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第3話 星野リゾートの経営戦略と、働く人たちの幸福

第3話 星野リゾートの経営戦略と、働く人たちの幸福


――旅行は人生を豊かにする。だったら従業員にも旅をさせてあげればいい


2026年10月13日。


テレビ東京の『ワールドビジネスサテライト(WBS)』を見ていた。


今日も、なかなか面白いニュースをやっている。


ハンバーガーチェーンの経営戦略について考えていたら、今度は星野リゾートの話が始まった。


私は星野リゾートの経営戦略を、以前から結構高く評価している。


北海道のトマムリゾートなどもそうだが、単に泊まる場所を提供するだけではなく、そこで何を体験できるかを大切にしている企業だと思うからだ。


私が書いている小説『天才パンダとレオンの異世界日本化計画』にも、トマムを参考にした「トマミュリゾート」が登場する。


温水プール、温泉、ホテル、スキー場。


宿泊するだけではなく、そこにいること自体が楽しみになるような施設である。


私は、こういう発想が好きなのである。


ホテルというものは、単に眠るための建物ではない。


そこに行って、普段とは違う時間を過ごす。


知らなかったものに出会う。


家族や友人と楽しい思い出を作る。


そういう場所でもある。


だからこそ、星野リゾートの経営戦略には、以前から興味を持っていた。


しかし、今回のニュースを見て、私はもう一つ考えた。


「お客さんのことは、ずいぶんよく考えているよね。でも、従業員のことはどうなの?」


ということである。


今日は、この問題について考えてみたい。


横浜に登場した、暮らすように泊まるホテル


今回WBSで紹介されていたのは、横浜の「OMO5横浜馬車道 by 星野リゾート」である。


2026年1月に開業したホテルだ。


高層ビルの上層階にあり、横浜の街や港を見渡すことができる。


まるでタワーマンションの高層階で暮らしているような体験ができるという。


これは面白い。


しかも、客室数は175室。


全部屋にキッチンと洗濯乾燥機を設置したという。


さらに、136平方メートルもあるスイートルームまで用意されている。


136平方メートルといえば、かなりの広さである。


普通のホテルの一室というより、立派な住宅に近い。


もちろん、すべての部屋がその広さというわけではない。


しかし、長期滞在を前提にして、全室にキッチンと洗濯乾燥機を設置したという発想は、なかなか素晴らしいと思った。


ホテルに泊まるとき、意外と困るのが洗濯である。


一泊や二泊なら、着替えを持っていけばよい。


しかし、一週間、二週間と滞在する場合はどうだろう。


その日数分の衣服を持っていくのか。


それとも、ホテルのランドリーサービスを利用するのか。


どちらにしても、手間やお金がかかる。


ところが、部屋に洗濯乾燥機があれば、その問題をかなり解消できる。


しかも、キッチンまである。


毎日外食する必要もない。


スーパーで好きな食材を買って、部屋で料理することもできる。


地元の名産品を買ってきて、家族で食べてもよいだろう。


つまり、ホテルに泊まるというより、その街に暮らすような体験ができるのである。


私は、この発想を高く評価したい。


旅行先で暮らすという発想


私は以前から、世界旅行がしたいと思っている。


単に観光地を巡りたいからではない。


外国の文化や歴史、人々の暮らしを、自分の目で見てみたいのである。


私はこれまで、さまざまな本を読んできた。


歴史や文化、芸術についての知識も、かなり頭に入っている。


もちろん、覚えていることを全部言葉で再現しろと言われたら難しい。


しかし、知識が頭に入っている状態で実物を見ると、感動の深さが違う。


