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第4話 旅当直と長期休暇――医療従事者にもバカンスを!

第4話 旅当直と長期休暇――医療従事者にもバカンスを!


――医師不足の解決と家族旅行を組み合わせた、新しい医療経営の提案


2026年10月13日。


テレビ東京の『ワールドビジネスサテライト(WBS)』を見ていた。


ハンバーガーチェーンの経営戦略、星野リゾートの新しいホテルなど、なかなか興味深いニュースが続いていた。


その中で、私が特に面白いと思ったものがある。


「旅当直」というサービスである。


何だ、それは。


名前だけ聞くと、当直をしながら旅行するということらしい。


医者が旅行に行くついでに、現地の病院で当直のアルバイトをするのだろうか。


そう思って見ていたら、どうやらその通りの部分もあるらしい。


しかし、単なるアルバイトではない。


都市部で働く医師を地方の病院に紹介し、当直の仕事と観光を組み合わせるというサービスなのである。


なるほど。


これは面白い。


私は、こういう発想が好きである。


人手不足だから来てください。


そうお願いするだけではない。


その地域へ行くこと自体に、楽しみを作っているのである。


つまり、働くことに別の価値を加えている。


私は、これを見ながら思った。


「これ、もっと発展させられるんじゃないの?」


ということである。


北海道の病院が、医師を観光案内する


番組で紹介されていたのは、北海道の帯広西病院だった。


都市部から来た中原さんという医師を、病院の職員が迎える。


そして車に乗って向かった先は、観光スポットである。


医師のリクエストをもとに、病院の職員が観光プランを考えてくれたという。


訪れた場所の一つが、帯広市にある幸福駅の跡地だった。


幸福駅といえば、昔、NHKの番組をきっかけに有名になった観光地である。


幸福駅行きの切符が話題になったこともある。


名前がいいではないか。


幸福駅。


なんとも縁起のよい名前である。


そこを見学して、記念の切符を購入する。


昼食は地元で有名なレストラン。


全部で四か所を巡ったという。


病院に当直のアルバイトをしに来たのに、観光案内までしてもらえるのである。


普通に考えたら、なかなか手厚い歓迎ではないだろうか。


医師のほうも、知らなかった地域を観光できる。


美味しいものを食べられる。


地元の人たちと交流できる。


そして、仕事をして収入も得られる。


これは確かに面白い仕組みだと思った。


ただし、私は一つ気になったことがある。


「これ、奥さんや子供も一緒に旅行させてあげたらいいんじゃないの?」


ということである。


医師一人で観光するより、家族旅行にしてみたらどうだろう


今回の番組では、医師本人が観光案内を受けていた。


それはそれで、楽しい経験だったと思う。


しかし、私は家族と一緒に楽しめる仕組みもあってよいと思った。


例えば、医師が北海道で当直のアルバイトをすることになったとしよう。


本人だけで北海道へ行く。


当直をする。


観光して帰る。


それでもよい。


しかし、奥さんや子供がいる医師だったらどうだろう。


「今度、北海道で仕事があるんだけど、みんなで一緒に行かない?」


そんなことができたら、もっと魅力的ではないだろうか。


医師本人は仕事をする。


その前後に、家族と観光を楽しむ。


子供たちは北海道の自然に触れる。


美味しいものを食べる。


家族で楽しい思い出を作る。


そして医師本人は、きちんと報酬を受け取る。


なんとも素晴らしいではないか。


もちろん、すべての医師が家族連れというわけではない。


独身の人もいる。


一人旅が好きな人もいるだろう。


だから、家族同行を義務にする必要はない。


選べるようにすればいいのである。


私は、医師本人だけを喜ばせるよりも、その家族まで喜ばせるほうが、さらに応募したくなる人が増えるのではないかと考えた。


ただし、実際にどれだけ応募が増えるかは調査が必要である。


それでも、試してみる価値はあると思う。


家族の旅費を、病院が少し負担してもいいのではないか


ここで問題になるのが、お金である。


医師本人の交通費や宿泊費を病院が負担するだけでも、それなりの費用がかかる。


そこに家族の分まで追加したら、経営が大変になるのではないか。


そう考える人もいるだろう。


確かに、その通りである。


だから私は、何もすべてを無料にしろと言っているわけではない。


例えば、家族が同じホテルの部屋に泊まれるようにする。


宿泊施設と提携して、家族同行の場合は割引してもらう。


