第5話【森崎千紗のお漏らし事情】⑤★★★
図書室のに差し込む日の光の位置が低くなり、本棚の影が長くなる。
午前中は満席に近かった自習室も、人影はほとんどない。
自習室を使う生徒のほとんどは、部活に参加していたりするのでお昼休みを境に人はガクッと少なくなる。
それでも残っていた生徒も15時を過ぎる頃には、いなくなる。
図書室が閉まる16時ギリギリまで粘る生徒は稀だ。
[勉強は順調ですか?]
森崎千紗先輩は、そんな稀な生徒だ。
[え、ああ、もうこんな時間]
本当に集中していたのだろう。
森崎先輩は、日が翳り始めていることにも、図書室に僕と森崎先輩の二人きりな事にも、たった今気がついたような反応を見せた。
手元の参考書は、午後の勉強を始める時からだいぶ進んでいるように見える。
丸みを帯びた几帳面な文字が並ぶノート。
きっとこの人は、勉強ができるんだろうな。と言うのが見るだけで伝わってくる。
[午後もトイレには立たれなかったようですが、大丈夫でしたか?]
二人だけの空間なのに、図書室の雰囲気が声を小さくさせる。
僕のトイレという言葉で、森崎先輩の肩が跳ねる。
手がスカートの方は動く。多分無意識の動きだろう。
[あっ]
その反応で、結果は伝わった。
[準備室に行きますか?]
僕が尋ねると、森崎先輩は黙って頷いた。
準備室へは、森崎先輩に先に入ってもらう。
僕は、鞄から『少し叡智な魔法の使い方』を取り出して【多少無茶な理屈を言いくるめる魔法】を使う。
森崎先輩のお漏らしトレーニングは、もはや森崎先輩側からの要請にて行なっている事だが、この魔法は使っておいて損はない。
「じゃあ脱いでください」
僕は、準備室の鍵を閉めてから、森崎先輩に指示を出す。
今日も、先生から図書室の鍵の施錠を依頼されているので誰かに邪魔をされる心配はない。
「うん」
森崎先輩は、素直に頷くとスカートの下から手を入れる。
この素直さは、魔法の効果なのか、本人の素養なのかは不明だ。
慣れてきたのか、スムーズにオムツを脱ぐ。
スカートの隙間から覗く太ももは、西陽に照らされて官能的に輝く。
「脱げました」
「じゃあ広げて見せてください」
「え、なんで」
「お漏らししているかのチェックです」
「……はい」
一度は疑問を呈しても、少し理由を追加すれば素直に応じる。
このあたりは、魔法の効果なのだろう。
森崎先輩は、オムツの内側をこちらに向けて、足を通す穴に逆から手を入れて広げて見せた。
一目見ただけで、相当量のおしっこが染み込んでいるのがわかる。
今回は、何一つ魔法を使っていない。
前回の魔法で、森崎先輩のタガが外れた、という事はあるかもしれないが、それを差し引いても森崎先輩本人が原因のお漏らしと言えるだろう。
「森崎先輩は、お漏らしの癖を治したいんですよね」
できる限り冷たい声を出す。
「その為に、僕に協力してほしいと、そう言いましたよね」
責めるような、でも、怒鳴るまでは行かない声で森崎先輩を追い詰める。
「やる気あるんですか?」
「やる気はあります」
森崎先輩から、弱々しい答えが返ってくる。
僕は、森崎先輩に聞こえるように、大きくため息をつき、先輩がもつオムツを下から支えるように持ち上げた。
たっぷりと水分を含んだポリマー樹脂の質量が手のひらに伝わる。
「これが、やる気のある人のオムツですか?」
もう一度ため息をつくと、森崎先輩は俯いて黙り込んでしまった。
「オムツはもしもの時のための安全装置のつもりでしたが、逆効果でしたね」
オムツから手を離し、森崎先輩の背中側に回り込むようにゆっくりと歩く。
この奥はまたノーパンなんだよな、と思いながら、お尻の形に僅かに膨らむスカートを見る。
「けど、これだけの量を漏らしてしまうのなら、もうしばらくはオムツを外せません。
他の方法を考えなきゃいけないと思うんです」
「他の方法ですか?」
森崎先輩は、オムツを広げた姿勢のまま訊ねる。
僕がいいというまでオムツを降ろしてはいけないと思っているのだろうか?
特に理由はないがそのままにしておく。
「たとえば、普段の授業では漏らさないんですよね?
それはなんでだと思いますか?」
「それは、休み時間に毎回トイレに行ってるからです。
私も、クラスメイトの前では漏らしたく無いですから」
「それですよ!」
僕は、森崎先輩の肩を叩いて大袈裟に反応する。
肩を叩かれた森崎先輩は、よく分かっていない顔をする。
「今の森崎先輩の言葉に、この問題を解決するためのキーワードが二つ隠れていました」
僕は森崎先輩の肩から手を離して、正面へ戻る。
「一つは時間です。
尿意がなくても、決まった時間にトイレに行く。
図書室での自習でも、たとえば一時間に一回など周期を決めてトイレに行くんです」
「けど、集中していると時間を忘れてしまって……
タイマーをつけようにも、図書室だと音も出せないですし」
僕の提案に対する森崎先輩の不安は、至極当然のものだ。
「以前使っていたヘッドホンは?」
「あれはリスニング用のものです。常につけてるわけではありません」
「そうなんですね、分かりました。
じゃあ、時間を知らせる方法は僕の方でも考えておきましょう」
僕の提案に、森崎先輩が申し訳なさそうに頭を下げる。
だが、そんな態度を取るのは少し早くないだろうか?
少なくとも、僕の二つ目の提案を聞いた後でもいいだろう。
「で、問題解決のキーワード二つ目は、緊張感です。
森崎先輩は、クラスメイトの前で恥ずかしい思いをしたくない、という緊張感を持つ事で普段のお漏らしを回避しています。
という事は、図書室でのお漏らしを回避したいという動機づけができれば、自習の時のお漏らしも防げるようになると思うんです」
「動機づけ?それは例えば?」
「例えば……
お漏らしをしてしまうと恥ずかしい罰を受けるとか」