例えば、ヨーロッパの古い街並みを見るとする。


何も知らなければ、


「綺麗な街だな」


で終わるかもしれない。


しかし、その街が作られた時代や、当時の人々の生活、建築様式などを知っていたらどうだろう。


同じ建物を見ても、そこに歴史を感じることができる。


そして、実際にその国で生活してみれば、本ではわからなかったことにも気づくだろう。


例えば、地元のスーパーに行ってみる。


何を売っているのか。


どんな食材が多いのか。


値段はいくらなのか。


人々は何を食べているのか。


日本との違いは何なのか。


こういうことは、観光地を一日巡っただけでは、なかなかわからない。


しかし、一週間、二週間と滞在していれば、自然とわかってくることがある。


だから、キッチン付きのホテルというのは、単に便利なだけではないと思う。


その土地の暮らしを体験するための設備にもなるのである。


私は、そういう旅行が好きだ。


いや、実際にはまだ十分にできていないのだが、だからこそ世界旅行をしたいと思っている。


高級ホテルでも、自炊できるという価値


ところで、今回のホテルには、一泊13万5,000円からという高額なスイートルームも紹介されていた。


なかなかのお値段である。


もちろん、それは大型のスイートルームの話であり、すべての客室がそんなに高額なわけではない。


それでも、高級ホテルで自炊できるという発想が面白い。


普通、高級ホテルというと、豪華なレストランで食事をするイメージがある。


しかし、私は必ずしもそうでなくてもいいと思う。


例えば、家族六人で旅行したとしよう。


毎食レストランに行くとなると、食事代も相当な金額になる。


もちろん、外食を楽しむこと自体は旅行の醍醐味である。


しかし、毎回豪華な食事をしたいとは限らない。


今日は地元の市場で美味しそうなものを買ってきて、みんなで食べよう。


そういう日があってもいい。


子供が疲れているから、今日は部屋でゆっくり食事をしよう。


それでもいいのである。


何より、キッチンがあれば食事の選択肢が増える。


ホテルのレストランを利用するか。


外食するか。


部屋で料理するか。


テイクアウトを買ってくるか。


自分たちで選べる。


私は、ここに価値があると思う。


高級ホテルなのだから、毎食高級なものを食べなければならない。


そんな決まりはない。


むしろ、高い宿泊料を払っているのだから、滞在中は自分たちの好きなように過ごしたいではないか。


私は、そういう自由度の高さを評価したいのである。


ホテルの中だけで完結させない経営戦略


星野リゾートの面白いところは、ホテルの外にあるものまで、旅行の楽しみに取り込もうとしていることだと思う。


今回の横浜のホテルでも、街歩きや地元の飲食店など、周辺地域を楽しむための情報やサービスが用意されている。


これも、なかなかよい発想である。


ホテルだけでお客さんを楽しませようとすると、設備投資が大きくなる。


プールを作る。


温泉を作る。


レストランを増やす。


娯楽施設を作る。


これではお金がいくらあっても足りない。


しかし、ホテルの周囲には、すでに街がある。


歴史的な建造物もある。


観光施設もある。


地元の飲食店もある。


だったら、それを利用すればいい。


もちろん、地元の人たちとの協力は必要である。


しかし、お客さんにとっては旅行の楽しみが増える。


地元の店にとっても、お客さんが増える可能性がある。


ホテルにとっても、滞在する魅力を高められる。


私は、こういう仕組みが好きなのである。


何もかも自分の会社だけで作る必要はない。


すでにあるものを上手に組み合わせれば、新しい価値を生み出せる。


これも一つの経営能力ではないだろうか。