観光施設やレストランと提携して、優待を用意する。


交通費の一部だけ補助する。


そういう方法でもいいではないか。


もちろん、病院側に余裕がなければ、家族の交通費は自己負担でもよい。


それでも、一緒に旅行できるというだけで魅力を感じる人はいるだろう。


特に子供のいる家庭なら、家族旅行は意外と大きな出費になる。


普段は忙しくて、なかなか旅行に行けない医師もいるはずだ。


だったら、仕事と旅行を組み合わせることで、家族と過ごす機会を増やせるかもしれない。


私は、こういう働き方があってもよいと思う。


ただし、当直には医療上の責任がある。


観光で疲れ切った状態で診療してもらっては困る。


当直が終わった直後に無理をして長距離運転をするのも危険である。


だから、勤務と観光の時間はきちんと分けて、十分な休息を取れるようにする必要がある。


医療従事者の健康と患者の安全が最優先なのは当然である。


そのうえで、旅行の楽しみを加えればよいのである。


病院側にも、ちゃんと利益がある


では、なぜ病院は、ここまで手厚く医師を歓迎するのだろう。


番組を見ていたら、その理由が説明されていた。


医師不足である。


帯広西病院では、長期的な医療や療養が必要な患者を受け入れている。


つまり、医師がいなければ困る患者がいるのである。


ところが、年末年始の当直表を見せてもらうと、まだ埋まっていない勤務枠がたくさんあるという。


番組では、日直や宿直の不足が少なくとも二十枠あると説明されていた。


これでは大変である。


病院は、医師を確保しなければならない。


しかし、地方では医師を集めること自体が難しい。


そこで人材紹介会社などを利用するわけだが、紹介手数料も負担になる。


番組では、医師の給与の三割前後が仲介手数料としてかかる場合があるという話が出ていた。


三割。


なかなかの金額である。


そこで旅当直を利用する。


番組で紹介された料金では、初期費用が三十万円、掲載料が月額五万円程度。


マッチングによる紹介手数料は無料だという。


もちろん、当直する医師への報酬や交通費などは別に必要である。


初期費用もかかるので、必ず安くなるとは限らない。


しかし、何度も医師を確保するのであれば、従来の紹介方法より費用を抑えられる場合があるのではないだろうか。


私は、ここに経営上の可能性を感じた。


紹介手数料を払うぐらいなら、医師や家族に使ってもいい


ここで、少し考えてみてほしい。


病院がお金を使う目的は何だろう。


医師を確保することである。


だったら、そのためにどこへお金を使うのが一番効果的なのか、考えてみればいい。


紹介会社に手数料を払う。


それも一つの方法である。


しかし、医師本人がまた来たいと思ってくれるように、お金を使う方法もある。


例えば、宿泊環境を良くする。


移動の負担を減らす。


食事を充実させる。


観光施設と提携する。


家族も一緒に旅行できるようにする。


そういうことに費用を使えば、医師の満足度が高まる可能性がある。


そして、また来てもらえるかもしれない。


一回だけ来てもらうよりも、何度も来てもらえるほうが、病院にとっては便利だろう。


ただし、旅当直の利用料、交通費、宿泊費、観光にかかる費用、病院職員の案内にかかる時間まで含めて計算しなければならない。


見かけの手数料が安いからといって、全体の経費が必ず安いとは限らないからだ。


そのうえで、私はこう考える。


同じお金を使うなら、医師本人や家族の満足につながる使い方も検討してみてはどうだろう。


これは、単なる福利厚生の話ではない。


人材確保のための投資でもあるのである。


一回だけではなく、何度も来てもらう


番組では、帯広西病院では旅当直によって月一回程度の勤務が埋まっているという話があった。


病院側としては、月二回ぐらい利用できるようになれば、勤務表を組みやすくなるらしい。


それを聞いて、私は思った。


「だったら、また来たくなる仕組みを作ればいいじゃないか」


ということである。


例えば、最初は北海道旅行が目的だった医師がいたとする。


一度来てみたら、病院の雰囲気がよかった。


職員も親切だった。


患者さんとの関係もよかった。


地元の食べ物も美味しかった。


観光も楽しかった。


そんな経験をしたら、次も来たいと思うかもしれない。


今度は冬の北海道を見てみたい。


次は家族も連れてきたい。


そういう気持ちになれば、病院としてはありがたいだろう。


さらに、その病院を気に入って、定期的に勤務するようになる人もいるかもしれない。


場合によっては、将来その地域で働きたいと思う人も出てくるだろう。


