第1話 ハンバーガーチェーンの市場調査は間違っていないか?
第1話 ハンバーガーチェーンの市場調査は間違っていないか?
――令和の海原雄山が考える、消費者の本音と隠れた需要
2026年10月13日。
テレビ東京の『ワールドビジネスサテライト(WBS)』を見ていた。
今日の話題の一つは、ハンバーガーチェーンの販売戦略だった。
マクドナルド、ケンタッキー、モスバーガー、バーガーキング。
各社が競争しているという。
客単価を上げるために高級な商品を開発したり、商品の品質を改善したり、さまざまな戦略を取っているらしい。
その中で、ケンタッキーフライドチキンが、チキンバーガーの肉を胸肉からもも肉に変更するという話が出てきた。
価格は50円ほど上がるという。
なるほど。
胸肉からもも肉に変更すれば、確かにジューシーになるだろう。
美味しくなる可能性は高い。
しかし、私は思った。
「いや、そこじゃないんだよな」
ということで、今日はハンバーガーチェーンの経営戦略について、消費者の立場から考えてみたい。
ちなみに私は料理人ではない。
商品開発の専門家でもない。
しかし、食べ物の味には結構うるさい。
自称、令和の海原雄山である。
もちろん自分で料理を作れと言われたら、それはまた別の話だ。
美味しい料理を見分けることと、美味しい料理を作ることは違うのである。ちなみに時間の制限が無ければかなりのものは作れる。
だからこそ、私は腕のいい料理人を雇いたいと思っている。
できれば、そのお金を稼ぐために、私の商品批評にも給料を払ってほしいものである。
ケンタッキーのチキンバーガーは美味しい。しかし、問題がある
まず、誤解しないでほしい。
私はケンタッキーのチキンバーガーを、美味しいと思っている。
胸肉のチキンバーガーでも、十分に美味しかった。
胸肉はさっぱりしている。
しかもケンタッキーの場合、肉を揚げているので、それなりのジューシーさもある。ソースも味が濃い。さっぱりしたムネ肉に合っている。
だから、わざわざもも肉に変更しなくても、美味しさとしては成立していたのである。
もちろん、もも肉になれば、さらに美味しくなるかもしれない。
それはそれで結構なことだ。
だが、私がケンタッキーをあまり利用しない理由は、そこではない。
問題は、しょっぱいことである。
はっきり言って、私には塩味が強すぎる。
食べ終わった後に喉が渇く。
場合によっては、喉がヒリヒリするような感覚まである。
もっとも、喉の刺激がすべて塩分によるものとは限らない。スパイスや油なども影響するだろう。
しかし、少なくとも私は、あの味付けを強すぎると感じている。
健康のことも気になる。
ただでさえ外食では塩分が多くなりやすい。
そこで、チキンバーガーを二つ食べるなんて、私には考えられない。
では、一個でお腹いっぱいになるのか。
ならないのである。
ちょっと物足りない。
この「ちょっと物足りない」が、実に困るのだ。
ハンバーガー二個は多すぎる。チキンを追加すると高すぎる
では、チキンバーガー一個で物足りない場合、どうするか。
普通ならサイドメニューを追加するだろう。
ケンタッキーの場合、オリジナルチキンを追加するという方法がある。
しかし、これがまた高い。
しかも揚げ物である。
当然、カロリーも増える。
チキンバーガーにチキンを追加するというのは、美味しいかもしれないが、健康や予算を考えると、あまり歓迎したい組み合わせではない。
では、コールスローはどうだろう。
私は、あのコールスローにも不満がある。
量が少ない。
値段も高い。
特別に凝った料理という印象もなく、私にとっては値段ほどの魅力がない。
しかも、あれを食べてもお腹いっぱいにはならない。
ポテトはどうか。
美味しい。
それは認める。
しかし、Sサイズで約290円。
「美味しいけど、ふざけんな」
という感想になる。
ビスケットも同じだ。
290円前後する。
私は、あれが特別に美味しいとも思わない。
カーネルクリスピーは、食べたときに肉がパサついていると感じることがある。
結局、何を追加しても、値段と満足感のバランスが今ひとつなのである。