ただし、長期滞在には価格の問題がある


ここで、一つ気になることがある。


長期滞在型のホテルを作ったとして、本当に長期滞在できる人がどれくらいいるのだろう。


例えば、一泊三万円の部屋に十日間泊まるとする。


宿泊費だけで三十万円である。


そこに交通費や食費、観光費用もかかる。


これでは、普通の家庭にとって、かなり大きな出費になる。


もちろん、高級ホテルなのだから、裕福な人を対象にする戦略でも構わない。


それは企業の自由である。


しかし、私は長期滞在という発想そのものには、もっと広い市場があると思っている。


例えば、一週間以上泊まる人には、連泊割引を充実させる。


掃除の回数を減らす代わりに、宿泊料を抑える。


部屋の清掃やリネン交換の仕組みを工夫する。


長期滞在向けに、通常の宿泊とは違う価格設定を考える。


こういう方法もあるだろう。


もちろん、清掃回数を減らせば従業員の負担が必ず減るというわけではない。


衛生管理や客室の状態を維持する必要があるからだ。


しかし、滞在の仕組みを変えることで、ホテルにも客にもメリットを作れる可能性はある。


私は、高級なものを売ること自体には反対していない。


ただし、もっと多くの人が旅行を楽しめる方法も考えてほしいのである。


何しろ、旅行というのは人間の世界観を広げる大切な体験なのだから。


星野リゾートは、従業員にももっと優しくしてほしい


さて、ここからが今回の話で、私が特に考えたことである。


私は星野リゾートの経営戦略を結構高く評価している。


しかし、以前から少し気になっていることがある。


従業員の働き方である。


星野リゾートでは、フロント、レストラン、清掃、調理など、複数の仕事を担当するマルチタスクという働き方を採用している。


これは、経営上は合理的な方法だと思う。


従業員が複数の仕事を理解していれば、必要な場所に人員を配置しやすくなる。


忙しい仕事を助け合うこともできる。


さらに、お客さんが何を求めているのか、複数の立場から考えられるようになるだろう。


しかし、一方で私はこう思う。


「それ、結構大変じゃないの?」


ということである。


フロントの仕事を覚える。


清掃の仕事を覚える。


レストランの仕事を覚える。


調理の仕事まで覚える。


それぞれに専門的な知識や技術が必要なのだから、簡単な仕事ではない。


もちろん、複数の仕事ができることを楽しいと感じる人もいるだろう。


いろいろな経験を積めるという利点もある。


しかし、だからといって従業員の負担を軽く考えてよいわけではない。


仕事を覚えるための教育時間。


十分な人員。


休憩時間。


給与。


休日。


こうしたものを、きちんと確保してほしいと思う。


私は、実際に星野リゾートの従業員がどれほど大変な思いをしているのか、内部事情まで知っているわけではない。※実は知ってる。一度ルールをよく把握しておらず破った人間の、スキー場のリフト無料券を剥奪した。確かにルールを破ったのは良くないけど。その後は破らなくても、リフト無料券を復活しなかった。確かにクビにしたくなるくらいアホな従業員だったとは思わなくもないが。


だから、待遇が悪いと決めつけるつもりはない。※食事無料だが、その内容は刑務所でももっとマシな物を食わせるだろうと言われるような物だった。確か募集要項には食べ放題ブッフェありますと書かれていたが、実は従業員割引はあるが高額な上有料だった。


実際、公式の採用情報を見ると、ブランドによって週休三日制を採用したり、各種の休暇制度を用意したりしている。※トマム限定かもしれないが、バスの予約は融通が効かない。コンビニでも予約できるがコンビニが遠い。せめてフロントや、寮でも取れるようにしてやれ。他にも色々聞いてる。勿論、楽しいこともあったそうだ。実際、小説のネタにも採用されている。


