることなんだよ。


君が1億円を誰かに渡したとして、そのニュースを見た人は、


「イーロン・マスクはすごい!」


と言うかもしれない。


でも私は、そのニュースだけでは満足できないんだ。


その1億円をもらった人が、10年後、20年後にどうなったのか。


その人の子供たちは、どんな教育を受けられるようになったのか。


以前より豊かになったのか。


それとも、また誰かの援助を必要としているのか。


私は、そちらの結果を知りたいんだよ。


1億円配りました。


100億円寄付しました。


そんな金額だけで、人間の幸せを計算することはできない。


大事なのは、いくらお金を使ったかじゃない。そのお金で、どれだけ人間の暮らしを変えられたかなんだ。


そして、もう一つ。


私は、勉強ができない人間を責めたいんじゃない。


頑張っても報われない人間が、どうしたら報われるようになるのかを考えているんだ。


だから、その人たちに知識を届ける方法を作りたい。


難しい本を読めないなら、漫画でもいい。


漫画が嫌いなら、アニメでもいい。


映画でも、音楽でも、ゲームでも構わない。


その人が興味を持つものを入り口にすればいいんだよ。


知識を得ることが楽しいと思えるようにする。


知識を持つことがかっこいいと思えるようにする。


そして、学んだ知識を使って、自分の人生を少しずつ良くしていけるようにする。


そんな社会ができたら、今よりもっと多くの人間が、自分の力を発揮できるようになるかもしれない。


イーロン君。


君が世界を変えたいと思っているのなら、私はこんな方法もあるよと教えてあげたい。


ちなみに、私が今日話した知識のかなりの部分は、漫画や小説を読んで得たものなんだよ。


ほかの本やドキュメンタリーで調べて、考えて、応用しているけどね。


だから、漫画を馬鹿にしちゃいけない。


漫画で学んだ知識から、社会を変える方法を思いつく人間だっているんだから。


もっとも、私の提案がどれだけ役に立つかは、実際に試して確かめなきゃいけないけどね。


本を読めと言われても、読みたくない人が居るのは事実だしね。


それじゃ、イーロン君。


また何か思いついたら手紙を書くよ。


日本の天才パンダより。

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