そして、食事の総額が上がる。
私は、お金に余裕がある人間ではない。
だから、毎回そんな贅沢な食べ方はできない。
そこで思いついた。
「100円ぐらいで、ちょっとお腹にたまるものを作ればいいじゃないか」
ということである。
100円のスコーンを作ってみたらどうか
私が考えたのは、ずっしりした小さなスコーンのようなものだ。
もちろん、普通のスコーンでもいいとは限らない。
できれば、塩分や油脂が多すぎず、腹持ちがよく、値段も安いものがいい。
一個100円ぐらい。
特別に高級な材料を使う必要はない。
ただし、美味しいことが条件だ。
そこは手を抜いてはいけない。
なぜこんなものを提案するのか。
理由は簡単である。
私はケンタッキーで、食事を完結させたいのである。
チキンバーガーを食べて、少し物足りない。
だから帰りにセブンイレブンへ寄って、おにぎりを一個買う。
これでは時間がかかる。
お金もかかる。
しかも、ケンタッキーにしてみれば、ほかの店に売上を渡しているようなものではないか。
だったら、自分の店で100円の追加商品を売ればいい。
消費者は一店舗で食事を済ませられる。
ケンタッキーも追加の売上を得られる。
両方にメリットがある。
もちろん、100円で採算が取れるのかは、実際に計算してみなければわからない。
しかし、試験販売ぐらいしてもいいのではないだろうか。
重要なのは、豪華な商品をもう一つ作ることではない。
美味しいメインの商品を、無理のない予算で満足できる一食に仕上げること。
ここに需要があると思うのである。
なぜ売れた商品の統計だけを見るのか
私は、今のハンバーガーチェーンの市場調査に疑問を感じている。
もちろん、各社が実際にどのような調査を行っているか、内部資料を見たわけではない。
しかし、売れた商品のデータばかりを重視していたら、大事なことを見逃すのではないだろうか。
例えば、ある商品がよく売れたとする。
すると企業は、
「この商品には需要がある」
と判断する。
それは間違っていない。
実際に売れたのだから。
しかし、私はこう思う。
「では、買わなかった人はどうしたの?」
ということだ。
これが重要なのである。
本当はハンバーガーを食べたかった。
でも、値段が高い。
一個では物足りない。
サイドメニューを追加すると予算を超える。
だから、今日はやめよう。
そんな人が、どれだけいるのだろう。
この人たちは、売上データには現れない。
買っていないのだから当然である。
しかし、需要がなかったわけではない。
食べたかったのに、買うのを諦めたのである。
これを私は、見落としてはいけないと思っている。
例えば、一か月に三回ハンバーガーを食べたい人がいたとする。
しかし、予算の都合で一回しか食べられない。
企業の販売データには、一回分の売上しか記録されない。
残り二回分の「本当は食べたかった」という需要は、どこへ行ったのだろう。
見えなくなってしまっているのである。
もちろん、企業が非購入者調査やアンケートを実施していれば、こうした需要を調べることはできる。
私が言いたいのは、売上の数字だけで満足してはいけないということだ。
売れた理由だけでなく、売れなかった理由まで調べる。
それが本当の意味での市場調査ではないだろうか。
客単価が上がっても、客数が減れば意味がない
最近は、企業が高級商品を販売して客単価を上げようとする話をよく聞く。
しかし、私は少し心配している。
日本では物価が上がっている。
消費者は、以前よりお金を使うことに慎重になっている。
そんな状況で、高級なハンバーガーを開発したとして、どれほどの人が買えるのだろう。
もちろん、高くても美味しいものを食べたい客はいる。
だから、高級商品を作ること自体は悪くない。
ただし、普通の商品を買っている客のことも考えてほしい。
例えば、一回800円使っていた客が、月に一回だけ来店していたとする。
一か月の売上は800円である。
しかし、一食590円で満足できる商品構成を用意した結果、月二回来店してくれたとしたらどうなるか。
