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11話 死体遺棄

間が開いてすみません。

 結局新しい拠点も見付からなかったし、まだ読んでおきたい本もあったので、部屋に戻った。誰かが侵入した痕跡は見当たらない。

 息を吐き出しながら椅子に腰掛け、置きっぱなしだった魔法学の本を開く。これを読み終えたら次は魔術学、それでも分からなければ魔法陣の本やこの街、アインツの歴史を記したものを探そう。<看破>が働くためには情報が必要なのかもしれない。



〔これまでの行動経験によりスキル<言語学>がレベルアップしました〕

〔これまでの行動経験によりスキル<考古学>を習得しました〕


 結論から言うと、成果らしい成果はなかった。圧倒的に<言語学>のレベルが足りない、全く意味が掴めないのだ。例えるなら中学生が大学院で使用する専門分野の英語の教本を読もうとするような感じだ。目が滑るし、ゲーム内だというのに眠くなるし、散々である。

 レベルが上がっても変わらないので今はまだ読めるものではいのだろう。むしろ空白の路地に気付いたこと自体が、<看破>のお仕事疑惑が出てきた。今気付くべきものではなかったのだろう。そういうことにしておこう。ストレス発散に支障が出ては困るので。

 これが新しい拠点に繋がれば嬉しかったんだけどなあ。


(ログアウトにはまだ早いな)


 じゃあ、ストレス発散の続きだ。



―――――――――――――――――――――――


〔ただいまの戦闘によりレベルが上がりました〕

〔スキルポイントを2獲得しました〕

〔ただいまの戦闘によりスキル<暗殺術>がレベルアップしました〕

〔ただいまの戦闘によりスキル<奇襲>がレベルアップしました〕

〔これまでの行動経験によりスキル<気配希釈>がレベルアップしました〕

〔これまでの行動経験によりスキル<隠密>がレベルアップしました〕

〔これまでの行動経験によりスキル<視線遮断>がレベルアップしました〕

〔これまでの行動経験によりスキル<物音緩和>がレベルアップしました〕

〔ただいまの戦闘により称号《黎明の敵》を獲得しました〕


*********

称号《黎明の敵》

【黎明】所属者を一定数殺す、または【黎明】へ一定額の損害を与えた者に贈られる称号。

【黎明】所属者への与ダメージ《微増》、【黎明】所属者からの被ダメージ《微増》

*********


*********

黎明の証

【黎明】に所属するの一般の渡り人が持つ証。

*********


 今日はどうも外れが多い。累計で20人以上殺したにもかかわらず渡り人(プレイヤー)が半分を超す程度なのだ。遺体が残らない分処理の手間は省ける一方でアイテム類の実りがない。

 そう思っていたのだが、アイテムも落としたし称号も獲得してしまった。レベルの上がりはNPCを殺した時よりも早い気がする。死体を残さないからだろうかか。


 証とやらを落とした者の死体は残らなかったから、渡り人だったのだろう。もう陣営に所属した人がいたのか。早いな。

 しかしこれで【黎明】に所属することは難しくなっただろう。所属陣営が実質一つに絞られてしまった。まさか敵称号を持つ者を陣営に引き入れたりはしないだろうし。ああ、別に所属しなくてもいいか。のんびり構えていこう。


 思い直しつつ、角を曲がってきた女性の目に毒針を突き刺した。後ろを歩いていた男性が剣の柄に手をかける前に首を切り裂き鞘を蹴り上げる。固定具を軸に回転した鞘から、長剣が地面に滑り落ちた。悲鳴をあげる間もなく動かなくなった女性を盾に、矢を番えようとした青年に突っ込む。青年の矢が刺さった体を放り投げ、拾った剣で丸ごと貫いた。

 まだ動く体を魔力の炎で焼いてこんがり死体にしてから3つともインベントリに突っ込む。このままフィールドへ出て捨ててしまおう。


〔ただいまの戦闘によりスキル<暗殺術>がレベルアップしました〕

〔ただいまの戦闘によりスキル<奇襲>がレベルアップしました〕

〔ただいまの戦闘によりスキル<剣術>が習得可能になりしました〕

〔これまでの行動経験によりスキル<気配希釈>がレベルアップしました〕

〔これまでの行動経験によりスキル<気配察知>がレベルアップしました〕

〔これまでの行動経験によりスキル<隠密>がレベルアップしました〕

〔ただいまの戦闘により称号《薄暮の敵》を獲得しました〕


*********

称号《薄暮の敵》

【薄暮】所属者を一定数殺す、または【薄暮】へ一定額の損害を与えた者に贈られる称号。

【薄暮】所属者への与ダメージ《微増》、【薄暮】所属者からの被ダメージ《微増》

*********


 もしかしなくても、相当強い人たちだったのではないだろうか。さっき上がったスキルレベルが、また上がってしまった。不意打ちでなければ勝てない相手だったのだろう。少し嬉しい。

 一方で、【薄暮】にも所属できなくなってしまった。無所属で頑張るしかないだろう。一般的なプレイはしていないことだし、さして問題もないはずだ。いや、確か【月虹】とかいう陣営に所属していた死体もあったな。公式サイトにも載っていない陣営に所属する方法があるのかは知らないが、陣営が存在するなら所属も可能だろう。


 (もっぱ)らの問題は、死体をどこに捨てるかだ。

 森はこの間捨てたため避けたい。考えているのは海だ。死体くらい魚が食ってくれるだろうし。


 日の暮れた街を走り抜けてフィールドに出た。

 夜はプレイヤーの数が減る。そして砂浜に足を取られやすい地形、引きずりこまれれば身動きの取れない間にモンスターに殺される海とくれば人気(ひとけ)がないのも頷けるというものだ。


 モンスターや人の気配を避け、周囲になんの気配もしない所まで着いた。インベントリから有用そうなアイテムやポーションを剥ぎ取った死体を海へ放り投げる。

 1、2、3、と投げ続け、15体全部投げ終えた時、目の前の海が音を立て始めた。


(何かフラグ踏んだ?)

証系アイテムはプレイヤーから一定条件下でのみドロップします。


種族:人族

種族レベル:12

スキル:

<暗殺術>14<奇襲>13<投擲術>2

<気配希釈>14<気配察知>14<隠密>14<視線察知>7<視線遮断>6<物音緩和>6<呼吸停止>4<変装>2

<識別>7<解読>1<看破>1<採取>1

<薬学>4<言語学>8<魔力学>5<魔法学>5

<痛覚耐性>7

残SP:8

称号:

《初めてのひとごろし》

《躊躇の無い殺人》

《黎明の敵》

《薄暮の敵》

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