もちろん、旅行を楽しんだからといって、すぐに移住してくれるわけではない。


家庭もある。


今の仕事もある。


生活環境も変わる。


だから、常勤医になることまで期待しすぎるのはよくない。


しかし、最初の一歩としては面白い。


いきなり、


「地方へ引っ越して、うちの病院で働いてください」


と言われても、なかなか決断できないだろう。


ところが、


「一度、旅行も兼ねて来てみませんか」


なら、参加しやすい人もいるのではないだろうか。


私は、こういう人材確保の方法がもっとあってもよいと思う。


看護師や薬剤師にも広げるという


番組の最後には、このサービスを医師だけでなく、看護師や薬剤師などにも広げたいという話が出てきた。


なるほど。


それは面白い。


地方で不足している医療従事者は、医師だけではないからだ。


看護師も必要である。


薬剤師も必要である。


臨床検査技師や診療放射線技師など、さまざまな専門職が必要になる。


もちろん、それぞれの仕事には専門的な資格や経験が必要である。


誰でも簡単に別の病院へ行って働けるというわけではない。


特に病院では、医療機器や業務手順、電子カルテなどが施設ごとに違う場合がある。


だから、受け入れ側の準備も必要になる。


しかし、そこを整えられれば、地域間で医療従事者が交流する機会を増やせるかもしれない。


私は、これを見ながら思った。


「リゾートバイトの医療版だね」


ということである。


リゾート医療。


いや、リゾートサービスと言ったほうがいいのだろうか。


何しろ、普通のリゾートバイトと違って、患者の命に関わる仕事である。


遊び半分で働いてもらっては困る。


しかし、仕事をしながら新しい土地を知るという考え方は、リゾートバイトに似ている。


こういう仕組みを、医療従事者の新しい働き方として発展させることはできるのではないだろうか。


地域の観光産業にも利益がある


旅当直には、もう一つ面白い面がある。


地域経済への効果である。


例えば、都市部から医師が北海道へやって来る。


交通機関を利用する。


ホテルに泊まる。


レストランで食事をする。


観光施設を訪れる。


お土産を買う。


それぞれの場所でお金が使われる。


さらに家族が同行すれば、利用者が増える可能性もある。


つまり、病院が医師を確保することによって、地域の観光産業にも利益が生まれるかもしれないのである。


私は、こういう仕組みが好きだ。


病院だけが得をするのではない。


医師も得をする。


家族も楽しめる。


地域のお店にもお金が落ちる。


そして患者も、必要な医療を受けられる。


うまく設計できれば、複数の立場に利益がある仕組みになる。


ただし、利益の配分には気を配る必要がある。


病院職員が観光案内を担当する場合、その時間も労働である。


本来の仕事が忙しいのに、医師の観光案内までさせられたら、職員にとっては負担になってしまう。


だから、地元の観光協会や旅行会社と提携する方法もあるだろう。


観光案内は観光の専門家に任せる。


医療は医療の専門家に任せる。


それぞれの仕事に、きちんと対価を払う。


私は、そういう方法も考えてほしいと思っている。


実は、私は数日前から小児科医の長期休暇を提案している


ところで、今回の旅当直を見て、私は以前考えたことを思い出した。


小児科医の働き方についてである。


小児科は、季節によって患者数が変動する。


例えば、インフルエンザなどの感染症が流行している時期には忙しくなる。


一方で、比較的患者数が少ない時期もある。


もちろん、地域や病院によって事情は違うし、いつも決まった時期に患者が少なくなるとは限らない。


しかし、私は以前から、そうした閑散期を利用して小児科医に長期休暇を与えてもよいのではないかと考えていた。


しかも、ただ休ませるだけではない。


給与をある程度保証しながら休暇を取れるようにするのである。


例えば、二週間。


場合によっては一か月。


まとまった休暇を取れるようにする。


そして、海外旅行や家族旅行を楽しんでもらう。


そんな制度があってもよいと思うのだ。


当然、病院にとっては人件費の問題がある。


だから、給与を全額保証する方法だけでなく、一定額を保証したり、休暇制度を組み合わせたりすることも考えられる。


大切なのは、安心して休める仕組みを作ることである。


医師にもバカンスが必要ではないか


私は、日本人の休暇が短すぎるのではないかと思っている。


大人になると、まとまった休暇がなかなか取れない。


一週間から十日程度の旅行でも、職場の都合を考えなければならない人がいる。


しかし、世界には、まだ知らないものがたくさんある。


