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Zakkan  作者: 波暮
19/27

目を覚ます度に

目を覚ます度に、

何かを忘れている気がする


体はある

手も、足も、胴も、頭もある


持ち物は多くない

財布、携帯、鍵があればいい


昨日の私と同じ

一昨日の僕と同じ


いつも通り

でも、──何か足りない


記憶は連続している

 どんな風に1日を過ごしたか

 どうやって眠りについたか

 ちゃんと覚えている


風景、

自分の感情、

大事な思い出、 

嫌なこと、


全部、全部

アルバムに仕舞った写真みたいに


大切にすることも

捨てることもできず


焼き付いてしまって。



「忘れることができない」

それは呪いのはずだった


 一歩先に進んでも

 繋がれた家畜のように

 過去の意思に縛られている


 流れのある一点が楔で縫い止められて

 その半径でのみ行動できる

 

 時間軸に沿って直線上に

 山陵に沿って脈々と


 軌跡を描いたら鎖のように

 あるいは二重螺旋のように


峠に着いて振り返れば

そんな景色が背後にあった


──ならば、それはもう。


 私を縛る鎖であり

 私を守る命綱


──そんな風に思えたなら。


コルクボードに貼り付けた

忘れざるものの結晶片を

鼻唄に乗せて軽々と

風船みたいに、窓から空へ


そんな小人が住んでいる

心の部屋の片隅に

シルキーみたいな世話好きが

夢の世界で働いている



今日も私は目を覚ます

微睡の中に記憶の砂を零しても

悲嘆に暮れたりはせず


その砂がダイアモンドのように

煌めきを残しながら

内燃機関の燃料として


今日も私を歩かせてくれる



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