15.文化祭1日目
待ちに待った文化祭がやってきた。俺らのクラスは焼きそばなので、屋外の屋台エリアに店を構えている。
結局長田は一度も学校には来ていない。流石にやりすぎではないだろうかと思うのだが、それをいう権利が俺にあるかと聞かれたらそれは難しい。
まあクラスとしては試作も屋台の装飾もかなりガチったので売り上げも伸びるんじゃないだろうか。
そんな予想は大いに的中した。
やはり焼きそばのソースの香りは食欲をそそるのだろう。俺がキャベツを切る担当の時間中、包丁はずっとトントントントン言っていた。
休憩時間が手に入ったので、隣の屋台の売り上げに貢献しに行く。と言っても焼き鳥だけだと空腹は満たせない。屋内のタピオカ屋にでも行こうか。そう考えていたら、胡簶さんとばったり会った。
「あ、宮本くん……」
どうしたのだろうか、ゆりと別れた直後のような雰囲気を再びまとっている。
「胡簶さん、せっかくだし一緒に回らない?」
ん? あれ俺今なんて言った?
「えへ、うん。いいよ、一緒に回ろう!」
よく分からないし顔から火が出そうだけど俺の無意識よくやった。
そこからは二人でタピオカ屋に行って、アトラクションや軽音部のライブにも行った。とても楽しかった。だけどどこか物足りなかった。
俺はその原因にわかっているはずだったけど、ずっとそれを楽しさで塗り隠していた。でもそれも今日まで。
男ならガツンと一発決めなければ。
「あのさ、胡簶さん。俺と付き合って欲しい」
軽音部のライブが終わってからの体育館裏。人気の無いそこで俺と胡簶さんは向かい合っている。俺は心臓が口から飛び出そうな思いをしつつ、彼女の瞳に吸い寄せられる気分でそう告げた。
「…………あ、ありがとう。でも」
俺の身体に雷が落ちた。でも。その言葉だけで全てを察することができる。そうだよな、胡簶さんはいい人だけど恋愛はしないよな。
「でも、私なんかでいいの?」
胡簶さんがいいんだ、そう口にしたいのに喉が固まって声が出ない。
「宮本くんは魅力いっぱいで、古川さんと付き合ってる頃から輝いてたのに、二人が別れてからもっとキラキラになって。噂に疎い私でも宮本くんが最近すごいことになってるって知ってるのに。そんな宮本くんが、こんな私でいいの?」
なんだ、そっちか。
喉も含めて、全身の筋肉が緩んだ気がした。今度こそ言わなければ。
「いや、俺は胡簶さんがいいんだ。胡簶さんじゃなきゃ嫌なんだ」
胡簶さんの瞳から涙が溢れる。何故泣いているのだろう。そんな疑問がよぎったのは一瞬だけ。
そのあとは夕陽を反射する涙と、夕陽以上に眩しく、そして心に直接入ってくるような笑顔を見つめるのに精一杯だった。
「ありがとう、宮本くん。これからよろしくね、し、しげ?」
「ふふ、好きな方で構わないよ」
「な、なら宮本くんで。そっちの方が宮本くんっぽい」
「なんじゃそりゃ」
ほんとうに、なんだよそれ。あんなにビビらせておいて。
需要があると判断したら続き書きます。もっとざまぁしろでも、もっとイチャつけでもご要望があればお教えください