外国の文化。


歴史。


芸術。


建築。


料理。


人々の生活。


そういうものに直接触れることには、大きな価値があると思っている。


私は世界旅行がしたい。


それは単に観光地を見て回りたいからではない。


自分の知らない世界を知りたいからである。


そして、外国の良いところも悪いところも、自分の目で確かめたい。


外国へ行って初めて、日本の素晴らしさに気づくこともあるだろう。


逆に、日本も見習ったほうがいいと思うことに出会うかもしれない。


そういう体験は、人間の考え方を広げてくれると思う。


医師だって同じではないだろうか。


医学の勉強だけをしていれば、よい医師になれるというわけではないと思う。


患者は人間である。


さまざまな生活をしている。


いろいろな文化や価値観を持っている。


医師自身がいろいろな世界を知っていれば、患者の生活や考え方を理解するうえでも役立つ場合があるのではないだろうか。


だから私は、医師にももっと旅行を楽しんでほしいと思っている。


小児科医が交代で休めばいいのではないか


もちろん、医師がみんな同時に休んでしまったら困る。


患者が診察を受けられなくなってしまうからだ。


そこで私は、交代制を考えている。


例えば、地域に複数の小児科があるとする。


一つの病院が長期休暇に入るときには、別の病院で患者を受け入れられるようにする。


当然、受け入れ側の病院に過剰な負担がかからないように、患者数や人員を調整する必要がある。


緊急時の対応も考えておかなければならない。


しかし、地域の医療機関が協力できれば、休暇を取りやすくする余地はあるのではないだろうか。


そして、そこに旅当直のような仕組みを組み合わせるのである。


例えば、ある医師が二週間休暇を取る。


その間、外部から来た医師が一部の勤務を担当する。


あるいは、別の医療機関と交代で診療体制を維持する。


こうした方法を組み合わせれば、長期休暇を取れる人が増えるかもしれない。


もちろん、旅当直は主に短期の当直勤務を補う仕組みであり、そのままで小児科の通常診療を代行できるわけではない。


専門性や診療内容に応じた人員確保が必要になる。


しかし、人材を柔軟に確保する仕組みを増やすことには意味があると思う。


休暇を取れない理由を並べるだけではなく、どうすれば休暇を取れるようになるのかを考えてほしい。


私は、そう言いたいのである。


休暇を与えることは、経営上の損失なのだろうか


ここで、病院経営について考えてみよう。


医師を休ませる。


給与をある程度保証する。


代わりの医師を確保する。


当然、お金がかかる。


しかし、だからといって長期休暇を諦める必要があるのだろうか。


私は、休暇によって得られる利益も考えてみるべきだと思う。


例えば、十分に休んだ医師が、仕事に戻ってきたとする。


疲労が軽減されている。


気分がリフレッシュされている。


家族と楽しい時間を過ごしてきた。


また仕事を頑張ろうと思える。


そんな状態で働けるなら、本人にとってもよいことだろう。


もちろん、長期休暇を取れば必ず仕事の能力が向上するというわけではない。


しかし、過労や疲労の蓄積が医療の安全性に影響することは、十分考える必要がある。


また、休暇が取りやすい職場なら、そこで長く働きたいと思う医師もいるだろう。


医師が退職してしまえば、新しい医師を探さなければならない。


採用にも費用がかかる。


新しい職場に慣れるための時間も必要になる。


だったら、今いる医師に無理なく働き続けてもらうことにも、経営上の意味があるのではないだろうか。


私は、休暇を単に働かない時間として考えるのは、もったいないと思っている。


人間には休息が必要である。


そして、人生を楽しむ時間も必要なのである。


医師ばかりが休んでもいけない


ここで忘れてはいけないのが、看護師や薬剤師などの医療従事者である。


医師だけが長期休暇を取れて、ほかの職員が休めないのでは不公平だろう。


看護師だって疲れる。


薬剤師だって疲れる。


医療事務の人だって、介護職員だって、毎日働いているのである。


私は、医療従事者全体の働き方を改善してほしいと思っている。


そのためには、人員配置や勤務時間を見直す必要があるだろう。


もちろん、医療機関によっては、すでにさまざまな改善が行われている。


それは評価したい。


しかし、まだ十分ではない職場もあるのではないだろうか。


私は、今回の旅当直のような仕組みが広がれば、医療従事者の働き方をもっと柔軟にできる可能性があると思う。


一つの病院だけで人員を抱え込むのではなく、地域や施設を越えて協力する。