そういう取り組みは評価したい。


しかし、制度が存在することと、現場の一人一人が十分に休めていることは、必ずしも同じではない。


私は、そこまで確認してほしいと思っている。


お客さんを幸せにする人も、幸せであってほしい


考えてみてほしい。


高級ホテルに泊まるお客さんは、何を期待しているのだろう。


綺麗な部屋。


美味しい料理。


素晴らしい景色。


快適な設備。


そして、気持ちのよい接客。


こういうものを期待しているのではないだろうか。


しかし、そのサービスを提供する従業員が、疲れ切っていたらどうだろう。


十分に休めていない。


人員が足りない。


給料にも満足できない。


毎日、仕事に追われている。


もしそんな状態だったとしたら、気持ちのよい接客を続けるのは難しくなるだろう。


もちろん、プロとして頑張る人もいる。


しかし、その頑張りに頼りきってはいけないと思う。


私は、従業員の幸福とお客さんの幸福は、対立するものではないと思っている。


むしろ、つながっているのではないだろうか。


働く人が仕事を楽しめる。


生活に余裕がある。


十分に休める。


新しい知識や経験を得られる。


そういう環境があれば、接客にも良い影響が生まれる可能性がある。


私は、これこそ長い目で見た経営戦略だと思う。


お客さんを幸せにするために、従業員を犠牲にする必要はない。


お客さんを幸せにする仕事だからこそ、働く人にも幸せであってほしい。


私は、そう考えている。


日本人の休暇は短すぎるのではないか


ここで、少し話を広げてみたい。


私は以前から、日本人の休暇が短いことが気になっている。


もちろん、職業や企業によって違いはある。


長い休暇を取れる人もいるだろう。


しかし、まとまった旅行となると、一週間から十日程度しか休めないという人も少なくないのではないだろうか。


私は、これでは少なすぎると思う。


特に、外国へ旅行する場合である。


飛行機で移動するだけでも時間がかかる。


時差もある。


現地に着いたら、体調を整える必要もある。


そこから観光地を巡って、帰国する。


これでは、ただ忙しく移動するだけの旅行になってしまうこともある。


私は、もっとゆっくり旅行したい。


二週間でもいい。


一か月でもいい。


できれば、その土地で普通に暮らしている人たちの生活まで見てみたい。


そうすることで、新しい発見があると思うのである。


旅行というのは、単なる娯楽ではない。


勉強でもある。


しかも、本を読むだけでは得られない勉強である。


旅行は、人間の考え方を変えることがある


例えば、日本に住んでいると、日本の生活が当たり前だと思ってしまう。


電車が時間通りに来る。


コンビニが近くにある。


店員が丁寧に対応してくれる。


トイレが清潔に管理されている。


こういうことも、普段はそれほど意識しない。


しかし、外国へ行くと、それが当たり前ではないと気づくことがある。


もちろん、外国のほうが優れているところもあるだろう。


日本では思いつかなかったような商品やサービスに出会うこともある。


美しい街並みや芸術に感動することもある。


その一方で、不便なことや、改善したほうがよいと思うことに出会うかもしれない。


そして日本へ帰国したとき、


「ああ、日本って結構すごかったんだな」


と思うこともあるだろう。


私は、それでいいと思う。


外国の良いところは学ぶ。


悪いところは、なぜそうなっているのか考える。


日本の良いところも再発見する。


日本の改善すべきところにも気づく。


そういう経験を通じて、人間の考え方は広がっていくのではないだろうか。


これは、私が以前から言っている「バランスの取れた思考」にもつながる。


外国だから素晴らしいと決めつける必要はない。


日本だから素晴らしいと決めつける必要もない。


実際に見て、比較して、考えればいいのである。


従業員にも、そういう経験をさせてあげたい


私は、星野リゾートのような観光企業だからこそ、従業員に旅行の機会を与えてもいいと思っている。


例えば、まとまった長期休暇を取りやすくする。


海外のホテルや観光施設を見学する機会を作る。


希望する従業員には、海外研修や視察旅行の制度を用意する。


もちろん、すべて会社負担にする必要はない。


会社が一部補助するという方法もあるだろう。


社員割引を充実させてもいい。


提携している海外のホテルに安く泊まれるようにする方法もある。


そして、そこで従業員が体験したことを、仕事に生かしてもらう。


これは、単なる福利厚生ではないと思う。


商品開発や接客の研究にもなるからだ。


例えば、従業員がヨーロッパのホテルに泊まったとする。


日本にはないサービスを発見するかもしれない。