590円の二回で、1,180円になる。
一回の客単価は下がっている。
しかし、一人の客から得られる月間売上は増えている。
もちろん、これは仮定の計算である。
原価や人件費を考えれば、売上が増えても利益まで増えるとは限らない。
しかし、ここに経営戦略として考える余地があると思うのだ。
私は、企業同士が客を奪い合うことばかり考える必要はないと思っている。
お客さんが、もっと気軽に来店できるようにすれば、市場そのものが広がるのではないか。
そう考えているのである。
マクドナルドは、かなり美味しくなった
ここでマクドナルドの話をしよう。
私は昔、マクドナルドに対して、かなり厳しいことを言ったことがある。
はっきり言って、昔のマクドナルドは、それほど美味しいと思えなかった。
だから、
「50円値上げしてでもいいから、もっと美味しいものを作れ」
と言ったのである。
安ければいいというものではない。
多少値段が上がっても、十分に美味しい商品なら、お客さんは満足する。
そう考えたのだ。
そして現在。
私は、今のマクドナルドをかなり高く評価している。
美味しくなった。
本当に美味しくなったと思う。
もちろん、私の意見が商品改良に影響したかどうかはわからない。
しかし、メーカーが実際に商品改良を続けてきたことは確かである。
今では、価格に対する満足感も以前より高い。
しかも、マクドナルドには別の強みがある。
サイドメニューだ。
特にポテト。
私は、ハンバーガー一個とポテトLがあれば、かなり満足できる。
もちろん、ポテトLはカロリーが低いという意味ではない。
しかし、一食としての量があり、味にも満足できる。
だから、多少お金がかかっても納得しやすいのである。
一方、ケンタッキーではバーガー一個とポテトSでは物足りない。
この差は大きい。
同じハンバーガーチェーンでも、一食としての満足感が違うのである。
ただし、今のマクドナルドにも言いたいことはある。
「もう少し安くしてくれ」
ということだ。
もっとも、それはマクドナルドだけの責任ではない。
円安や原材料費の上昇、人件費など、さまざまな問題が関係している。
だから企業だけを責めるのは、かわいそうだと思っている。
それでも消費者としては、もう少し安ければ週一回ぐらい行きたい。
しかし、実際には月二回で我慢している。
そういう人もいるのではないだろうか。
現在の客数が増えていたとしても、もっと利用したいのに利用できない人がいないとは限らない。
ここにも、隠れた需要があるのである。
バーガーキングは高い。しかし、値段なりの価値がある
次はバーガーキングだ。
私は、バーガーキングをかなり高く評価している。
あの大きなワッパー。
直火焼きの肉の香ばしさ。
実に美味しい。
そして、何より一個で満足できる。
ここが素晴らしいのである。
値段だけ見れば、決して安くはない。
しかし、あの大きさと美味しさなら、私は納得できる。
つまり、高いこと自体が悪いのではない。
高いお金を払って、それに見合う価値が得られるかどうかが重要なのだ。
もちろん、だからといって毎月食べに行けるわけではない。
私は、そんなにお金持ちではない。
たまに食べたいと思う程度である。
これもまた、企業にとっては考えるべき問題だと思う。
商品が高く評価されていても、消費者の財布に余裕がなければ来店回数は増えない。
そして、ここには円安の問題もある。
日本では、輸入牛肉などの原材料費が為替相場の影響を受ける。
円安になれば、輸入に必要な円の額が増えやすい。
当然、商品価格にも影響する。
だから、バーガーキングが高いからといって、全部が企業の責任というわけではない。
商品には満足している。
それでも予算の都合で買えない。
こういう客がいることも、忘れないでほしいと思う。
ちなみに私が見かけるバーガーキングは、お昼になるとかなり混雑している。
一方、近くのケンタッキーには、あまり人が並んでいないことがある。
もちろん、行列の長さだけで売上や客数を判断することはできない。
しかし、私が実際に見ている光景として、気になるのである。