もちろん、労働条件や資格、医療安全、患者情報の管理には十分な配慮が必要である。


しかし、そうした条件を整えられるなら、新しい選択肢になる。


何しろ、医療機関の仕事は、患者を助けることなのである。


働いている人が疲れ切って倒れてしまっては困る。


だから、医療従事者自身の健康も守ってほしいのである。


患者にとっても利益がある制度にしたい


私は、ここまで医療従事者の幸福について話してきた。


しかし、医療には患者がいる。


そこを忘れてはいけない。


例えば、地方の病院で医師が不足しているとする。


当直医を確保できなければ、残っている医師の負担が大きくなる。


患者にとっても、必要な医療を受けられる体制が維持できなくなる恐れがある。


そこで、旅当直によって外部の医師が来てくれる。


当直の不足を補える。


常勤医の負担が軽減される。


患者も、必要なときに医師の診療を受けられる。


そういう効果があれば、素晴らしいことである。


ただし、私は一つ注意してほしいことがある。


旅当直の医師が毎回違う人になる場合、患者の情報を正確に引き継ぐ必要がある。


特に、長期療養中の患者には、病歴や治療方針を十分に把握した対応が求められる。


勤務する医師の資格や経験を確認することも必要だ。


病院の設備や対応可能な範囲を、事前に説明しておく必要もあるだろう。


また、緊急事態が起きたときの支援体制も整えておかなければならない。


こうした仕組みがなければ、観光付きの勤務制度があっても、安心して医療を任せることはできない。


だから私は、旅当直を単なる観光サービスとして考えてほしくない。


医療の質を維持しながら、医師の働き方を改善する仕組みとして発展させてほしいのである。


医師不足は、根性論では解決しない


私は以前から、人手不足の問題について考えている。


人が足りない。


仕事が大変だ。


給料が安い。


休暇が取れない。


そういう話を聞くことがある。


しかし、それに対して、


「もっと頑張ってください」


と言うだけでは、問題は解決しない。


もう十分頑張っている人もいるだろう。


これ以上頑張ったら、体を壊してしまう人もいるかもしれない。


だから、私は根本的な仕組みを変える必要があると思っている。


今回の旅当直は、その一つの例だと思う。


「医師が足りないので、誰か来てください」


ではなく、


「この地域で働くと、こんな経験ができます」


という形で人材を募集する。


これは、働く人にとっての価値を考えた方法である。


ただし、観光できるから給料を安くしてよいという話ではない。


医師には医師としての仕事がある。


責任もある。


その労働には、正当な対価を払うべきである。


そして、そのうえで旅行の楽しみを提供する。


私は、そこを間違えてはいけないと思う。


何しろ、人の善意や努力を当然のものとして利用することが、私は嫌いなのである。


働いてもらうなら、きちんとお金を払う。


負担が大きいなら、負担を減らす方法を考える。


そして、できれば働く人自身にも幸福を感じてもらう。


私は、そういう経営が好きなのである。


医療と観光を組み合わせるという可能性


さて、今回の旅当直を見て、私は医療と観光という、一見関係のなさそうな産業を組み合わせることの面白さを感じた。


普通、病院は医療を提供する場所である。


観光地は旅行を楽しむ場所である。


この二つは、あまり関係がないように見える。


しかし、実際には組み合わせられるのである。


地方の病院は医師を必要としている。


都市部の医師には、新しい地域を訪れてみたい人がいるかもしれない。


地方には観光資源がある。


そこに家族旅行という要素も加えられる。


私は、こういう発想がもっとあってもよいと思っている。


ただし、医療は観光のついでに適当に行う仕事ではない。


そこはきちんと区別する必要がある。


それでも、医師が移動する理由を一つ増やすことには意味がある。


そして、地域の病院を知ってもらうきっかけにもなる。


今回のサービスを運営しているMediativeは、2025年11月から旅当直の取り組みを始め、2026年5月には専用のポータルサイトを公開している。


単なる当直求人ではなく、地域と医師の継続的な関係を作ることも目指しているという。


私は、こういう方向性を評価したい。


そして、そこからさらに発展させてほしいと思う。


医師本人だけでなく、家族も楽しめる仕組み。


観光協会や地域の飲食店との連携。


医師の長期休暇を支える人材交流。


看護師や薬剤師などへの展開。


そういうものを組み合わせれば、今より広い仕組みになる可能性がある。


