10.イケメンザマァ!!!
今日の教室は、昨日の隣のクラスのカップルがずっと噂になっていたのと同じように俺と胡簶さんのことがコソコソコソコソと話されていた。
「宮本くんはもう少し真面目かと思ってたんだけどなー」
「胡簶さんは被害者じゃない? ってかそうであって欲しいわー」
「でも意外と胡簶さんからだったりして!」
「可能性はあるよねえ」
「シゲちゃん羨ましいなアイツ」
「後で感想聞こうぜ」
「やだよ嫉妬しそう」
「クラス1のイケメン長田君的にはどうですか?」
「ハハハ、俺に聞くなよ! まあでも若いうちはそういうことしてもいいんじゃない?」
「さっすがー! ハイスペックは余裕が違うなあ!」
「よせよせ! アッハハハ!」
もう無理だ。本当に気持ち悪くなってきた。クラクラする。クラス中で俺のことが話されてるのに俺に発言権はない。何を言われても言い返した俺の言葉は会話の隙間にポロっと落ちて誰にも拾われない。
でも胡簶さんはそれ以上のダメージを受けている。
休み時間中は机に突っ伏して無反応。授業中にちらりと見てみたが、目は真っ赤に充血している。
クラス中からの視線と耳障りなコソコソ喋る声。俺にとっても地獄だったそれが胡簶さんからしたらどれだけ辛いものだったか。
放課後、いつものように俺らは掃除をするわけだが、胡簶さんはずっと俺から離れて掃除をしていた。すると唐突に話しかけてきた。
「……なんでこんなことになっちゃったんだろうね」
「……本当にね。この前ゆりが胡簶さん色目使ってるって言った時は誰も相手にしなかったのに」
「うん……どうすればいいんだろう…………」
ああ、いまにも泣き出しそうじゃないか。俺は本当に何をやってるんだろう。男なら励まさないといけないのに。
「胡簶さーーーー」
「失礼、胡簶さん高橋先生が呼んでるからあとで体職に行きな」
「え、うん。分かった」
「ってか、二人ともあの噂嘘だろ」
へ? 長田? お前黒幕じゃなかったのか?
「嘘に決まってんだろ」
「だよな。いやなに、俺だってシゲチの顔見れば本気で困惑してるってことぐらい分かる。朝の時点では信じてたけど途中で気付き始めたよ」
「そっか。良かった……」
本当によかった。いろんな意味で。
「ほんじゃあ俺は失礼」
教室から去っていく長田。胡簶さんが先生に呼ばれているなら早く掃除を終わらせないと。理解者が、それもなかなかに心強い理解者が現れたことに二人とも安堵して、また会話が始まった。
「ぶ、文化祭までにはみんなの誤解を解きたいね」
「ああそうだな。なんならこの後先生に相談してみたらどうだ?」
「うーん、なんかそれは普通に恥ずかしいかな……」
「確かにまあそうかもなあ。まあでも長田がいれば百人力だろ!」
「……う、うん。長田君ね…………」
微妙な顔をする胡簶さん。
へ? 長田のことあんま好きじゃないのかな? 確かにアイツは人格が破綻してるけど魅力的でもあると、この俺でも思ってるぞ?
そんなこんなでちょっと早めに掃除を終えて武道場に向かう。だがなんとそこに長田は居なかった。
「おい、長田は?」
「今日休むってよ。てかおい、お前教室でヤーー」
あの長田が休む? 特別体調が悪そうに見えなかったぞ。なんかこれは、嫌な予感がする。
と思って外を見てみると、なんとゆりがニヤニヤしながらこっちを見ていた。急いで靴を履いてゆりの元に向かう。するとアイツはくるりと背を向けて歩き出した。
「オイ!」
隣に駆け寄って声をかけても反応は無し。どうしようもないからスタスタと歩き続けるゆりについていく。
すると、長田の声が聞こえてきた。
「胡簶さん、俺あの噂を流した犯人を見つけたんだ。なんとなくそう思ってたけど、証拠まで掴んだ」
どうしたんだよ長田。なんで俺には言わないで胡簶さんにだけ言うんだ?
「犯人は古川だ。動機はお察しの通り」
ゆりか、でもどうして今回のはみんな信じたんだ? ゆり発なら誰も取り合わないはずなのに。っていうかどうしてコイツは自分が犯人だと暴かれる様子を見せてるんだ?
「宮本もポンコツだよなぁ。どうして胡簶さんに迷惑がかかるかもしれないって思わないでこう君に近づくんだか」
「だからさ胡簶さん、俺なら君に迷惑なんてかけないし、今回みたいに君を守り続ける」
は? おい待て。
「俺と付き合ってくれないか」
おい長田! そう叫ぼうとしたがその口はゆりに塞がれてしまった。声が出せない。そんな、そんな俺の一つのところにつけ込んで、自分のスペックを見せつけて、そんなの、ズルイじゃねぇか!
「…………ご、ごめんなさい」
……うん? 聞き間違いか? 長田、フラれたのか?
需要があると判断したら続き書きます。もっとざまぁしろでも、もっとイチャつけでもご要望があればお教えください




