情報共有
別邸に戻ってきた私たちは情報を共有した。
「ヴェルナー、あれが例の嵐で間違いなさそうだね」
「ああ。海中を見るともっと意味がわからなかったぞ。普通渦巻きってのは海底まで引き込むように続いてるもんだが、あれは海面だけが渦を巻いてた。魔法とか呪いとかそういう類のやつで間違いなさそうだ」
髪を拭きながら彼は自分が見たものを語る。その目は冗談を言っていない本気の目だった。
「嵐こそ度々起きていたそうだが、あんな現象は初めてだったらしい。しばらくは船の運航休止だとよ」
うーん、それは困るな。船が出なきゃ海を渡れない。しばらくってのがどれぐらいかはわからないが、場合によっちゃ北に大きく迂回しなきゃいけないかもしれないな。そうなると予算が…悩ましい問題だ。
「原因が何かわからない以上、解決することも出来ませんね…」
「まあ証拠は抑えてはいるんだよな。まだ確定になってないだけで」
ヴェルナーがそう呟いた。
「あるのか!?なんでそれを言わないんだよ!」
「いや、あるにはあるんだが、言いがかりと言われればそれまでだからなんだ」
煮え切らない返事をしながら、彼は何枚か紙を取り出した。紙にびっしりと時間が書いてあるのをみるに、何か記録用紙のようだ。
「これは…?見たところ片方は船の出航履歴のようだけど、もう片方は?」
「嵐が来た時間だ。よく見てくれ。何か気になるのがあるだろ」
もう一度紙に目をやる。何がおかしいところがあるだろうか…
「これ…この船、バルディリス航運遊覧船っちゅーのが出とる時間の一時間後ぐらいに絶対起こっとるな」
ヴェルナーが指を鳴らしハンクを指差す。
「そう、その通り。この遊覧船が出ると必ず嵐が発生するんだ。逆に出航してない日はこの通り」
追加で取り出した紙には船の出航時間以外何も書いていなかった。
「明らかにこいつらが原因じゃねえか。なんで追及しねえんだよ」
「これじゃ証拠が薄すぎるんだよ。決定的な証拠を突きつけないと、はぐらかされて終わりだ」
マルクは訝しげな目をする。
「ヴェルナー、そう言ってもう何か証拠を掴んでるんだろう?」
「へっ、お見通しか。この船の行ってるところがな、このイヴェル洞窟っていうところだ。ここは水龍ネクタルカが寝床にしてるって話のある洞窟なんだよ」
「つまりそこで龍を怒らせてるってことか?」
「そういうこと。こいつらは悪どい商会でね。元々拠点にしてた国があったんだが、そこでも金儲けのことしか考えないで史跡を傷つけ、国を怒らせてムショにぶち込まれそうになったからイヴェル・クーガに逃げてきたってもっぱらの噂だ」
国を怒らせるなんてとんでもない商会じゃないか。だがしかし、やるべきことは見つかった。そいつらを懲らしめてやろうじゃないか。いや、待てよ…
「状況証拠は抑えられてるとはいえ、物的証拠がまだ収められてないんじゃないか?しばらく船も出ないんだろ?だから具体的にネクタルカだっけ?を怒らせてるって証拠を掴めないぞ」
そう指摘すると、ヴェルナーは券を4枚取り出した。
「へへ、あの商会が運航休止命令に耳を貸す訳ないだろ?だから4枚買わせといた。あと3人調査員募集だ」
準備が良すぎるだろ、こいつ。
「乗っていってどうするの?迷惑行為してたらその場で取り押さえるの?」
クロエはクロエであまりにも無策すぎるだろ。グレゴが肩をポンと叩き、指摘する。
「いい案だが添乗員を取り押さえたところでトカゲの尻尾切りされるだろうな」
ヴェルナーが再びパチンと指を鳴らし、グレゴを指差す。
「そう、その通り。だからな、船に乗らない組は商会に潜入調査を仕掛けて欲しい」
「「潜入捜査ぁ?」」
マルク以外の声が揃った。
時間がなくて短くなってしまってます!すみません!




