第四章 贖罪(3)
季節は春へと巡り、敬虔な民たちを祝福するような暖かな空気が訪れた。
美しく晴れた新月の夜、チュニスの人々は一人の例外もなく皆丘の麓へと集まってきた。
頭上には星の海が広がっている。
丘の上にはマラーヤータが立ち、静かに天蓋を見つめている。今日、ここで、厳かな祈りが捧げられることになっていた。
集まった人々も彼に倣うように、皆黙って天を見つめていた。
マラーヤータは、仰ぐようにゆっくりと両手を掲げ、祈りの言葉を紡いだ。
天よ
偉大なる真実の輝きよ
あなたは正しき父である
あなたは慈愛に満ちた母である
あなたは常に私たちの上にあり
決して離れることはない
あなたの意思はすべての理
変わることのない正義
私たちを導き
安らげて下さる
どのような悪も
決して見過ごすことはない
どれ程大きな力を持つ者も
あなたの前では赤子よりも弱い
悪事はひとつ残らず正される
逃れることはできない
天よ
私達は誓います
あなたを信じることを
あなたの意思に従うことを
私達は忘れません
あなたが私達の軛を砕き
自由の野へと導いたことを
一切の悪から
私達をお守りください
私達が悪によって脅かされぬように
私達が悪に染まらぬように
天よ
この世の何処にいても
あなたの目が私達を見つめ続ける
あなたの手が私達を導いて下さる
その意思に従う限り
子や孫やその孫の代まで
永遠の慈悲を与えて下さる
限りない愛を与えて下さる
あなたの御手に守られ
私達は奪われることはない
脅かされることはない
偉大なる天よ
私達に光をお与え下さい
私達をお導き下さい
マラーヤータに続き、民たちも祈りの言葉を繰り返した。言葉を口にすることで、胸の内が洗われるように穏やかとなり、安らぎを感じられた。
信仰が、彼らの心を強くし、互いに結びつけている。
ネロも、ルルムも、星空を眺め、祈りを唱えた。
神聖な夜に、すべての人が、祈りを捧げていた。
永遠の安らぎを信じて。