外国のホテルで不便な思いをすることもあるだろう。


その経験から、


「うちのホテルなら、こういう工夫ができる」


という発想が生まれるかもしれない。


私は、こういう経験に価値があると思っている。


机の上で考えているだけでは、思いつかないことがある。


実際に利用者になってみることで、初めて気づく問題もある。


だから、サービス業で働く人こそ、もっといろいろなサービスを体験してもいいのではないだろうか。


休暇は、企業にとって損失なのだろうか


ここで、企業側の立場でも考えてみよう。


従業員に長期休暇を与えると、人手が足りなくなる。


その間の仕事を誰がするのか。


当然、問題になるだろう。


しかし、私はそこで思考を止めてほしくない。


「休暇を与えられない」


で終わるのではなく、


「どうすれば休暇を与えられるのか」


を考えてほしいのである。


例えば、繁忙期と閑散期を利用する方法がある。


観光業では、季節によって客数が変わる場合がある。


忙しい時期には人員を厚く配置する。


比較的余裕のある時期には、交代で長い休暇を取れるようにする。


もちろん、すべてのホテルで簡単にできるわけではない。


地域や施設によって、繁忙期は違う。


しかし、複数の施設を運営している企業なら、従業員の配置や研修時期を調整する余地があるかもしれない。


私は、休暇を単なる損失として考えるのではなく、従業員の能力を高め、長く働いてもらうための投資として考えてもよいと思っている。


従業員が疲れ切って辞めてしまったら、どうなるだろう。


新しい人を採用する。


仕事を教える。


経験を積んでもらう。


これにもお金がかかる。


だったら、今いる従業員が無理なく働き続けられる環境を作ることにも、経済的な意味があるのではないだろうか。


もちろん、長期休暇の制度だけで離職率が下がるとは限らない。


給与や人間関係、仕事内容なども関係する。


しかし、検討する価値は十分にあると思う。


子供には長い夏休みがあるのに、大人はどうなのか


私は、もう一つ不思議に思っていることがある。


子供には夏休みがある。


学生にも、比較的長い休暇がある。


しかし、大人になると、まとまった休暇を取ることが難しくなる。


もちろん、大学生だって自由に遊んでいるわけではない。


学費や生活費のために、アルバイトをしている人もいる。


長い休暇があっても、お金がなければ旅行には行けない。


私は、これも少しもったいないと思っている。


若い頃に外国へ行って、さまざまな文化に触れることには価値がある。


もちろん、国内旅行でもいい。


日本の歴史や文化を知る旅でもいいのである。


普段とは違う環境に行くことによって、新しい発想が生まれるかもしれない。


そして、その経験が将来の仕事に役立つこともあるだろう。


私は、教育というものを学校の授業だけで考える必要はないと思っている。


旅行も勉強である。


美術館に行くことも勉強である。


知らない街を歩くことも勉強である。


外国のスーパーで買い物をすることだって、文化や経済について考えるきっかけになる。


だから、若い人にも大人にも、もっとそういう機会があってほしいと思う。


星野リゾートが目指すべきもの


さて、話を星野リゾートに戻そう。


私は、今回の横浜のホテルを見て、実によく考えられた商品だと思った。


全室にキッチンと洗濯乾燥機を設置する。


長期滞在を楽しめるようにする。


高層階から横浜の景色を楽しむ。


地元の店や観光施設を利用して、街全体を旅行の楽しみにする。


どれも、利用する側の立場を考えた工夫である。


私は、こういう商品開発を評価したい。


しかし、だからこそ、もう一歩進んでほしいと思う。


お客さんを喜ばせるだけでなく、従業員も喜ばせる。


高級なサービスを提供するなら、それを支える従業員の待遇にも気を配る。


研修を充実させる。


休暇を取りやすくする。


海外の文化やサービスに触れる機会を作る。


そして、従業員自身が旅行を楽しめるようにする。


私は、そういう企業になってほしいと思っている。


実際にどこまで実現できるかは、経営状況や人員配置によって違うだろう。


しかし、企業として目指す価値はあるのではないだろうか。


何しろ、旅行の楽しさを売っている会社なのである。


その会社で働く人たち自身が、旅行の楽しさを十分に知っている。


そんな状態が理想的だと私は思う。


人間を幸せにする産業とは何だろう


今日、私はカルーセル絵本についても考えていた。


『不思議の国のアリス』のカルーセル絵本である。


本を開くと、物語の世界に入り込んだような体験ができる。


私は、その作品に作り手の誠意を感じた。


誰かを喜ばせたい。


夢を叶えてあげたい。


そんな温かさを感じたのである。


そして、私はこう思った。