モスバーガーは、組み合わせで満足できる
モスバーガーについても話しておこう。
私は昔、モスバーガーもそれほど美味しいとは思っていなかった。
しかし、最近のモスは本当に美味しくなったと感じている。
肉もソースもパンも、以前とは印象が違う。
実際に、モスは何度も商品を改良してきた。
そういう努力は、きちんと評価したいと思っている。
そしてモスの場合、私には満足できる買い方がある。
少し高いバーガーを一個買う。
それから、手頃な価格のソイパティの商品をもう一個追加する。
私が利用したときには、200円台で選べる商品もあった。
これなら、比較的予算を抑えながら満足できる。
しかも、美味しい。
もちろん、二個食べればそれなりのカロリーになるし、ソイパティだから必ず低カロリーというわけではない。
それでも、価格の違う商品を組み合わせられることには意味がある。
高いバーガーを二個買わなくてもいい。
自分の予算に合わせて選べるのである。
ただし、モスにも改善してほしいところがある。
ドリンクだ。
私は、バーガーほどにはドリンクに魅力を感じない。
もう少し気を使ってもいいのではないだろうか。
別に、店員に面倒な調理をさせろと言っているわけではない。
ミスタードーナツのように、あらかじめ品質のよい飲料を用意しておいて、冷蔵保存して提供する方法でもいいと思う。
もちろん、衛生管理や保存期間は考えなければならない。
しかし、比較的手間を抑えながら改善できる余地はあるのではないだろうか。
せっかく美味しいバーガーを作っているのに、ドリンクが水っぽいと感じられたら、もったいないではないか。
一食の満足感というのは、メインの商品だけで決まるわけではないのである。
ケンタッキーのツイスターは、何を食べさせたいのか
話をケンタッキーに戻そう。
私は、ケンタッキーのツイスターにも、かなり不満を持っている。
以前食べたとき、まず気になったのが生地の温度だった。
ひんやりしているのである。
しかし、中のチキンは温かくも冷めてもいなかった。
しかも、肉がパサついているように感じられた。
野菜とのバランスも、私には良いとは思えなかった。
一体、何がしたい料理なのだろう。
私は食べながら、そんなことを考えてしまった。
例えば、ハンバーガーなら温かいパンと肉の組み合わせが美味しい。
クレープも、温かい生地を使ったものは香りや食感を楽しめる。
もちろん、冷たい生地で食べる料理もある。
しかし、温かい具材と冷たい生地を組み合わせるなら、その温度差まで計算して、美味しい料理に仕上げてほしいのである。
私には、ケンタッキーのツイスターが、その点で中途半端に感じられた。
しかも、セブンイレブンには、温めて食べるトルティーヤの商品がある。
私は、ああいう商品を結構美味しいと思っている。
200円ぐらいの手頃な商品でも、温めると実に美味しい。
それと比べると、ケンタッキーのツイスターには、値段ほどの満足感を感じられなかった。
では、どうすればよいのだろう。
私が思いついたのは、チーズである。
温かいトルティーヤに、とろけるチーズ。
しかも、チーズにもこだわってほしい。
しっかり風味のあるチーズを使えば、チキンのパサつきを感じにくくできるのではないだろうか。
温かい生地と肉をチーズでつなぐ。
そこに野菜を組み合わせる。
もちろん、チーズを入れれば塩分や脂質も増える可能性があるので、全体の調整は必要だ。
しかし、こういう工夫はできると思う。
私は料理の専門家ではない。トルティーヤを食べたのは25年以上前で、その不味さに二度と食べないと誓った。
だから、具体的な配合まで考えろと言われたら困る。もしかしたら改良されたかもしれない。
そこは料理人に研究してもらいたい。
ただ、一つ言いたいことがある。
「材料を組み合わせたから料理になる」というものではない。
味、温度、食感、香り。
そのすべてが調和して初めて、美味しい料理になるのではないだろうか。
私は、そういうところにこだわってほしいのである。
塩を増やさなくても美味しくする方法はあるのではないか
もう一つ、ケンタッキーに言いたいことがある。
