16.文化祭2日目
昨日と同じ文化祭。
昨日と同じように起きる。だがしかし、朝の時点で昨日までと違うイベントが発生する。
「おはよう、宮本くん」
「おはよう」
胡簶さんとの登校だ。彼女とは家の方面が同じだったらしく、途中の乗り換えの駅で待ち合わせた。うちの電車は下りなので朝のラッシュには巻き込まれない。
とは言っても人はいるので会話は慎みます。それでも二人並んで電車に揺られるというのはなかなか感動的なものだ。
そのまま学校の最寄駅につき下車。周りにもある程度の生徒がいる中での2人きりの登校、やっぱ恥ずかしい。それは胡簶さんも同じらしく二人とも黙ってしまった。
荷物置きとなる教室に入ると、早速冷やかしが現れた。
「おはよう色男」
「おはよう色男」
「おはよう色男」
「なっ! うるせえ!」
隣で胡簶さんがもじもじしている。全く、これだから男子は。
「胡簶さんおめでとう!」
「まさか胡簶さんが取ってくとはねぇ」
「大切にするんだよ胡簶さん!」
女子も同じじゃねぇか。もう朝から困ったことしやがって。
と思っていたら携帯がラインの着信を知らせた。こんな朝から誰だろうか。そう思って画面を見ると、長田快の名前が映っていた。げげげ。
『宮本おめでとう。この一件に関しては俺が悪かった、すまない。もう二人に手は出さないから安心してヤってくれ』
なるほどこの切り替えが愉悦部員の特徴か。アイツはこう言ったら本当にその件に関してはノータッチになる。つまり、もう俺と胡簶さんの仲を邪魔するつもりはないということだ。
おそらくアイツからしたら自分自身までも愉悦の対象なんだろうな。今頃自分のフラレざまを思い出して笑ってるかもしれない。
本当に歪んだ奴だよ。
そう思っていると変な視線を感じた。ゆりだ。
しかしその顔にはなんというか、当然悔しさなんかは感じられるのだが攻撃してやろう、というのを感じない。諦めてくれたのだろうか。まあそれに越したことはないのだが。
その日の文化祭は本当に輝いていた。昨日のも楽しかった。だがそれとは違う満足感があった。昨日のように急いで回るということはなく、二人でぶらぶらと回った。
後夜祭も二人で並んで参加した。有志の漫才など、くだらないことが繰り返される。
時折聞こえてくる胡簶さんのくすくすという笑い声。
俺はこの、厄介な二人を相手にした戦いに勝ったのだと心から思った。
完結です!
ここまでお読みいただき、本当にありがとうございました!




