第11話【森崎千紗_破れない契約を交わす魔法(低級)】①
「それじゃあいきますよ」
朝9時を少し回ったばかりの図書準備室。
僕は、馬跳びの馬のような姿勢になってお尻をこちらに突き出す森崎先輩に問う。
「お、お願いします」
森崎先輩が、少し怯えながらも力強く答える。
返答と同時に、腰をさらに低くする。
多分これから加わる衝撃に備えるためだろう。
僕は、森崎先輩の横に移動して左手を森崎先輩の腰におく。
手を置かれた先輩は少し身体をこわばらせるが、逃げるような事はしない。
その次に、右手をお尻に添える。
スカート越しに、森崎先輩の柔らかいおしりの感触がダイレクトに伝わる。
その感触だけで、先輩がオムツはおろかパンツさえ履いていないことが丸わかりだ。
図書準備室の机の上には、おしっこをたっぷり吸った使用済みのオムツが置かれている。
これが誰のものなのか、推理するまでもないだろう。
僕は、狙いをつけるために必要な事だ、という風を装って、不自然ではない程度に森崎先輩のお尻を撫でたあと、右手を大きく振り上げた。
パシッィィ
僕が振り下ろした右手は、まだ人がまばらな図書室にまだ聞こえそうなほどの音を響かせて、森崎先輩のお尻を叩いた。
「っっぅ……」
森崎先輩は、口から飛び出そうになる悲鳴を必死に抑える。
声を出せば、流石に図書準備室の異変に気がつく人が出てくるだろう。
僕は、もう一度右手を振り上げる。
パシッィィ
振り下ろした右手は、お尻にぶつかって跳ね返るのではなく、お尻に密着するように止める。
そうする事で、森崎先輩が痛みに耐えている間、お尻を撫で回すことができる。
だがあまり長く撫でていると、森崎先輩に不審に思われてしまうので、良きところで切り上げる。
僕は三度森崎先輩のお尻を叩く。
「くぅぅぅ……」
三発目で限界を迎えたのか、森崎先輩は膝から床に崩れ落ちお尻を抱えてうずくまった。
手を床についていない土下座のような姿勢だ。
僕はそんな森崎先輩の顔の前に、使用済みオムツを落とす。
「それじゃあ、最後に戒めのために自分がどうして罰を受けたのか、自分の口で説明してください」
森崎先輩は、お尻を押さえていた手を床につく。
冷静に考えれば、なんの意味があるかわからない僕の指示も【多少無理な理屈を言いくるめる魔法】によって簡単に受け入れられる。
「私は、高校の駐輪場に着いたときにお漏らしをしてしまいました。だからその罰として、山田くんにお尻を3回叩いてもらいました。
ありがとうございます」
お礼をしてとまでは言わなかったのに、森崎先輩のアドリブで感謝をされてしまった。
お尻を撫でながら3回も叩いて感謝されるのは、なんだかむず痒い。
しかし、と僕は一つため息をついてオムツと床に土下座する森崎先輩を見つめる。
この森崎先輩とは、ここ三週間前に図書室で知り合った。
初めは、僕の魔法で尿意を操りお漏らしをさせてちょっとエッチな事をさせてもらっていたのだが、実は僕の魔法にかかる以前からお漏らしに悩んでいることが判明し、流れで森崎先輩のお漏らし克服トレーニングに付き合うことになった。
毎週土曜日に、オムツを履いて図書室で自習をする森崎先輩に付き合い、お漏らしをして場合、その罰としてお尻を叩くのが僕の役割だ。
だから本来であれば、森崎先輩のお尻を叩くとしてもお昼や夕方など勉強をした後になるはずだ。
それなのに今日は朝からお尻を叩いている。
理由は、森崎先輩が自分の口で説明した通りだ。
僕はため息をひとつ吐く。
森崎先輩のおもらし癖は、かなりひどくなっているようだ。
「とりあえず、椅子に座ってください」
僕は床に臥したままの森崎先輩を立たせてパイプ椅子に座らせて、自分のも座る。
椅子に座るとき、森崎先輩は少しお尻を気にするような仕草をした。
叩いたところが痛いのだろうか。
少し気になったが、何も言わずに座ったので僕の方からも特に聞かない事にする。
それよりも問題なのは、森崎先輩の尿道が思った以上に弱い事だ。
「改めて確認なんですが、駐輪場でお漏らししてオムツが濡れてるって事は、朝家を出る時からオムツを履いてきていたって事ですか?」
「はい……」
僕の問いに、森崎先輩は恥ずかしそうに首を縦に振る。
オムツは、先週の自習時間に万が一漏らしてしまって図書室を汚してはいけないから、という無茶な理屈で僕が導入したものだ。
普通の女子高生であれば納得しないだろうが、【多少無理な理屈を言いくるめる魔法】の影響下にある森崎先輩であれば簡単に受け入れてもらうことが出来た。
そこまではいい。
だが、今朝オムツを履いてくるというのは、理解ができない。
それはつまり、魔法の影響下にない森崎先輩自身の判断でオムツを履いたということなのか?
年頃の女子高生が、自ら率先してオムツを履くなんてことがあるあり得るのか?
「最近、お漏らしする回数や頻度が増えてきていてて……
前まではナプキンで大丈夫だったんですが、今週からはそれも追いつかなくなってきて。
先週、山田くんに教えてもらったオムツならちょっと蒸れるけど漏れる心配はないかなって」
僕の顔に疑問が浮かんでいた事に気がついたのか、森崎先輩が少し早口で説明する。
「という事は、授業もオムツを履いて受けていたんですか?」
「はい」
「今週、授業中に漏らしたのは」
「……一度だけ」
森崎先輩は、今にも消えありそうなほど身体を小さくしている。
自身の尿道の不甲斐なさに、羞恥心を感じているのだろう。
しかし、こんな可愛い人が授業中にお漏らしとは。
きっと誰にも気づかれてはいないのだろうが、僕はその場に居合わせたであろう森崎先輩のクラスメイトの男子生徒を羨ましく思った。