塩分の問題だ。
私には、どうしても塩味が強すぎると感じられる。
しかも、買うたびに塩加減が違うように感じることもある。
もちろん、それが従業員の調理によるものなのか、肉の部位や衣の付き方などによるものなのかはわからない。
しかし、同じ商品なら、できるだけ味を安定させてほしい。
そこで思った。
「塩を減らしても、美味しくする方法はあるんじゃないの?」
ということである。
そうチャッピーと話していたら、チャッピーが先に答えてしまった。
「うま味を利用する方法があるよ」
そう、それだ。
私も同じことを考えていた。
うま味である。
鶏肉にはイノシン酸などのうま味成分が含まれている。
グルタミン酸などと組み合わせることで、うま味の相乗効果も期待できる。
さらに、香辛料や香ばしさを工夫する方法もある。
ケンタッキーは、もともとハーブとスパイスを売りにしている会社ではないか。
だったら、その特徴をもっと生かして、塩分を抑えながら美味しいチキンを作れないだろうか。
もちろん、うま味を加えれば必ず減塩できるという単純な話ではない。
実際に試作して、味と食塩相当量を調べる必要がある。
しかし、研究する価値はあると思う。
それに、しょっぱいものを好む人もいるだろう。
だから、従来の味を全部変更する必要はない。
薄味を好む客のために、塩分を抑えた商品を用意してもいい。
そうすれば、今まで塩分が気になって買わなかった客も利用しやすくなるかもしれない。
これも、新しい需要の開拓ではないだろうか。
「売れているから正解」ではない
さて、ここまで各社について、ずいぶん好き勝手なことを言ってきた。
しかし、私が一番言いたいことは、単なる味の批評ではない。
企業の市場調査の考え方についてである。
例えば、ケンタッキーが、もも肉に変更して50円値上げしたとする。
その商品が売れたら、企業は成功だと判断するかもしれない。
もちろん、売上や利益が増えるなら、経営上の成果ではある。
しかし、その裏で何人の客が購入を諦めたのだろう。
本当は食べたいのに、価格が高くて買わなかった人。
一食として満足できないから、ほかのチェーン店に行った人。
塩分が気になって利用しなかった人。
サイドメニューが高いから、来店回数を減らした人。
こういう人たちは、単純な売上ランキングには現れない。
だから私は、企業に質問してほしいのである。
「当社の商品で、何が一番好きですか?」
ではない。
それも大切だが、もっと聞いてほしいことがある。
「なぜ、当社の商品をもっと頻繁に買わないのですか?」
という質問である。
これを聞かなければ、隠れている需要が見えてこないのではないだろうか。
そして、もう一つ。
「もっと気軽に買えるようになるには、何を改善してほしいですか?」
これも聞いてみてほしい。
値段なのか。
味なのか。
量なのか。
健康への配慮なのか。
商品構成なのか。
それとも、ほかに理由があるのか。
そこまで調べて初めて、本当に消費者のニーズを把握できるのではないだろうか。
競争するより、市場を広げればいい
私は、企業同士が競争すること自体を否定しているわけではない。
競争によって、商品が美味しくなったり、便利になったりすることはある。
しかし、今の日本のように家計の負担が大きくなっている状況では、別の視点も必要だと思う。
客を奪い合うだけではなく、消費者がもっと利用できるようにする。
例えば、月一回しか利用しなかった人が、月二回利用するようになる。
年一回しか利用しなかった人が、年二回、三回利用するようになる。
そんな変化が起きれば、市場は広がる。
しかも、そのために必ずしもメイン商品の値下げをする必要はない。
ケンタッキーの場合なら、100円程度で追加できる、腹持ちのよい商品を開発するという方法もある。
マクドナルドの場合なら、品質を維持しながら手頃な価格の体に優しい商品を用意する。
モスバーガーなら、組み合わせの自由度をさらに高める。
バーガーキングなら、大きなバーガー一個で満足できるという価値をさらに伝える。
それぞれの企業には、それぞれの強みがある。