最後に――医療従事者だって、人間なのである


私は、医師という仕事を大切な仕事だと思っている。


人間の健康を守る仕事であり、ときには命にも関わる仕事である。


だからこそ、医師には十分な知識と技術が必要である。


そして、責任もある。


しかし、だからといって医師が仕事だけをして生きなければならないということにはならない。


医師だって人間なのである。


家族がいる人もいる。


子供と旅行したい人もいる。


外国の美術館へ行きたい人もいる。


温泉に入りたい人もいる。


美味しいものを食べたい人もいる。


私は、そういうことを楽しんでもよいと思っている。


むしろ、楽しんでほしい。


看護師も薬剤師も同じである。


人間は、働くためだけに生きているわけではない。


生活を楽しむためにも生きている。


そして、十分に休み、さまざまな経験をすることが、仕事に良い影響を与える場合もあるだろう。


今回の旅当直は、そのことを考えるきっかけになる面白いニュースだった。


私は、そこからさらに一歩進めて、こう提案したい。


「医療従事者が、家族と一緒に旅行を楽しみながら働ける仕組みを作ってみませんか?」


そして、


「患者が少ない時期には、給与をある程度保証しながら、長期休暇を取れる仕組みを作ってみませんか?」


ということである。


もちろん、どちらも簡単な話ではない。


費用もかかる。


人員の調整も必要である。


医療安全への配慮も欠かせない。


しかし、私は、そこで思考を止めてほしくない。


できない理由を並べるだけではなく、どうすれば実現できるのかを考えてほしいのである。


私は、そういう考え方を大切にしている。


最悪の事態を想定する。


問題点を見つける。


そこから抜け出す方法を考える。


そして、実際に試してみる。


それが、私の言うバランスの取れた思考なのである。


今回の旅当直も、まだ発展途上の仕組みだと思う。


しかし、人手不足という問題に対して、新しい解決方法を考えたという点は評価したい。


そして、そこからもっとよい仕組みを作っていけばいいのである。


病院が助かる。


医師も助かる。


家族も楽しめる。


地域の観光産業も潤う。


そして患者も安心して医療を受けられる。


そんな仕組みができたら、素晴らしいではないか。


⸻


 

本日のWBS完結


働く人にも、人生を楽しむ権利がある


私は以前から、医療従事者の働き方について考えてきた。


特に小児科医の長期休暇については、患者が少ない時期を利用して、もっと長い休暇を取れるようにしたらよいのではないかと提案している。


そして今回、旅当直という取り組みを知った。


なかなか面白い発想である。


医師不足を解決するために、旅行という楽しみを加える。


私は、こういう方法がもっと広がってほしいと思う。


しかし、一つだけ注文がある。


医師本人だけではなく、家族のことも考えてほしい。


もちろん、一人旅が好きな医師もいるだろう。


それはそれで結構である。


しかし、家族と一緒に旅行したい人もいるはずだ。


だったら、どちらも選べるようにすればいい。


何も難しい話ではない。


もちろん、実際に制度を作るとなれば、経費や勤務時間の調整など、考えなければならないことはたくさんある。


しかし、それは経営者の仕事ではないだろうか。


私は、医療従事者をただの労働力として考えてほしくないのである。


医師にも生活がある。


家族がいる。


楽しみたいことがある。


そして、医師に限らず、看護師や薬剤師などの医療従事者にも同じことが言える。


人の命を守る仕事だからこそ、働く人自身の人生も大切にしてほしい。


私は、そう思っている。


ところで、私自身も世界旅行がしたい。


外国の文化や歴史に触れたい。


美味しいものを食べたい。


美しい建築や芸術を見たい。


まだ知らない世界を、自分の目で確かめたい。


しかし、私は医師ではない。


だから旅当直には応募できない。


実に残念な話である。


ただし、私は商品開発や経営戦略について、あれこれ考えることならできる。


ということで、企業の皆さん。


もし私のアイデアが役に立つと思ったら、コンサルティングの仕事でもいただけないだろうか。


もちろん、報酬はきちんと払っていただきたい。


そのお金で、私は世界旅行に行きたいのである。


何しろ、人間には仕事をする時間だけではなく、人生を楽しむ時間も必要なのだから。


人を幸せにする仕事をしている人たちが、自分自身も幸せに暮らせる。


私は、そんな社会になってほしいと思っている。

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