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ノアの終焉  作者: 齋藤昴
第3部
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第二章 エルドラド王国(1)

 ゲーティア大陸の西半分の大半は、人の交通を阻む厳しい自然環境が広がっている。

 セルヤム王国を西方へ進むと、そこには広大な砂漠が横たわっている。この砂漠はカラタン砂漠と呼ばれ、人の足では抜けるのに40日かかると言われている。もしその砂漠を抜けることができたとしても、砂漠の西は海で終わっており、旅人は北へ抜けるよりない。砂漠の北は険しい山岳地帯が壁のように立ちふさがり、進路を阻んでいる。わずかに一か所だけ、山間を抜けられる狭い道が存在するが、くぐり抜けた先は野生の猛獣が跋扈(ばっこ)する深い森となっている。しるべなき森の中を、運良く迷うことなく北西へ進むことができれば、森林地帯を抜けた先に北へ突き出た半島の付け根までたどり着くことができるだろう。飛竜が住む山を越えると、そこにエルドラド王国はあった。

 エルドラドはまさしく、ゲーティア大陸の最西端だった。そこは唯一、人が住むのに適した環境だった。三方を海に囲まれて、高緯度地域にも関わらず比較的温暖な気候に恵まれていたのである。

 このように陸地から辿り着くのは容易ではない場所にあったが、西部は入り組んだ海岸線が伸びているため良港に恵まれ、古くから船による交易が盛んに行われていた。セルヤムからエルドラドに向けては、船で大陸の南岸沿いを西方へ進み、砂漠を回り込むように北上する航路が使われていた。

 この隔絶されたような土地に初めて人が入ってきたのは、まだ大陸歴が制定されていない、1000年以上昔のことだったと言われている。エルドラドの歴史書に(なら)うなら、強力な魔導の力を持った大魔導士グランとその弟子達が、大陸を渡って移り住み、ここに国を築いたのが王国の始まりとされている。グランの子孫たちは、強力な魔力を受け継いでこの地を治めていた。彼らが、王家とそれに従う貴族となった。

 エルドラド王国では、魔導の力は権威の源であった。その力は、遺伝によって受け継がれる。すなわち血統により厳格に階級が定められているのである。そうした背景故に、この国の影には常に政略結婚などの生々しい政争が付きまとってきた。

 力を持たぬ一般の国民は、こうした政争とは基本的に無縁であった。彼らは王侯貴族に従い決められた税を納める他は、自由に商いをし、旅に出ることもできた。また、王家や貴族を護衛する騎士団も、魔導の力を持たぬ者たちによって組織されていた。過去には、騎士の身分から貴族へと引き立てられた者も何人かいた。だが、魔導の血筋を持たぬ者達は例え爵位を得たとしても、政治の中枢に携わることは決して許されることはなかった。

 このように、この国の枠組みの中心には、常に魔導の力が関わっていたのである。

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