国会中継を見て 円高問題を操作するゲーム
円高にしたいなら、損する人間を動かせ!
――少額の補償で為替市場を動かす方法
国会中継を見ていて、また眠くなった。
何がつまらないって、数字を延々と読み上げているだけなのだ。
写真もない。図もない。分かりやすいパネルもない。
数字を並べるのは結構だが、その数字を使って何を解決するつもりなのか。
私が知りたいのは、そこなのである。
そもそも私は、昔から金を儲ける計算が得意だった。
人生ゲームをやらせたら、他人よりずっと金持ちになって終わることが多かった。
別に金儲けそのものが難しいわけではない。
どこで金を使い、どこで金を貯め、どこで投資すれば、最終的にいくら手元に残るのか。
それを考えるのが面白かったのである。
今回も、その延長線上の話だ。
私は以前から、円高によって日本経済がどれだけ利益を得られるのかという話をしてきた。
輸入品の価格が下がる。原材料費が下がる。海外の商品やサービスを買いやすくなる。
もちろん、円高になれば輸出企業などに不利益が生じる場合もある。
だからこそ、最終的にどちらが得なのか計算すればいい。
ところが、ここで一つ問題がある。
円高になった方がいいと思っていても、円高になるために自分が損をするなら、動けない人間がいるのではないか。
例えば、100万円で購入したドルが、現在90万円の価値になっていたとする。
その人は、今ドルを売って円に交換したら10万円損する。
だから売らない。
いや、正確には、売らないのではない。
損するから売れないのである。
円高になった方が日本にとっていいと思っていても、自分の金が減るのは困る。
当たり前の話だ。
だったら、その損失を政府が補償してやればいいのではないか。
私はそう考えた。
例えば、ドルを100万円以上保有している個人投資家を対象に、政府が補償制度を設ける。
今持っているドルを円に交換してもらう。
その際に発生する損失と交換手数料を計算し、必要な金額を補償する。
そして、手数料を差し引いても、本人に1円でも利益が残るようにする。
もちろん、これだけではいけない。
補償金をもらってドルを売り、次の日にまたドルを買われたら、何をしているのか分からない。
だから契約するのである。
「補償を受けた方は、原則として今後1年間、ドルを買い戻さないでください」
違反したら補償金を返還してもらう。
関連会社を使った買い戻しなども確認する必要があるだろう。
ここまでは契約の問題だ。
そして、私が考えたのは大口投資家ではなく、むしろ小口投資家を大量に参加させる方法だった。
100万円なんて少ないと思うかもしれない。
しかし、100万円の資金を持った人間が100人集まれば1億円。
1万人集まれば100億円。
100万人集まれば1兆円である。
大口投資家一人に巨額の補償金を払うより、少額の補償で動いてくれる人間を大量に集めた方が効率がいい可能性もある。
そして本当に重要なのは、その次だ。
大量の小口投資家がドルを売って円を買えば、円高方向への圧力が生まれる。
すると、それを見た別の投資家が考える。
「円高が進みそうだな。今のうちにドルを売っておくか」
政府が補償金を払っていない人間まで、自分の判断で動き始める可能性があるのだ。
これが私の狙いである。
もちろん、逆にドルを買う投資家もいるだろうから、必ず成功するとは限らない。
だったら、そこも計算すればいい。
100万円のドル保有者は、どの程度の補償なら売却に応じるのか。
1,000万円の保有者はどうなのか。
1億円の保有者ではどうなのか。
参加率と必要な補償額を調査して、どこに金を投入するのが最も効率的なのか調べる。
金を大量にばらまくことが目的ではない。最小限の金で最大限の効果を出すことが目的なのだ。
そもそも、私は従来の為替介入についても疑問がある。
政府が円買い介入をするときには、保有している外貨を売って円を購入する。
この取引額がそのまま損失になるわけではない。政府には外貨資産があり、その運用収益もあれば売買損益もある。
だが、それならなおさら、従来の為替介入と私の補償方式を比較すればいいではないか。
どちらが少ない財政負担で円高方向に働くのか。
どちらの効果が長続きするのか。
国民の生活費はどう変わるのか。
輸出企業と輸入企業の利益はどう変わるのか。
政府の税収はどう変わるのか。
全部合わせて計算すればいい。
さらに私は、消費税との組み合わせも考えている。
例えば食品の消費税を一時的に1%にして、その間に円高が進み、輸入原材料の価格が下がったとしよう。
その値下がりが店頭価格に反映されれば、消費税を8%に戻しても、消費者が支払う税込価格は以前と変わらない可能性がある。
もっと下がる可能性だってある。
もちろん、すべての商品がそうなるわけではない。
だから実際の価格データを取る必要がある。
政府の税収が増え、補償費用を賄えるようになるかどうかも、そこで計算する。
私は、政策を一つだけ取り出して、そこにいくら金がかかると騒ぐ議論が好きではない。
その政策によって別の場所でいくら利益が生まれるのか。
その利益がさらに何を動かすのか。
最終的に国全体では得なのか損なのか。
そこまで見なければ意味がない。
人生ゲームでは、目先の収入だけを見ていたら大金持ちにはなれない。
最後にいくら残るかが重要なのだ。
経済政策だって同じだろう。
最初に金を使うから損だ、という話ではない。
その金をどこに投入すれば、誰が動いて、どんな連鎖が起きて、最後にいくら戻ってくるのか。
それを計算するのが政治の仕事ではないのか。
批判するだけなら誰でもできる。
私は、その先の答えが知りたいのである。