大切なのは、その強みを生かしながら、消費者が利用を諦めている理由を減らすことではないだろうか。
そして、企業側にも利益が残るようにする。
そうでなければ、商売は続かないからだ。
最後に――お客さんは、もっと食べたいのである
私は、ハンバーガーチェーンに対して、ただ安くしろと言っているわけではない。
昔のマクドナルドには、50円値上げしてでも美味しくしろと言った。
今のバーガーキングには、高いけれど値段なりの価値があると思っている。
モスバーガーも、最近は本当に美味しくなったと評価している。
ケンタッキーのチキンバーガーだって、美味しいと思う部分はある。
しかし、しょっぱすぎると感じる。
食後に喉が渇く。
一個では物足りない。
追加すると高い。
だから、あまり買わない。
実に単純な話である。
では、どうすれば私はもっとケンタッキーを利用するのだろう。
味付けを調整する。
手頃な価格で追加できる商品を作る。
一食として満足できるようにする。
健康面にも配慮する。
少なくとも、こうした工夫があれば、私は今より利用しやすくなると思う。
もちろん、私一人の意見で市場全体を判断することはできない。
だからこそ、同じような不満を持っている人がどれくらいいるのか調べてほしいのである。
私は、企業が商品を改善して美味しくなったと感じたら、ちゃんと評価を変える。
ミスタードーナツもそうだった。
モスバーガーもそうだった。
マクドナルドもそうだった。
昔はあまり美味しくないと思っていた商品でも、今は素晴らしいと思うことがある。
だから私は、商品開発をしている人たちの努力を否定したいのではない。
むしろ、もっと頑張ってほしい。
もったいないと思うからである。
売れている商品の統計だけではなく、買いたくても買えない人たちの声を聞く。
これは、ハンバーガー業界だけの問題ではない。
あらゆる商売に共通する考え方ではないだろうか。
お客さんは、美味しいものを食べたい。
できれば、もっと頻繁に食べたい。
でも、お金には限りがある。
健康だって気になる。
時間だって限られている。
そんな消費者の事情まで考えて商品を開発する。
私は、そこに本当の意味での企業の誠意があると思っている。
そして、今日もまた思うのである。
「美味しいものを作るのは結構。でも、お客さんが買えるようにしてくれよ」
と。
何しろ、美味しいものがあっても、買えなければ食べられないのである。
これでは、せっかくの企業努力ももったいないではないか。
令和の海原雄山としては、そこまで考えていただきたい。
もっとも、これだけ文句を言っている私にも、一つ問題がある。
自分で作れと言われたら、困るのである。
だから、料理人の皆さん。
どうか美味しいものを作ってください。
私は食べて評価します。
ただし、味には結構うるさいので、その点はご了承ください。
そして企業の皆さん。
もし私の意見が役に立つのなら、商品開発のコンサルティング料でも払っていただけるとありがたい。
私だって、もっと美味しいものを食べたいのだから。
⸻
売れなかった商品ではなく、買わなかった客を調べてほしい
今日、WBSを見ながら、ハンバーガーチェーン各社の経営戦略について考えてみた。
私は、商品の値段が高いこと自体を問題にしているわけではない。
高くても、それだけの価値があれば納得する。
しかし、家計に余裕のない消費者が、買いたい商品を我慢している現実もある。
その人たちが本当は何を望んでいるのか。
そこを調べずに、売れた商品のデータだけで市場を判断してしまったら、せっかくの商機を逃してしまうのではないだろうか。
これは、私が以前から大切にしている「バランスの取れた思考」にも通じる。
売上が増えたという良い結果だけを見るのではない。
その裏で、どんな不満が残っているのかも考える。
問題を発見したら、改善方法を考える。
そして、実際に試してみる。
今回の100円の追加メニューも、そうした提案の一つである。
成功するかどうかは、試してみなければわからない。
だったら、試してみればいい。
私は、そう思うのである。




