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R15な魔法しか載ってない魔導書を見つけた。  作者: あーる72


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第9話【上野ひとみ_とっても気持ちのいいマッサージ】⑨

トーストの焼ける匂いと、コーヒーの香り。

何かが焼ける音がする。ウィンナーかな?


子供の頃の日曜日の朝の香りで目が覚めた。

体が羽のように軽い。

体の軽さも、子供の頃に戻ったみたいだ。


「おはようございます。

 よく眠れましたか?」


台所から聞こえてきた山田くんの声で脳が一気に覚醒する。

アニメやドラマでよく見る、初めて寝る場所で目が覚めた時に自分がどこにいるか分からなくなる、と言うことはなく昨夜からの地続きの現実として脳が認識をしている。


私が寝ているのはリビング。

ダイニングテーブルの奥で山田くんが笑っている。


「ごめんなさい。私寝ちゃってた?」


「よっぽどお疲れだったんですね。

 もうすぐ朝ごはんできますから」


山田くんは爽やかな笑顔でそう言うが、私の背筋は一気に冷たくなる。

ほぼ初対面の男の子の前で無防備に眠るなんて、実家の母が聞いたら卒倒するだろう。

私は無意識に股を擦り合わせる。

ヒリヒリはしていない。


山田くんは寝ている私に変なことをするような男の子ではなかったようだ。

安心するとともに、あんなにいい子を疑った自分が恥ずかしくなる。


それに、泊めてもらった上に朝ごはんまで作ってもらったら年上としての立場がない。


「何か手伝わせて」


そう言って立ちあがろうとした。

その瞬間、山田くんが私を制止する。


「あ、立たないで」


だが、その言葉より先に私は立ち上がってしまっていた。

体にかけられていた布団がずり落ちる。

その下から上半身裸の私の体が現れた。


「っっひゃい」


声にならない悲鳴をあげてその場にしゃがむ。

そうだ、私はマッサージの途中で眠りに落ちた。

マッサージを受ける際、半袖の体操服を脱いでいた。


「ごめんなさい、寝ている女性に服を着せるのは失礼かなと思ってそのまま寝てもらっていたんです」


山田くんが申し訳なさそうに言うが、彼に責任はない。

私は胸を隠しながら首を振る。


「こんな格好で寝た私が悪いから、大丈夫」


「枕元に昨日着ていた服を置いてます。

 脱衣所で着替えてきちゃってください」


枕元を見ると、確かに私の服がしっかりと畳まれて置かれている。

何から何までお世話になりっぱなしだ。

私は、お言葉に甘えて脱衣所へ移動し服を着替える。

胸の絆創膏を剥がす時に乳首への刺激に身悶えしたのと、山田くんのボクサーパンツに付けてしまったシミを落とすのに手洗いする必要があったと言う小さな問題はありつつも、無事に着替えを終えてリビングに戻る。

戻った時にはすでに朝ごはんの用意が整っていた。


トーストにウィンナーと目玉焼き、レタス主体のサラダひコーヒーが一杯。あと、バターとヨーグルトと蜂蜜が並んでいる。


特別な食材は一つもない。

けれど、人が作ってくれた朝ごはんのキラキラ光るような暖かさの溢れる食卓に、自然と涙が溢れてきた。


「あれ……あれ…」


自分でも何に対して泣いているのか。

悲しいのか嬉しいのか分からない涙がとめどなく溢れてくる。

山田くんはそんな私の様子を黙って見てくれていた。

これではどちらが年上か分からない。


結局、朝ごはんを食べている間、私の涙が止まることはなかった。


ご飯の後、これだけはどうしても自分でやらせてくれと頭を下げて皿を洗っているタイミングでようやく涙は落ち着いた。


「本当にありがとうございました」


片付けを終えて部屋を出る際、私は深々と頭を下げた。

鍵を忘れた私を一晩泊めてくれて、お風呂も貸してもらって、マッサージも朝ごはんも作ってもらって。

ここ数年で一番至れり尽くせりな時間を過ごしてしまった。


「そんな、困ってる時はお互い様ですよ」


山田くんはなんでもないように笑う


「けど、日曜日のことをお詫びに来たのに、こんなに助けてもらって……

 今日のお礼とお詫びは必ずするから」


「そんな、かえって悪いですよ」


「いいやさせて、でないと私の気が収まらないの。

 何か欲しいものや、私にして欲しいこととかない?」


私の問いかけに山田くんは少し首を傾げて考える。

しばらく考えてから、じゃあ、と口を開く。


「またマッサージの練習台になってください」


「マッサージの?それだと私が得ばかりしない?

 山田くんは今のままでも十分にマッサージが上手いから今更練習台なんていらないんじゃない」


「そんなことないですよ。上野さんの体はガチガチなので、昨日もとっても参考になりました。

 それに、ち(・)ょ(・)っ(・)と(・)特(・)殊(・)な(・)オ(・)リ(・)ジ(・)ナ(・)ル(・)の(・)マ(・)ッ(・)サ(・)ー(・)ジ(・)と(・)か(・)も(・)考(・)え(・)て(・)て(・)、(・)そ(・)れ(・)を(・)試(・)さ(・)せ(・)て(・)く(・)れ(・)る(・)な(・)ら(・)す(・)ご(・)く(・)嬉(・)し(・)い(・)で(・)す(・)」


どうやら、遠慮しているわけでもないようだ。

私の身一つで解決できる事であればなんでも対応しよう。


別れ際、山田くんは、一瞬少し意地悪そうな顔で笑ったあと、いつもの爽やかな表情に戻ってこう言った。


「次は下半身を重点的にマッサージしますね」


その言葉を聞いた瞬間、私の下半身がキュンと疼いた気がした。


同じマンションに住む年下の男の子。

普通に生活していればまず交わることが無い彼との縁は、私の荒れていた生活をいい方向へ変えてくれる気がする。


私は、マッサージで軽くなった体で、カバンを忘れたオフィスへ駆けていった。


最悪だった一週間は、最後の最後で帳尻を合わせて、プラマイゼロ……ちょっとだけプラスな一週間になった。











第9話 完


8話の反動で描きすぎちゃいました。

今週は、注目度ランキングに載せていただいたおかげで、pvが約10倍以上に増えました。

注目度ランキングは、読者の反応に応じたものだそうなので、ランキングに乗れたのは、以前から読んで頂いていた皆様のおかげです。

ありがとうございます。


急に見ていただける人が増えて緊張していますが、変わらずこれまで通りのペースで更新していければと思います。


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― 新着の感想 ―
失礼ながら中途半端に感じます。振り切ってノクターンで書くか、もっと魔法書の謎を掘り下げて異能力バトルを盛り上げてR15の題名らしくエロコメ路線でいくか。 一読者の勝手な意見です。
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