13.メンヘラ女こわい
日に日に俺と胡簶さんの距離感が縮まっている。これは本当に嬉しいことだ。胡簶さんと一緒にいるとこっちまで浄化されてるような気分になる。
「今日から体育の種目変わるってすごいキリ悪いね」
「だよね。私はテニス選択なんだ。宮本くんは?」
「俺はバスケ。球技は苦手だけどバスケだけ人並みにできるんだよね、親の血かな?」
父親は高校時代バスケをものすごく頑張っていたらしい。別に俺にバスケを強要する気配がなかったので小さい頃はよく分かっていなかったが、インターハイでスリーポイントをいくつも決めたことの凄さは今ならよく分かる。
まあそんなことはどうでもいい。今朝も胡簶さんと会話することができた。これで十分。そういえば長田はまだ来ない。胡簶さんも結構言ってたからな。俺も好きな人からあんなに言われたら立ち直れない。
だがそのダメージはクラスにまで及んでいるのだから笑えない。長田のあの魅力は、一つの共通の感覚をクラスに与えるわけで、やはりそれが無いというのは虚しい。
体育が終わってからのこと。
胡簶さんがジャージ姿のまま教室に戻ってきた。女子は更衣室で制服に着替えてから教室に戻ってくることになっているのだが、どうしたのだろう。
どうしたの、とそう声をかけようとした。しかし彼女の瞳に溜まる涙がそれを阻んだ。
だがそれではダメだ。ここで一歩踏み込む力が大切。
「胡簶さん、何かあったの?」
「……せ、せいふくが…………」
胡簶さんの手に目を向ける。そこには、刃物で切り裂かれたような、文字通りズタズタの制服があった。
「こっ、こんなこと……!」
誰が犯人だなどとそんなことはもう言わない。犯人は絶対に古川ゆりだ。長田の離脱で一人暴走を始めたのだろう。そういえばあのヤったヤらない騒動は前準備から手が込んでいた。さすが愉悦部といったところか。
逆に言えば長田のいないゆりはただの頭のおかしな女だ。すぐに事態は落ち着く。
だがそれは落ち着き得るものの話だ。こういった実際的なものの破壊となると話は変わってくる。ゆりが謝罪したところでこれが瞬間的に治ることはない。
「胡簶さん、ほんっとうにすまない。俺がいるせいだよね。だからせめてもの責任、ゆりをとっ捕まえて謝らせる」
「宮本くーーーー」
胡簶さんの声が後ろから聞こえる。幸運なことに次の時間は昼休み。少しばかり時間をかけても問題ないだろう。
需要があると判断したら続き書きます。もっとざまぁしろでも、もっとイチャつけでもご要望があればお教えください