「こういう作品があるから、人間を信じたい」


と。


これは、旅行や観光業にも通じることではないだろうか。


人間は、単に生きるためだけに働いているわけではない。


楽しいことをしたい。


美しいものを見たい。


知らない世界を知りたい。


家族や友人と楽しい時間を過ごしたい。


そういう願いを持っている。


観光産業は、その願いを実現するための産業でもあると思う。


だから、私は観光業を大切にしてほしい。


そして、それを支える従業員も大切にしてほしい。


人を幸せにする産業なのだから、そこで働く人たちまで幸せにできたら、もっと素晴らしいではないか。


私は、そう考えている。


最後に――旅をすることは、人生を豊かにすること


私は世界旅行がしたい。


外国の歴史を知りたい。


芸術に触れたい。


美しい建築を見たい。


知らなかった料理を食べたい。※美味いもの限定。安くて量が多いのが売りの料理は特に食いたくない。身体が疲れた時用の消化に優しい美味いものも食いたい。


外国の人々が、どんなことを考えて暮らしているのか知りたい。


そして、外国の良いところも悪いところも、自分の目で確かめたい。


そうして日本へ帰ってきたとき、


「ああ、日本って、こんなに素晴らしい国だったんだな」


と思うこともあるだろう。


逆に、


「日本も、こういうところは見習ったほうがいいな」


と思うこともあるだろう。


それでいいのである。


私は、何も外国を無条件に褒めたいわけではない。


日本を無条件に褒めたいわけでもない。


実際に見て、自分で考えたいのである。


そして、まだ知らない人間の素晴らしさを見つけたい。


私は、そのために旅行がしたい。


今回の星野リゾートのホテルは、そういう旅行のあり方を考えさせてくれるものだった。


ただ泊まるだけではない。


その土地で暮らしてみる。


地元の人々が使っている店に行ってみる。


食材を買って、料理をしてみる。


街を歩いて、新しいものを発見する。


私は、こういう旅の楽しみ方がもっと広がってほしいと思う。


そして、できれば旅行を提供する会社の従業員にも、同じような体験をしてほしい。


何しろ、人間は働くためだけに生きているわけではないのだから。


仕事も大切である。


しかし、人生には仕事以外にも、素晴らしいものがたくさんある。


旅行というものは、それを発見するための機会なのだと思う。


⸻


お客さんだけが幸せになればいいのだろうか


今回の星野リゾートの経営戦略を見て、私は改めて考えた。


企業というものは、誰を幸せにするために存在するのだろう。


お客さんを幸せにする。


それは当然、大切なことである。


しかし、従業員はどうなのだろう。


毎日、一生懸命に働いている人たちである。


その人たちが、自分の人生を楽しむ時間を十分に持てなかったとしたら、どうだろう。


私は、それでは少し寂しいと思う。


もちろん、休暇を充実させればよいという単純な話ではない。


給与も大切である。


仕事の内容も大切である。


人間関係も大切である。


しかし、仕事以外の世界を知る時間も大切なのではないだろうか。


私は、従業員の待遇を改善することが、長期的には企業の利益にもつながる場合があると思っている。


だから、経営者には、そこまで考えてほしいのである。


そして、もう一つ。


旅行というものは、決して贅沢な遊びだけではない。


文化を知る機会であり、歴史を学ぶ機会であり、自分の世界観を広げる機会でもある。


だからこそ、もっと多くの人が旅行を楽しめる社会になってほしい。


もちろん、私は星野リゾートのような高級ホテルにも泊まってみたい。


136平方メートルのスイートルーム。


全室キッチン付き。


洗濯乾燥機まである。


実に素晴らしい。


ただし、問題が一つある。


宿泊料である。


一泊十数万円もするような部屋に、私が気軽に泊まれるわけがない。


それでも、こういうものを作る人たちがいるというのは嬉しい。


人間には、まだまだ素晴らしい発想がある。


そして、その発想を実際に形にする人たちがいる。


私は、そういう人間の力を信じたいと思っている。


さて、企業の皆さん。


お客さんを幸せにするのも結構。


従業員を幸せにするのも結構。


しかし、できれば私も幸せにしていただきたい。


何しろ、私は世界旅行がしたいのである。


そのためには、まずお金が必要なのだ。


企業の経営戦略をあれこれ考えるのも楽しいけれど、たまには自分が旅行する側になりたい。


本当にそう思う。


人間は、幸せについて考えるためだけに生きているのではない。実際に幸せを体験するためにも生きているのだから。

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