11.メンヘラ女と愉悦部員の敗北
「ごめんなさい、私どうしても長田君のことは好きになれない」
好きになれない、か。これはキツイ。男として同情してやろう。好きになれないってつまり生理的に無理ってことでいいんだよな。ってなると、うん。長田さすがにかわいそうだ。
「…………ハッハハッ、そ、そうか。分かった。なんだか悪かったね、じゃあ」
「待って!」
「な、なに?」
「そ、そのね。そういうのはやめた方がいいと思う、よ?」
そういうの? どういうのだ? 好きな人に告白することか? それはさすがに酷でしょう胡簶さん。長田もなんのことかポカンとしてるじゃん。
「つ、つまりそうやって古川さんと手を組んで変な計画するのはやめた方がいいと思う」
「ヒッ!」
あ、隣でゆりが変な声を出した。まさか図星?
「ちょっとなに言ってるかわかんないよ?」
長田の雰囲気が変わったような気がする。
「私、気付いてるよ。長田君の本当の性格。確かにクラスの大半の人は騙せてるかもしれないけど、私は騙されてない」
「本当の性格? というと学校では見せない素ってこと?」
「うん」
「ハハハハッ! まさか君は学校でも素でいるのか? それはむしろ愚かというものだ胡簶。人はそれぞれの場所にあった顔を持つ。これが普通だ」
「それは分かってる。でも長田君の素は異常だよ。みんなも持ってる攻撃的な面が、あなたのはより暴力的でおぞましい」
「おぞましい、だと?」
「うん。他人の死を突発的に望む人はいるけど、あなたのように継続的に摂取する人はとっても少ない。ううん、そっちじゃない。そんなことよりももっと異常ーーーーキャッ!」
なんだ! 胡簶さんの悲鳴が聞こえたぞ! まさかアイツ女子相手に手をあげてるんじゃ!
「オイ長田! なにやってるんだ!」
急いで飛び出す。胡簶さんが傷つかないように、守れるように。
すると案の定と言うかなんというか、手を振りかぶったところで静止した長田がいた。
「宮本」
「なに女子相手に暴力振るおうとしてんだよ! それは流石に許されないぞ」
まだ固まっている長田。しばらくして、ゆっくりと息を吐きながらようやく動き始めた。
「…………はぁ、そうだな」
長田はそれだけ言い残して校門へ向かった。帰るのだろうか。ってそういえば胡簶さんの質問、この騒動の元凶はゆりと長田の二人なのかという質問に答えが返ってきてない。
「おいゆり、結局お前らがあの噂広めたのか? っていない」
いつから消えたのだろうか、そこにはゆりの姿はなかった。
「胡簶さん怪我はない?」
声だけ聞いてたら結構しっかりしてた胡簶さんだが、顔を見たらそうでもなかったのがよく分かる。脚まで震えて。本当にかわいそうだ。
「う、うん、大丈夫。助けてくれてありがとう」
胡簶さんが真っ直ぐ俺の目を見つめてそう言う。その視線は何よりも甘く、そして甘すぎるが故に直視が難しい。
「じゃ、じゃあまた明日」
俺は逃げるようにその場を去ってしまった。
需要があると判断したら続き書きます。もっとざまぁしろでも、もっとイチャつけでもご要望があればお教えください




